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さながら“どこでもドア”? KDDIが「かぶらないVR」に取り組むワケ

10月15日~18日にかけて幕張メッセで行われた技術エキスポ「CEATEC 2019」。各分野の最新技術・情報が一堂に会するこのイベントで、とある展示が来場者の目を引いた。KDDI(au)が開発した「XR Door」だ。

スマートフォンのカメラを通じて映し出される現実世界の中に、ARのドアが出現。ドアを開けて“中に入る”と、そこには別世界が広がっている――その様は、さながらドラえもんのひみつ道具「どこでもドア」を連想させる。

その「XR Door」の企画・開発を担当した、KDDIの氏原佳彦氏と浅井拓己氏に開発の経緯やこれまでの活動、今後の展望について話を訊いた。


(画像左:KDDI サービス本部 プロダクト開発1部 プロダクト2グループの氏原佳彦氏。 画像右:同グループの浅井拓己氏)

ARのドアをくぐると、一瞬で別空間へ

――今回のCEATECに出展された「XR Door」ですが、各メディアでも“どこでもドア”などと呼ばれて注目されていましたね。このXR Doorがどういうものか、あらためて教えていただけますか。

氏原佳彦氏(以下、氏原):

アプリを起動すると、スマートフォン越しの現実映像の上にARドアが出現します。ドアを開け、実際に移動して“中に入る”と、遠く離れた空間を体験することができるようになっています。この空間は360度動画とCGで作られているんですよ。また、ドアをスワイプすると移動先の空間チャンネルを切り替えることもできます。

https://www.youtube.com/watch?v=G14WoByWeC0

氏原:

他のメディアさんでの呼ばれ方は……もちろん、私たちが自らそう呼んでいるわけではないんですけど(笑)、サービスの内容やUIからそう書かれている方々もいらっしゃいましたね。

浅井拓己氏(以下、浅井):

例えば、こちらはKDDI総合研究所の技術で作ったサッカースタジアムの自由視点空間です。選手を3Dモデル化しているのでXR Doorに応用し、自分で動き回りながらピッチ上のサッカー選手を間近で見て歩くことができる、という仕組みですね。

浅井:

空間共有機能があるので、他の人と複数人で同じ空間に入ることもできます。タップすると画面上にハートが出る仕組みがあり、他の人が出すハートも見える。ハートマークで他の視聴者がいる場所もわかるため、コミュニケーションをとっているかのような感覚になります。各ユーザーの位置情報はクラウド上で共有しています。

氏原:

今回のCEATECでは、Galaxy Fold(※)の国内販売開始と同時期だったこともあり、Foldでは「端末を開くとドアが出現する」という仕組みを取り入れています。アプリ自体は他の端末でも動きますが、今のところこの演出部分は他のデバイスでは真似できないですね。

(※Galaxy Fold:韓国サムスン製の折りたたみ式スマートフォン。2019年11月現在はau独占で国内販売されている)

浅井:

他にも、弊社の「SATCH VIEWER(サッチビューワー)」というスマホARアプリでは、映画「アルキメデスの大戦」公開に合わせて「“アルキメデスの大戦”への扉」というコンテンツも公開しています。これは映画に登場する戦艦大和のデッキ上を歩ける、という内容です。

扉を開けると戦艦大和の甲板に……映画「アルキメデスの大戦」ARコンテンツが配信

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――XR Doorでは「ドアを開ける」という手順が、リアルとVRを切り替えるスイッチにもなっていますよね。

氏原:

ただ単にアプリを起動して360度空間を見るよりも、「ドアを開ける」というアクションを挟むことで、VRヘッドセットをかぶるほどではないにしても、よりVR空間に没入できると思います。「ドアを開けて隣へ移動する」というのはほとんどの人が体験しているはずで、動きもイメージしやすいはずですからね。

VRやARは「着実に積み重ねている」

――KDDIではいつごろからARやVRコンテンツの研究開発を始めましたか。

氏原:

