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Meta Quest 2023.09.28

“MR入門機”、堂々登場。次世代VR/MRヘッドセット「Meta Quest 3」ファーストタッチ

9月28日(木)早朝、新型VR/MRヘッドセット「Meta Quest 3」の詳細が発表されました。事前予約がスタートしており、発売日は、10月10日(火)です。

多くのVRユーザー(特に、長らくQuest 2を使ってきた方!)はもちろん、Metaの新しいVRヘッドセットということで、VRに興味のある人も注目しているのではないでしょうか。

MoguLive編集部は、今回の発表に先駆け、「Meta Quest 3」の公式プレビューデモに参加しました。本記事では、「Meta Quest 2」からおよそ3年の月日を経て現れた、”あらたなQuest”のファーストインプレッションをお届けいたします。

見慣れたフォルムが、より薄く

こちらが、プレビューデモにてお披露目された「Meta Quest 3」の実機です。おおまかなフォルムは「Meta Quest 2」と似ていますが、細かなところは大きく異なっています。

最大の特徴となるのが、正面に設けられた2台のRGBカメラ(画像左右)と深度センサー(画像中央)。2台のRGBカメラは、ヘッドセット外の様子をフルカラーで表示する「パススルー表示」を可能にし、深度センサーと合わせて本機最大の特徴である「MR(複合現実)機能」を実現します。パススルーの解像度は「Meta Quest 2」の約10倍、「Meta Quest Pro」の約3倍とのことです。

そして、パンケーキレンズ採用などの光学系の見直しにより、正面部分の厚みは「Meta Quest 2」から40%スリムに。現物を見てみても、たしかに「薄くなった」と感じるところです。

デフォルトのストラップは、「Meta Quest 2」と同様に布製です。ただし、後頭部の形状がT字型からY字型に変更され、より安定して頭部に保持されるようになっています。奇しくも、この形状は初代Questと同じです。

ヘッドセット下部には、IPD(瞳孔間距離)調整用のダイヤル(画像右)などがあります。「Meta Quest 3」の大きな変化として、IPDは53mm〜75mmまでの無段階調整が可能となり、3段階調整(58mm、63mm、68mm)しかできなかった「Meta Quest 2」と比べて、より多くの人にフィットできるようになりました。

また、目とレンズの間の距離も調節可能となりました(接顔部をスライドさせる方式)。これはメガネユーザーにはありがたいところ。「Meta Quest 2」のようにメガネスペーサーを挟み込む必要がないのもポイントです。

(装着した状態で)左側には充電・接続用のUSB Type-Cポートが、右側にはイヤホンジャックがあります。「Meta Quest 2」に続き有線イヤホンが使えるのもありがたいですね。なお、バッテリー寿命は「Meta Quest 2」とほぼ同じとのことです。

専用コントローラー「Meta Quest Touch Plusコントローラー」は、特徴的なリングセンサーが取り外され、従来より小型になりました。両手のコントローラーをより近づけることができるため、ソーシャルVRなどで拍手などの動きがしやすくなりそうです。

稼働は従来どおり単3乾電池1本です。なお、コントローラーのトラッキングは赤外線センサーに加え、機械学習も組み込まれているようで、「使うほどに精度が向上する」のだそう。

デバイスの内部では、SoC(処理系)に「Snapdragon XR2 Gen 2」が初採用され、「Meta Quest 2」と比較して2倍高速なグラフィック性能を実現しているとのことです。さらに、ディスプレイ解像度は片目あたり2064×2208と4K超。Questシリーズでは最高クラスとなりました。

全体的な印象としては、「Quest 2の本体をスリムにして、性能は一回り向上させた」といったところです。さて、実際の使用感はどのようなものか。デモ体験へと移ります。

装着からMR・VRまで。実機をがっつり体験!

