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投資 2024.01.24

MRデバイスのMagic Leap、5.9億ドルの巨額調達。サウジアラビア政府との関係強める

MRデバイス「Magic Leap」シリーズを開発・提供するMagic Leapは、サウジアラビア政府系ファンドから5.9億ドル(約870億円、1月24日時点)を資金調達しました。同社の累計調達額は45億ドル(約6,650億円)に達しています。海外メディアVentureBeatが、CEOであるロス・ローゼンバーグ氏へのインタビューを元に報じました。

サウジ政府系ファンドから巨額調達、二度目

今回Magic Leapに出資を行ったのは、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子率いる、政府系ファンドです。同ファンドは2023年にもMagic Leapへ4.5億ドル(約660億円)を投資し、株式の過半数を取得。Magic Leapは、テクノロジー導入に積極的なサウジアラビアとの結びつきを強め、最先端のユースケース開拓、積極的な利活用を見込んでいる可能性が示唆されます。

Magic LeapのCEOであるロス・ローゼンバーグ氏は、VentureBeatの取材に対し、「現場作業や、大規模なデジタルツイン、ミリメートル精度でのトラッキングを必要とする複雑なトレーニングでのユースケースに注目しています。私達は、競合他社の空間コンピューティングでは対応できない市場に貢献している、と考えています」とコメントしました。

「空間コンピューティング」の古参企業、BtoBで歩み堅実に

Magic Leapは2010年、米国フロリダ州で設立。現在はAppleが「Vision Pro」関連で用いているフレーズ「空間コンピューティング」を、当初から自社製品のアピールに用いてきたことでも知られています。

同社は2019年の初製品「Magic Leap 1」発売までに、Googleや中国アリババ、ヨーロッパ最大手のメディア企業Axel Springer、シンガポールやサウジアラビアの政府系ファンドから巨額の資金調達を行い、様々な方面から期待と注目を集めていました。しかし、「クリエイター向け」を中心に据えた「Magic Leap 1」はデバイスとしての成功を収めたとは言えず、企業評価額は大きく下落しています。


(エンタープライズ向けに特化した「Magic Leap 2」)

その後、2020年に創業者兼CEOのロニー・アボヴィッツ氏は退陣。マイクロソフトで役員を務めたペギー・ジョンソン氏がCEOとなり、大規模なレイオフやビジネス・産業向けへの方針転換を実施しました。2022年に発売された「Magic Leap 2」は、複数の企業やソフトウェアプラットフォームへの対応、米国の医療機器認可の取得など、様々な方面でビジネス・産業向けに特化したプロダクト展開を続けています。

また、2023年11月には再度CEOが交代。堅実にMagic Leapの立て直しを進めたペギー・ジョンソン氏に代わり、BtoBビジネス企業の経営統合や組織変革に実績を持つ、ロス・ローゼンバーグ氏がCEOに就任しています。

(参考)VentureBeat


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