ARはSATCH VIEWERを2012年にリリースしています。一方、VRコンテンツに関しては4年くらい前から取り組みが始まりました。これまでに私が担当したものでは、長崎県にあるハウステンボスの「ジュラシックアイランド」がありますね。

ホンモノの無人島で恐竜退治、ARアトラクション「JURASSIC ISLAND」体験レポ

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氏原:

宮城県のチャチャワールドいしこしで展開している「ジュラシック退治ゲーム」も弊社で開発したものです。ハウステンボスのほうはGPSベース、チャチャワールドのほうはテントの中でできるARシューティングゲームという違いはあります。テーマパークEXPO 2018の出展では、「VRとARがシームレスに繋がる」要素を新たに開発し、チャチャワールドのアトラクションに応用しました。

ほかにも2018年には「VR View Scope」という望遠鏡型のVRシステムを作って、大阪のあべのハルカスに設置したりしました。それらを経て今回の「XR Door」の登場となります。

お金を入れてのぞくだけ、KDDIの「VR望遠鏡」 あべのハルカス展望台に

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――ここまでの研究開発を振り返って、何か弾みがついたタイミングのようなものはありしたか?

浅井:

ARKitやARCore(※)が標準で実装されている端末が増えたというのは大きいんじゃないかと思っています。今までは他企業のフレームワークを個別に使っていたのですが、ARKitやARCoreのおかげで、技術者の間でも知識と経験が蓄積されてきた感があります。作る側も使う側も環境が整ってきた、ということですね。

(※ARKit、ARCore……それぞれ、スマートフォンで動作するARアプリを開発するためのフレームワーク。iOS向けがARKit、Android向けがARCoreで、それぞれアップル、グーグルが開発している)

VR体験の敷居を下げ、新しい動画の視聴スタイルを提案したい

――VRサービスを作るうえで課題になるのは何だと思いますか?

氏原:

まず大きいのは、「VRコンテンツを楽しむにはVRヘッドセットをかぶる必要がある」ということです。それなりに敷居が高くて、コンテンツの広がりを遅らせている理由のひとつなんじゃないかと。特に女性の方ですとメイクや髪形の乱れも気にされますし……。

今回のXR Doorもそうなんですが、「かぶらなくて済むVR」「覗くVR」でまずはその敷居を下げたかった。それがスマートフォンで簡単に体験できるのはXR Doorの大きな特徴だと思います。360度VR動画のニーズは間違いなくあると思っていますので、お客様にぜひ体験していただきたいですね。

また、先にお話したARシューティングゲームでは、VRの恐竜がリアル空間とシームレスで出現・移動するシステムを開発しました。このように「VRとARがシームレスにつながる世界」を実現することで、お客様の体験価値が上がるのではないかと考えています。しかもXR Doorではそれがスマホで簡単にできるわけですね。

――VRヘッドセットだと機器の設定や操作を覚えてもらう必要もありますよね。

氏原:

私たちとしては操作説明の不要な「ゼロオペレーション」を目指しています。端末が置いてあって、お客様がそれを勝手に触って特に説明なく体験することができる。先にお話したVR View Scopeもそうですが、お金を入れたら、特にお客様が何もせずとも映像が出てくる、というところがいいと思っています。

浅井:

VRヘッドセットは各社からいろいろ出ているんですが、新機種が出るたびにアプリをそれに対応させるのも大変ですし……ヘッドセットの性能や普及率も考えると、スマートフォンから始めるのは正解だと思っています。

――わかりやすく、かつ「今まで自分がやったことがあること」の延長線上にあるということですね。

氏原:

360度映像というとどうしても「VRヘッドセットで楽しむもの」という印象が今はまだありますが、そこを変えていきたいです。そのためには簡単に見られる方法が必要ですし、コンテンツももっと増やしていきたいです。

――他に開発中のものはありますか?