今回のプレビューデモでは、装着してからパススルー機能の確認と、MRモードを活用したゲーム、そしてVRモードでのゲームを一通り体験しました。なお、体験中のヘッドセット内の様子は収録できず、筆者の口頭説明が主となる点はご容赦ください。

軽くはないが、装着感はよし

まずは本体の装着感から。装着の仕方は(当然ですが)「Meta Quest 2」と同様。普段から「Meta Quest 2」を使う人ならば迷わず装着できるはずです。

まず感じたのが、「意外と軽くはない」ということ。本体重量は515g(ヘッドセット、ストラップ、接顔部含む)と、「Meta Quest 2」の503gと大差ありません。そして、デフォルトでは後頭部にカウンターウェイトが存在しないため、若干フロントヘビーに感じられました。

一方で、頭部へのフィット感は「Meta Quest 2」以上でした。接顔部のフェイスクッションが厚めで、クッション性が高いため、顔面にちょうどよくフィット。加えて、ストラップはY字型なので後頭部のグリップ力も高め。「ちょっと前方が重いかな〜」と感じるくらいで、装着にズレなどが起きなかったこともあり、装着感は比較的快適でした。

合格点のパススルーが、システムの基幹に

さて、装着してみて、まず気づくことがあります。視界に広がるのがバーチャル空間ではなく、カメラ越しに映る現実世界なのです。


(パススルー表示のイメージ図。フルカラーで取得される現実世界の上に、バーチャルなものが現れる)

実は「Meta Quest 3」では、ホーム環境がMRモードを基幹とするようになりました。装着時にはデフォルトで周囲をフルカラーでパススルー表示し、その上に基本メニューが表示。メニューにはハンドトラッキング機能を使って”直接触れる”こともでき、操作感はかなり直感的になりました。「現実世界にメニューが現れる」を基本とするスタイルは、まさに”MRデバイス”といったところです。

そして肝心のパススルー映像ですが、これは合格点です。いちおうこれ以上の画質で表示できるデバイスも存在しますが、外界の映像はかなり鮮明に表示されています。加えて深度センサーの恩恵か、遠近感の表現も適切です。身につけたまま、危なげなく周囲を歩き回ることもできました。

なお、パススルー映像とVRモードは、ヘッドセットの右側面を2回タップするだけで切り替わります。VRゲームを遊んでいる最中、ちょっと外の様子を確認したいときにも便利な機能です。

プレイスペースは”見回す”だけで作れる!?

大きく変わった点がもう一つ。「Meta Quest 2」のように、コントローラーを使ってプレイスペースの境界線を引く必要がなくなりました。

ではどうするのかと言えば、”周囲を見回す”だけでOK。「Meta Quest 3」は、部屋そのものを3Dスキャンし、壁、床、家具などの位置を自動で把握することができます。そして、プレイスペース境界線も自動的にスキャンしてくれるため、手動で設定する必要はありません。

部屋のスキャン自体も、パススルーで表示された部屋を見回すだけでよいため、かなり直感的です。上記の通り、パススルー映像は「ヘッドセットをつけたままでも歩き回れる」クオリティなため、安全かつ簡単にプレイスペースを設定できるのは大きなポイントです。

これぞ”Mixed Reality”! 壁も家具もバーチャルと溶け合う

さて、今回は目玉であるMRモードを活用したゲームを体験しました。体験したコンテンツは3つ。いずれも、違和感なく現実にゲームのキャラクターやアイテム、エフェクトが出現していましたが、特にインパクトが大きかったのが、「Meta Quest 3」のチュートリアル的なコンテンツ「First Encounters」でした。

起動すると、パススルー表示された現実空間に、宇宙人のカプセルが天井を突き破って飛来。中から出てきた懐中電灯のようなものを拾い、スイッチを入れて壁を照らすと、壁の向こう側にどこぞの異星のような光景が見えます。

そしてしばらくすると、壁を突き破って、かわいらしい球状のエイリアンが現れます。もちろん、破壊される壁は”現実世界の壁”。破壊された向こう側に見えるのは”バーチャル空間”。現実世界が破壊され、バーチャル空間に侵食されるという、非常に明瞭でインパクト抜群なMR体験です。

