Home » 世界最大の32インチ3D裸眼立体視ディスプレイ「Looking Glass 8K」発表、DCEXPOで初公開


業界動向 2019.11.13

世界最大の32インチ3D裸眼立体視ディスプレイ「Looking Glass 8K」発表、DCEXPOで初公開

2019年11月13日、Looking Glass Factory社は世界最大かつ高解像度の3D裸眼立体視ディスプレイとなる、32インチサイズの「Looking Glass 8K Immersive Display」を発表しました。本製品は、11月13日~15日に幕張メッセで開催される「デジタルコンテンツEXPO2019(DCEXPO2019)」の同社ブースで、世界初公開されます。


(提供: Looking Glass Factory. ©2019 All Rights Reserved)

「Looking Glass 8K Immersive Display」の発表に先立って、Looking Glass Factory社の共同創立者兼CEOのShawn Frayne(ショーン・フレイン)氏が来日。自らプレゼンテーションを行いました。

従来の「Looking Glass」から約4倍に画面が拡大。発色なども最高レベルに

「Looking Glass」は3D映像を裸眼で立体的に見ることのできるディスプレイです。2018年後半に最初のモデルとして、スタンダード(8.9インチ)とラージ(15.6インチ)の2機種が、開発キットの形で登場。現在までに数千セットが販売されています。また2019年5月には、PCを内蔵したオールインワンモデルの「Looking Glass Pro」も発売されました。

今回発表された「Looking Glass 8K Immersive Display」は、画面サイズが32インチ、最大表示画素数は7680×4320ピクセルと、既存モデルのラージサイズ(15.6インチ)から画面が約4倍に大型化。加えて画面がより明るく、発色もより鮮やかになっており、2Dのモニターと比べても映像のクオリティにほとんど違和感がありません。リフレッシュレート60Hzでの色域は16億色を超えており、「現在市場に存在している3D裸眼立体視ディスプレイの中で、忠実度も最高レベルに達している」とのこと。


(提供: Looking Glass Factory. ©2019 All Rights Reserved.)

また、従来のLooking Glassではディスプレイ部分にかなりの厚みがありましたが、「Looking Glass 8K」では2Dディスプレイとあまり変わらない程度の厚みになっており、ここでも技術の進歩が感じられます。


(提供: Looking Glass Factory. ©2019 All Rights Reserved.)

本製品は企業向けのエンタープライズモデルとなっており、8Kディスプレイに加えてハイエンドPCやLeap Motionコントローラも同梱される、オールインワン型の“ホログラフ・ワークステーション”として発売されます。Looking Glass Factory社では全世界で先行予約を受け付けており、2020年春に出荷を開始する予定です。価格に関しては「需要を見て判断したい」とのことから、現時点では未公表となっています。

医療分野などへの普及に加えて、2020年には3Dによるビデオコミュニケーションも

「Looking Glass 8K」の発表に際して、ショーン・フレインCEO自ら、各種のデモを披露してくれました。

(提供: Looking Glass Factory. ©2019 All Rights Reserved.)

企業向け分野の中でも、特に医療に関しては期待しているようで、「まず医療系の学校、次に医師の診察室、そして手術室に本製品を置いてもらいたい」と語っていました。

医療分野の3D画像に関しては、HoloLensなどのデバイスも普及を目指しているそうですが、フレイン氏によると「医療関係者はヘッドセットの装着をあまり望んでいない」とのこと。それに対してLooking Glass 8Kであれば、解剖学的な情報を複数の人間が同時に、ヘッドセットなどをつけることなく、3Dで詳細に見られると強調していました。


(提供: Looking Glass Factory. ©2019 All Rights Reserved.)

今回披露されたデモの中でも特に印象的だったのが、3D映像を用いたビデオコミュニケーションです。取材時には、開発者の女性をリアルタイム3Dキャプチャした映像が披露されました。フレイン氏によるとこの映像は、マイクロソフトの「Azure Kinect DK」で使用されている深度カメラを使って撮影したものを、Scatter社のソフトウェア「DepthKit」で処理しているとのこと。


(提供: Looking Glass Factory. ©2019 All Rights Reserved.)