氏原:

360度カメラを定位置に置く、あるいは360度カメラを持った人の映像をストリーミングで流し続ける、そういうリアルタイム配信の仕組みを開発中です。一方で、サーバーから動画を選択するVOD方式での映像配信の仕組みも開発に着手しているところです。それらを通じて新しい動画の視聴スタイルを提案していきたいですね。

https://www.youtube.com/watch?v=eeZ9NJEKFT8

(5Gを活用した、プロ野球のリアルタイム・自由視点観戦の公開実験。2018年6月に発表された)

ただ、リアルタイムのストリーミング配信は、4Gだとどうしても画質やデータ容量の問題が出てくる。現状のコンテンツではどれも配信データのビットレートをかなり下げていると思います。リアルタイムでのストリーミング配信、しかも高解像度の360度映像というのはまさに5G以降の活用事例のひとつになると思います。

浅井:

お客様側の楽しみ方も、これまでの「情報の共有」から「体験の共有」へと変わってきています。5Gでよりブラッシュアップされたコンテンツを提供することで、ユーザー体験の世界もまた変わるのではないでしょうか。

取り組みを継続していくことが重要

――現時点で課題に感じていらっしゃることはありますか。

氏原:

連続性と継続性、でしょうか。AR/VRコンテンツは今まで一過性で終わるパターンが多かったので。家の外でも簡単に使えて、家に帰ってもすぐまた続きができる。そういう連続性があるといいなと。

浅井:

コンテンツの供給量も課題のひとつですね。360度動画はまだ作れる人も少ない状況ですし。ただ、360度動画の撮影には専用の機材が必要ですが、だいぶ価格もこなれてきました。いずれはスマートフォンで気軽に撮影できるようになるといいんですけどね。

氏原:

AR/VRという概念自体についても、ここ最近でだいぶ認知度が上がったと思っています。我々の会社も“AUGMENTED(拡張)”をキーワードに掲げていますが、例えばXR Doorなら「ドアを開ける」という直感的なUIで行きたい世界にすぐ行ける、お客様に期待感を持ってもらう。「実空間を拡張する」というところにフォーカスする時に、そうしたUI・UXの部分を強く意識しています。

XR Doorを使った新たなコンテンツの可能性

――XR Doorの今後の展開は考えていらっしゃいますか。

氏原:

CEATECで展示したXR Doorですが、先ほどお話ししたSATCH VIEWERにも「ドアを開ける」というアクションが組み込まれているので、そういう意味ではすでに商用リリースできているとも言えます。今後はBtoBtoC、BtoCという形でコンテンツの数を増やしていければ、先ほどの「“アルキメデスの大戦”への扉」のように映画のプロモーションなどにも使っていただけるかな、と。

(ARコンテンツ「“アルキメデスの大戦”への扉」。戦艦大和の艦橋に入り込むことができる)

他にも、サッカーのキリンチャレンジカップ2019ではデジタルスタンプラリーとSATCH VIEWERでコラボしまして、スタンプラリーをすべて獲得すると、特別なVR動画が見られるという企画も実施しています。

浅井:

その他ですと、長野県伊那市と「地域活性化の協定」を締結しています。そこでもXR Doorの体験を提供させていただいたんですけれども、伊那市は「移住・定住」というのを掲げていて、実際に「すぐに伊那市に戻れる、伊那市にいてもすぐに他の場所に行ける」という体験で大変喜んでいただけました。

氏原:

観光地や自治体との取り組みも進めています。「VRコンテンツで観光地に簡単に行けますよ、世界中各地に行けますよ」ということですね。ちょっとした旅行体験のようなものです。これは360度動画さえあれば簡単にコンテンツとして提供できます。こうした事例を増やしていきたいですね。

――ありがとうございました。

12月の「XR Kaigi」にて出展&講演

(以下、Mogura編集部)
KDDIは、12月3日および4日に、東京・秋葉原にて開催されるXR Kaigiにて「5GxXRの未来」「5G時代のXR・スマートグラスに関する取組」の2つの講演を行います。

さらに、本記事に掲載の「Galaxy Fold」を活用した「XR Door」に加え、メガネ型MRデバイス「NrealLight」を使用した展示なども行う予定です。

XR Kaigiのチケット購入、詳細確認などはこちらのページから。

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(インタビュー:水原由紀、文:桑原健太郎)



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