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ガジェット 2023.12.05

【実機レポ】薄型軽量で持ち運べる裸眼立体視ディスプレイ「Looking Glass Go」が発表 38,000円からクラウドファンディング開始

12月5日、Looking Glass Factoryは同社初のコンシューマ向け製品となる「Looking Glass Go」を発表した。

日本での販売はクラウドファンディングサイト「Kibidango」「GREEN FUNDING」を介して行われ、12月5日・22:00より予約受付を開始した。開始から48時間限定でLooking Glass Go・ホワイト(本体1台のみ)が特別価格は38,000円、同じくバンドルセット(Looking Glass Go ホワイト1台、バッテリパック、キャリーケース)が45,500円で提供される(どちらも税・送料込み)。

出荷開始は2024年6月を予定している。


(Looking Glass Goティザー画像)

先日都内で、Looking Glass Factory社CEOのショーン・フレイン氏を招いてのプレス向け説明会が行われ、Looking Glass Goの概要が説明された。


(Looking Glass Factory社CEOのショーン・フレイン氏。彼と一緒に写っているのが「Looking Glass Go」実機)

個人向けで誰でも使える「立体表示デバイス」

Looking Glass Factory社は2014年創業。当初より、「なにもつけずに多人数が立体の画像を見る」デバイスを一貫して開発してきた。


(Looking Glass Factoryは創業以来、ホログラムのように誰もが使える立体表示ディスプレイの開発を行ってきた)

2018年に最初の開発キットを出荷して以来、大型のものから縦型・写真立てサイズの「Looking Glass Portrait」まで、複数の製品を出荷している。

どの製品も特徴は、裸眼で立体の画像が見られること。複数の視点の画像を生成、見る側にあわせて切り替えることで立体感を生み出す。「ライトフィールドディスプレイ」と呼ばれる手法だが、同社はその草分けである。

フレインCEOは「これまでの製品は開発キットのような位置付けだったが、Looking Glass Goは全く異なる」と話す。従来の製品はPCと接続し、Unityなどを使う前提であったが、Looking Glass Goは単体製品で「誰でも使える」(フレインCEO)を目指したからだ。

ボディはスマホくらいの大きさでフォトスタンド型。ここはPortraitと同じだが、ディスプレイの厚みは大幅に薄くなり、ボディも軽くなっている。

重量は235g(本体のみ)、サイズは以下の通り。



(Looking Glass Go。真ん中の透明ボディのものはクラウドファンディング専用モデル)


(片手で持ててディスプレイ部も非常に薄い)

本体は片手で持てる程度。スマホやPCと接続する必要はなく、画像を転送すれば単体で立体の画像が表示できる。後述するWebサービスとの連携用にWi-Fiが内蔵されており、基本的にはネットに接続された状態で利用する。

バッテリーは内蔵されていないが、コンパクトなので持ち運ぶのも問題ない。製品出荷時には別売で専用のモバイルバッテリーも用意されるとのことだが、USB Type-C経由でモバイルバッテリーをつなげばよく、専用のものでないと使えない、というわけではない。

なお、内部にもUSB Type-Cが用意されているそうだが、別に用途があるわけではなく「主にハック用」(フレインCEO)なのだとか。

ピクセル密度は「Portraitの倍」になり、生成される画像も「40から100視野分」だという。

表示クオリティはかなり高い。解像度が高くなった分、映像は非常に明瞭だ。立体感ももちろん十分にある。表示できる映像は縦長のものに限られるが、卓上に置いて見るなら悪くない。


(実際の表示はこのようなイメージ。かなりしっかりとした立体感を感じられる)

発表会には、GOROmanこと近藤義仁氏も参加。初期からLooking Glass Factoryとは関係を持つ同氏だが、今回はクラウドファンディングをサポートする立場でプロジェクトに参加する。「非常にクオリティが高い。今回は開発者だけでなく、個人の方が、家族のため・おばあちゃんのために買って使える製品になった」とコメントした。


(GOROman氏がクラウドファンディングのサポートとして参加)

専用ウェブサービスを活用、2D画像の3D化に加え、「Luma AI」との連携も

なによりいままでと大きく違うのは、Wi-Fiに接続し、スマホから簡単に使えることだ。


専用のウェブサービスから操作するので、PCでもスマホでも使える

Looking Glass Factoryが用意したWebサービスに接続すれば、2Dの静止画から3Dのイメージを作り、立体の像としてLooking Glass Goから見られる。変換には数秒しかかからず、とても簡単だ。現状は静止画のみだが、今後は動画にも対応する予定だという。


(その場で写真を撮って3D化して見ることも可能)

「スマホから使う」と書いたが、Looking Glass Goと連携するアプリはウェブベースなので、PCやタブレットなど、ほとんどのウェブブラウザから利用できる。アルバムを作って管理すれば、「登録した立体写真が自動的にLooking Glass Goの上で、次々に表示される」形で利用できる。

もう1つ大きな要素として、3Dキャプチャサービスである「Luma AI」との提携がある。

Luma AIは写真や動画から3D化するアプリを提供しており、スマホアプリから簡単に高画質な3Dシーンが得られることをウリとしている。

12月5日、Luma AIとLooking Glass Factoryは提携を発表し、Luma AIで作った3Dデータを簡単にLooking Glass Goで表示できるようになる。


(Luma AIを使って自分で3Dのシーンを撮影、それをLooking Glass Goに転送して「3Dで見る」ことも可能に)

すなわち、スマホを使って簡単に風景や思い出を3Dキャプチャし、それを表示するところまでが簡単にできるようになるのだ。

具体的にどのようにアプリを使うかは「12月5日になるまで公開できない」とのことだが、3Dデータを日常的に記録して表示するところまでが揃うのは大きなことだ。

PC接続も可能、ChatGPTで「3Dキャラとの対話」も

もちろんPCにつないで使うこともできる。

その際の使い方として大きいのは「生成AIとの連携」だ。デモではChatGPTを使い、CGキャラクターと対話する例が示された。開発は日本のGugenkaが担当し、VRMモデルの読み込みにも対応する。

(3DのキャラクターをLooking Glass Goに表示し、ChatGPTを使って音声で対話も可能に)

フレインCEOによれば、今はChatGPTを使っているものの「生成AI技術としては複数のものを考えており、どの技術も使うことが可能」とのことだ。

こうした方向性は従来の「開発キット」的な使い方の延長線上にあるものだが、もちろんそういう方向性も捨ててしまったわけではない……ということなのだろう。

Looking Glass Factoryは大きなディスプレイを使った製品も業務用などに作り続けるが、誰もが日常的に使うもの、個人市場向けとしてLooking Glass Goを開発した。

画面サイズが小さくある程度用途を絞った製品ではあるが、それだけに手軽であり、ヒットの可能性は十分にある。


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