その後、両手にレーザー銃を持ち、四方八方から現れるエイリアンを撃つミニゲームがスタートします。エイリアンたちは壁を破壊して向こう側からやってきますが、手前に家具があるとちゃんと隠れて見えます。

銃から放つレーザーも、エイリアンや壁だけでなく、家具や柱にもちゃんと当たるようになっています。”現実世界でレーザー銃を撃つ”というシンプルな体験ですが、現実にもしっかり干渉する様子は、リアリティを大いに引き上げます。

いずれも、上記の「部屋の3Dスキャン」の恩恵を受けたものです。スキャンした部屋の情報を反映できるMRコンテンツは、予想以上の臨場感をもたらしてくれることでしょう。

VR体験はハイエンドレベル

VRゲームもひとつだけ体験しました。今回体験したのは「Red Matter 2」のデモ版。近未来の宇宙を舞台にしたSFパズルアドベンチャーゲームです。

まず驚かされたのがそのグラフィックです。発色や解像度はもちろんですが、そもそもゲーム自体のグラフィッククオリティが飛躍的に向上しています。全体的に画面が鮮明かつ繊細で、写真の指紋や窓ガラスのわずかな汚れなど、ハイエンドVR環境で体験するような映像が実現していました。

ディスプレイ解像度の向上だけでなく、「Snapdragon XR Gen 2」の採用がダイレクトに影響していそうです。体験時間は短かったものの、「Meta Quest 3」のVRヘッドセットとしてのポテンシャルを感じ取るには十分でした。

“MRのための”主力デバイスは、誰に向けた一台になるか


(Meta Quest 3・プロダクトマーケティングマネージャー Palwasha Khatri氏)

今回のプレビューデモでは、MetaよりPalwasha Khatri氏(Meta Quest 3・プロダクトマーケティングマネージャー)と池田亮氏(Meta Reality Labs ストラテジックコンテンツパブリッシング 日本・韓国市場統括)が出席し、「Meta Quest 3」についての説明も行われました。

まず、「Meta Quest 3」というデバイスは、“MRのための”初の主力デバイスとのことです。ハードウェア自体もMR向けに更新するだけにとどまらず、発売から年末にかけて予定されている、100以上のタイトルの新規配信・アップデートの半数はMR対応となるのだそうです。

ゲームだけでなく、大画面かつ好きな位置で映像作品を観賞できる「MRホームシアター」や、「XBOXクラウドゲーミング」との連携による「どこでも大画面テレビゲームデバイス」といった使い方も提示されました。「Meta Quest 2」と比較しても、より普段の生活に溶け込むデバイスとしてプッシュされています。

また、今回は体験はなかったものの、「Meta Quest 3」には「オーグメント」と呼ばれる機能もあるとのことです。ちょっとしたフィギュアやオブジェクト、様々なサービスと連携したウィジェット、ゲームを起動するためのポータルなど、パススルー越しに見えるホーム環境へ自由に配置できるインタラクティブオブジェクトらしく、今後様々なパートナーとともに展開を進めていくと説明されました。

MRをプッシュする一方で、VRデバイスとしての使い勝手も強調されました。「Meta Quest 3」は、「Meta Quest 2」との後方互換性を有しており、アプリ配信数は500本以上、「AppLab」配信タイトルも含めれば1000本超という、豊富なQuest対応VRアプリ・ゲームをすべて起動することができます。ゲームはもちろん、フィットネスにも困りません。

まさに、MRにもVRにも対応できる万能機です。しかし、気になる点がひとつあります。「Meta Quest 2」よりも高機能で、価格も1.5倍以上。「安価なVR入門機」だった「Meta Quest 2」とは、大きくコンセプトが異なります。この「Meta Quest 3」は誰に向けたデバイスなのでしょうか?

