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ガジェット 2023.10.06

手首のセンサーを太ももに装着!? VRChatでの使い勝手が向上した「mocopi」ベータ機能を体験

10月5日(木)、モバイルモーションキャプチャー「mocopi」のアプリがバージョン1.3.0にアップデートしました。アップデート内容は複数ありますが、大きなポイントは配信向けの便利な機能と、「ベータ機能」の追加です。

「ベータ機能」では、開発途中の機能を先行で体験することができます。第1弾として公開されたのは、トラッキングタイプを「VR向け下半身優先」に変更できる機能です。本記事では、この「ベータ機能」の先行体験も交えた、「mocopi」のアプデ内容の一部を紹介します。

スマホの画像を背景にできるように! 配信でも手軽に使いやすく

バージョン1.3.0のアップデート内容は以下の通りです。

・切断されたセンサーのみを再接続
従来はすべてのセンサーの再接続が必要でしたが、切断されてしまったセンサーのみを再接続できるようになります。

・アプリの全画面表示
ビデオ撮影画面やモーション送信画面において、アプリを全画面表示することができます。デフォルトでは画面のシングルタップで全画面表示を終了します。全画面表示を終了する方法は、設定メニューから選択することができます。

・キャリブレーション時の案内表示
モーショントラッキングの精度をより高くするために、キャリブレーションの結果をわかりやすくフィードバックする画面を追加しました。

・モーションのフレームレート変更
モーションのフレームレートを変更することが可能です。デフォルトのフレームレートは50Fpsです。

・背景変更(フォト背景)
背景選択画面から任意の画像やカメラ画像を選択できます。

・モーション伝送時に画面を暗くする
モーション伝送時に画面を暗くすることで電力の消費を抑えます。デフォルトでは本機能はonになっています。

・ベータ機能の追加
mocopiの正式リリース版の完成に向けた最終調整を目的として配信される開発途中の機能が追加されました。詳細はこちらのページをご覧ください。

・アバターの位置や回転の調整
ビデオ撮影画面やモーション送信画面で「カメラを固定」が有効な際に、アバターの位置や回転を調節できるようになりました。

このうち「背景変更(フォト背景)」は、その名の通り「mocopi」アプリの背景を、スマホ内の画像やカメラ画像から選択できるというもの。すでに「AR機能」は存在していた「mocopi」ですが、より手軽な背景の設定ができるようになりました。UIを非表示にできる「アプリの全画面表示」も、配信向けに嬉しい機能です。

そのほかにも、より精度の高いキャリブレーションを促すために、キャリブレーション結果をフィードバックする機能が追加されたり、モーションのフレームレート変更も追加されたりと、細かなところにも手が加えられています。

手首が太ももに……? VRに特化したベータ機能を試してみた

そして、「ベータ機能」から選択できる「VR向け下半身優先」は、VRデバイスとの併用を想定した開発中のモード。「mocopi」は「VRChat」などのソーシャルVRでも利用できますが、その際にはVRヘッドセットを頭に、コントローラーを両手に持つ都合上、頭部と両手首のセンサーが事実上機能していませんでした。

これを解決すべく開発されたのが「VR向け下半身優先」モード。手首のセンサーを太ももに装着することで、下半身のトラッキングポイントを5点に増やし、トラッキング精度を向上させることができます。

リリースに先駆け、筆者は本機能のデモンストレーションを見せてもらいました。検証プラットフォームは「VRChat」です。

下半身の5点に、頭部とコントローラーを握る両手の3点が加わった、計8点トラッキングとなり、動きの質はより向上。特に「足だけを動かす」ような動作に強くなった印象です。

座り動作もこの通り。以前はもう少し腰の位置が定まりにくい印象でしたが、だいぶ改善しているように思います。

このあと筆者自身も体験してみましたが、足の表現力と精度が向上したこと、なにより手首のセンサーが無駄にならないことで、「VRChat」でも使い勝手はよりよくなっているように感じました。なお、「mocopi」は「VRChat」のほかにも「cluster」と「バーチャルキャスト」にも対応しているため、とりわけ配信者などにうれしい新機能となりそうです。

なお、デフォルトの手首センサー用のバンドでは、太ももへの装着には長さが足りないため、専用のバンド提供が予定されています。こちらは無償で提供されるとのことです。

きっかけは一本のYouTube動画。”ユーザーとともに”機能を作っていく

ソニーがこうした「開発中機能の提供」をユーザー向けに行うのは、なかなかに異例のことです。そのきっかけになったのは、海外のYouTuber・ThrillSeeker氏だった、とのことです。

ThrillSeeker氏の「mocopi」レビュー動画は、当初「mocopiはすばらしいが、VRChatには向いていないかも」と評価。これを見た「mocopi」開発チームは、真っ先にThrillSeeker氏にコンタクトを取り、「VR向け下半身優先」の先行提供を行ったのだそうです。

「VR向け下半身優先」を試したThrillSeeker氏は、この機能を称賛。「ソニーが本当にフィードバックを聞いてくれた!」と、その対応フローも含めてポジティブな評価を発信しています。

この一件や、9月に開催されたライトニングトークイベント「mocopi Autumn Camp」の開催を経て、「よりユーザーのフィードバックに耳を傾ける」重要性を実感した「mocopi」チームは、今回「ベータ機能」の開放に至ったのだそうです。特に「VRChat」ユーザーはThrillSeeker氏含めてフィードバックが多く、その点も「VR向け下半身優先」の提供に踏み切った理由とのことです。

2023年のグッドデザイン賞を受賞し、VTuberを中心とした活用は進んでいる「mocopi」ですが、ソーシャルVR向けのフルトラッキングデバイスとしては、シェアはまだまだ広くありません。「ユーザーの皆様と一緒に機能を作っていきたい」という思いを語る担当者からも、「mocopi」の”本気”はいまだ衰えていないことが伝わってきました。

モバイルモーションキャプチャー「mocopi」は、ソニー公式ストアを中心に販売中です。10月5日(木)からは、5,500円OFFで購入できる「mocopi はじめてのモーションキャプチャー応援キャンペーン」も実施中です。

(参考)公式サイト


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