米国のスタートアップ企業Mojo Visionは、2,240万ドル(約30億円、2023年4月7日時点)を調達しました。2023年1月の事業方針転換後、初めての資金調達となります。同社は得られた資金を使って、マイクロLEDディスプレイ技術の開発と商業化を目指します。
今回の調達はシリーズAラウンドで実施されました。既存の投資家であるNEAとKhosla Venturesが主導し、Dolby Family Ventures、Liberty Global Ventures、Fusion Fund、Drew Perkins、Open Field Capital、Edge等の投資家らが参加しています。
スマートコンタクトレンズ「Mojo Lens」を開発
Mojo Visionは2015年創業。米国カリフォルニアに拠点を置くスタートアップ企業です。情報を視界に表示する「スマートコンタクトレンズ」開発に取り組み、国内外から注目されてきました。
同社は2022年3月末に、最新プロトタイプ「Mojo Lens」を公開。これは直径0.5ミリ程度のマイクロLEDディスプレイを搭載するコンタクトレンズです。5GHz帯の無線通信機能、加速度センサー、ジャイロスコープや地磁気センサーなどが搭載されており、視線のみでの操作を実現する予定でした。
マイクロLED技術にピボット
しかし2023年1月、Mojo Visionは大規模なレイオフと事業の方針転換を発表しました。当時の同社CEOであったDrew Perkins氏はその理由に、世界経済の低迷や資金調達の困難さ、先進的なARプロダクト市場の不透明な状況を挙げています。
現在は「Mojo Lens」に組み込まれていたマイクロLEDディスプレイの技術開発に専念。同社は公式サイトで「独自の高性能量子ドット技術を研究し、非常に小さく、非常に明るく、非常に効率的なRGBピクセルを開発している」と明らかにしています。AR/VR向けデバイスや車載デバイス、大型ディスプレイ等の用途に合わせた商品化を目指している模様です。
Mojo Visionの現CEOであるNikhil Balram氏は「ディスプレイ市場は大きく、その規模は1,000億ドル以上です。大きなことをするためには小さなことから始める必要があり、それこそがMojo Visionが取り組んでいることです。私たちはディスプレイや半導体の専門知識と高度な製造プロセスを組み合わせ、最も要求の厳しいハードウェアアプリケーション向けマイクロLEDの商品化に取り組んでいます」とコメントしています。
(参考)Road to VR、Mojo Blog