「ここで使用した深度カメラは、HoloLens 2に搭載されているもの。すでに市場に出回っているデバイスや技術を使用しているので、10年先、100年先の話ではなく、来年の2020年に実現するものです。東京オリンピックまでには、東京とニューヨークや上海をつないで、ヘッドセットをかぶることなくホログラフィック・ディスプレイという窓を通して、3Dで体験を共有できるのです」と、フレイン氏は語っていました。

最新テクノロジーを日本で発表することで、より力強い市場を目指す

それにしても驚いたのは、初代のLooking Glassから今回発表された「8K」まで、わずか1年間での技術の進歩の早さです。その裏には何か秘密があるのかフレイン氏に聞いたところ、「2つの秘密がある」と説明してくれました。


(提供: Looking Glass Factory. ©2019 All Rights Reserved.)

まず1つ目の秘密は「ハードウェアとソフトウェアを両方とも内製化して、一緒に作っているから」とのこと。すべてを自社で開発しているため、製品としての完成が早くなるそうです。

そして2つ目の秘密は、「これまでの歴史になかった3つの力が働いている」として、以下のように語ってくれました。まず1つ目は、ディスプレイの画素密度がどんどんと高くなっている点。2つ目にコンピュータに関しても、GPUのパワーが向上している点。そして3つ目は、3Dのコンテンツが今では無数に存在している点です。

この3つの力がちょうど今現在揃っていることで、5年前には無理だった技術が実現可能になっているのだとか。「もちろん我々の人材のおかげもあるけれど、タイミングがラッキーだった」と、フレイン氏は語っていました。


(提供: Looking Glass Factory. ©2019 All Rights Reserved.)

また、Looking Glassの最新モデルである「Looking Glass 8K」を、日本の幕張で開催される「DCEXPO2019」の会場で世界初公開する理由について、フレイン氏は「日本のコミュニティが強力だから」と説明しました。フレイン氏によると、Looking Glassにはアメリカと日本に、それぞれ大きなコミュニティが存在しているとのこと。そこで「日本で新しいテクノロジーを発表することで、より力強い市場にしたい」そうです。

「ホログラフィック・ディスプレイが世界に普及するための推進力は、クリエイターのコミュニティが存在することだ」とフレイン氏。多くの人々がさまざまなアプリケーションを制作することで、1社だけでソフトを作るよりもずっと早く、世の中に広めることができるとのこと。

ちなみにフレイン氏によると、これまで制作されたLooking Glass用のソフトウェアは、SDK上でのわずかなアップデートによって、すべて「Looking Glass 8K」でも動作するそうです。

記事冒頭でも紹介しているとおり、「Looking Glass 8K Immersive Display」は、幕張メッセで2019年11月13日~15日に開催される「DCEXPO2019」のLooking Glass Factoryブースに展示されており、各種のデモンストレーションを会場で見ることができます。また11月15日の14時からは、会場内の「DCEXPOステージ」にて、同社のショーン・フレインCEOによる講演も行われます(要事前登録)。

「Looking Glass 8K: Immersive Display」仕様

表示画素数(最大)

7680ピクセル×4320ピクセル

リフレッシュレート

60Hz

表示色

約1070万色

アスペクト比

16:9

ライトフィールドクラス

45エレメント水平視差

見るための適正距離

0.3~3m

視野角

40~50度

見るための適正人数

最大12名

電源供給方式

入力 AC100~240V 50/60Hz

入力接続

・2 x Display Port入力
・USB入力

オーディオインターフェース

Audioライン入力

本体重量

約28.6kg(平均値。本体質量は記載の値と異なる場合があります)

外形寸法

約幅73.4cm x 高さ42.4cm x 奥行10.2cm(突起部含まず)

ソフトウェア互換性

・Unity
・Unreal Engine
・Three.js Library
・3D Model Importer(accepts native gLTF, GLB & OBJ formats)
・Lightfield Photo App
・Depth Media Player

同梱品

・Looking Glass 8Kディスプレイ
・Looking Glass 8Kベースプレート
・電源ケーブル
・2 x Display Portケーブル
・USB-Bケーブル
・Leap Motionコントローラ
・特別仕様Pelicanキャリーケース
・マウントスタンド
・ハイエンドPCバンドル(i7 CPU, 16GBメモリ, GTX 2080Ti GPU, 256GB SSD)


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード