グーグルは米国時間2月10日、クラウドストリーミングサービス「Immersive Stream for XR」を一般公開しました。その他、企業向けの「空間テンプレート」や横表示機能が追加され、簡単なARコンテンツ作成も可能になっています。
フォトリアルなレンダリングをクラウド経由で
現在のモバイル向けGPUは、デスクトップPCのGPU等と比べると非力であり、リアルな映像のレンダリングは困難です。これを解決するために、クラウド上で強力なGPUを使用し、レンダリングした映像をモバイル端末にストリーミングする「クラウドストリーミング」と呼ばれる方法がゲームなどの分野で導入され始めています。
今回、一般提供されるグーグル開発の「Immersive Stream for XR」は、主にVR/ARを対象としたクラウドストリーミングサービスです。ユーザーはアプリをダウンロードせずに、リンクへのアクセスやQRコードの読み取りだけで没入感のある体験ができます。またクラウドでレンダリングを行うため、ハードウェア側の動作条件は大きく緩和されます。
BtoC企業のためのテンプレートも用意
グーグルは一般公開に伴い「Immersive Stream for XR」の活用事例を多数、紹介しています。
「たとえば、ホームセンターの買い物客は、レンダリングした実際の生活空間に電化製品や家具を配置してみることができます。旅行会社やホスピタリティ企業では、ホテルの客室やイベントスペースのバーチャル ツアーを実施できます。また美術館では、ユーザーがバーチャル展示の中を歩き回り、展示物を操作できるようなバーチャル体験を提供できます」
「特に自動車メーカーにとって大きなメリットがあります。見込み顧客が写真のようにリアルな新車を隅々まで見てカスタマイズしたり、自宅のドライブウェイに停めた様子を可視化したりすることができます」
同社は消費者向けの空間体験を簡単に作成できるように、ユーザーの移動やオブジェクトの操作を標準化した「空間テンプレート」も合わせて公開しました。これは早期アクセスプログラムを利用したクライアントの要望によって作成された、とのことです。
UE5.0に対応、横表示も可能に
最新の「Immersive Stream for XR」は「Unreal Engine 5.0」で開発されたコンテンツに対応しています。タブレットやデスクトップデバイス向けの横表示でレンダリングする機能も追加されました。この横表示機能によりUIの改善がされています。
またユーザーは、「Immersive Stream for XR」で作成したコンテンツをHTMLタグ要素であるiframe(インラインフレーム)を使ってウェブサイトへ埋め込めるようになりました。これによりドメインから移動しなくとも、コンテンツへのアクセスが可能となっています。
「Immersive Stream for XR」のこちらのリンクからダウンロードできます。またテンプレートプロジェクトはこちらのリンクから入手可能です。