この点を率直に尋ねたところ、Palwasha Khatri氏は次のようにコメントしました。

「Meta Quest 2」発売から3年経ったいま、「Meta Quest 3」は“新たな技術を用いたデバイス”として、従来のユーザーにも訴求できると考えています。その一方で、まだVR/MRに触れたことがない方々にも、「Meta Quest 3」をVR/MRの入口として、ぜひ触れてほしいと思っています。

同氏の言葉を素朴に受け取るならば、従来の「Meta Quest 2」の乗り換え先としても、新たにVRを始めてみたい人や、VR/MRに関心がある人のデビュー機として、「Meta Quest 3」が位置づけられているということでしょう。「次世代機種」あるいは「後継機種」と呼び得るその立ち位置は、「Meta Quest 2」が今後も併売されるというアナウンスからも示されていそうです。

ファーストインプレッション:Quest 2の後継にも、MR入門にも申し分なし

「Meta Quest 2」の正当な後継者にして、MRヘッドセットのコンシューマー向け入門機。これが、筆者の「Meta Quest 3」に対するファーストインプレッションです。

VRヘッドセットとして見ると、「Meta Quest 2」から純粋に各スペックが引き上げられており、軽さは感じにくいものの装着感は向上しているため、後継機種としての乗り換えは十分に考えられます。パススルーの使い勝手もよく、VRで遊ぶ時間が長い人ほど恩恵が大きいと言えるでしょう。

そしてMRヘッドセットとして見れば、セットアップの手軽さや、新鮮な体験を提供するシステム面の強さが光ります。おそらく、「MRヘッドセット」と呼べるデバイスの中では、もっとも地に足付いたコンシューマー機種です。今後のMRコンテンツの展開予定も踏まえれば、MR体験の入門にはおそらく最適解です。

そんなVR/MR両用な「Meta Quest 3」ですが、価格は74,800円(128GB)/96,800円(512GB)と、なかなかお高めです。「VRだけを安く始めたい」という人には、「Meta Quest 2」が今後も選択肢となるはずです。

一方で、より質の高いVRを体験したい人、なによりMRという新たな世界に飛び込みたい人にとって、「Meta Quest 3」は大きな力になってくれることでしょう。

「Meta Quest 3」は、日本時間9月28日より予約開始、10月10日に発売開始となります。Metaのオンラインストア、および正規販売パートナー(Amazon、エディオン、ビックカメラ、コジマ、ソフマップ、ヤマダデンキ、TSUKUMO、ベスト電器、ECカレント、ヨドバシカメラ)にて購入可能です。

「Meta Quest 3」スペック表

価格 74,800円(128GB)/96,800円(512GB)
ディスプレイ解像度 片目あたり2064×2208、25 PPD/1218 PPI
視野角 水平110度、垂直96度
リフレッシュレート 90Hz、120Hz(試験中)
製品寸法 184mm(L) × 160mm(W) × 98mm(H)(ヘッドセット、ストラップ、接顔部を最小値に設定した場合)
重さ 515g(ヘッドセット、ストラップ、接顔部含む)
レンズ パンケーキレンズ
SoC Snapdragon XR2 Gen 2
ストレージ 128GB/512GB
RAM 8GB
トラッキング インサイドアウト(カメラセンサー×6)
6DoF
アイトラッキング 非搭載
MRセンサー 18 ppd RGBカメラ×2
深度センサー あり
IPD(瞳孔間距離) 53mm~75mm(無段階調整可)
バッテリー稼働時間 Meta Quest 2と同程度。
・全体:最大平均2.2時間
・ゲーム:平均2.4時間
・ソーシャル体験:平均2.2時間
・プロダクティビティ:平均1.5時間
コネクティビティ ・Wi-Fi:Wi-Fi 6E対応(地域による)。より広い160Mhzチャンネルで6Ghz帯をフルサポート。
・Bluetooth:BT 5.2、BLE
公式サイト https://www.meta.com/jp/quest/quest-3/

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