Home » Matterportが阿蘇神社のデジタルツインを構築、被災文化財の再建記録に


活用事例 2023.08.01

Matterportが阿蘇神社のデジタルツインを構築、被災文化財の再建記録に

マーターポート株式会社が、熊本地震で倒壊した「阿蘇神社楼門」の復旧過程が記録されたデジタルツインを構築しました。同社が2023年6月に始めたプロジェクト「デジタルツインで結ぶ、文化と未来」の一環で、天山酒造(佐賀県)と高野山壇上伽藍(和歌山県)につづく3例目の事例公開です。


(出所:マーターポート)

阿蘇神社は歴史のある古社で、総本山(熊本県一宮町)の境内6棟が重要文化財に指定されています。2016年4月の熊本地震で社殿のほぼすべてが倒壊する被害を受け、各種の支援・助成金などで復旧工事が進められてきました。

1835年から1850年にかけて社殿再興事業で建てられた「楼門」は、2007年に重要文化財に指定。2016年に被災しましたが、2023年12月に復旧完了予定です。阿蘇神社はこれまでにも、公式ホームページで経過を報告したり、再建現場を特別公開するなど、被災文化財の復旧記録に努めてきました。

ログイン不要、誰でも閲覧・操作できる

マーターポートは、素屋根(修理工事中の足場)が撤去される前のタイミングで、マーターポートが開発する3Dデータプラットフォーム「Matterport Pro3」による撮影・編集を行い、「真新しく光り輝く銅板葺きの屋根など、貴重な姿を鮮明に再現」したとしています。同社の公式サイトには「楼門」のほかに「屋外」の3Dデータも掲載されています(それぞれ阿蘇神社 楼門阿蘇神社 屋外で閲覧可能)。

文化財メタデータの保存管理にも寄与か

文化財の保護と活用をめぐっては、当時の設計図面などがしばしば現存せず、景観・材料の記録保存や技術継承、老朽化対策、地域コミュニケーションなどが課題とされています。近年では、文化財メタデータの保存管理と観光・興行を兼ねた、バーチャル博物館クローン文化財などの取り組みも進んでいます。

こうした背景を踏まえ、今回の発表でマーターポートは「施工記録の高精度なデジタルデータとして、今後のメンテナンスや他の建造物の工事等への応用が期待」されると述べました。阿蘇神社の権禰宜(ごんねぎ)である池浦秀隆氏は、「最新技術も柔軟に取り入れた、今後の新しい神社の在り方を考える契機にしたい」とコメントしています。

(参考)プレスリリース文化庁


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード