アップルは、日本時間2017年6月6日午前2時から開催された開発者会議の基調講演において、新製品の発表等を行いました。
その中で、新たに発表されたPCシリーズiMacの新型及びiMac ProがPC向けのVRヘッドマウントディスプレイHTC Viveに対応することが発表されました。
27インチiMacにVR対応GPUが搭載
新型iMacは、21.5インチモデル、21.5インチRetina4Kモデル、27インチRetina5Kモデルの3モデルが発表されました。この中で、27インチの最上位モデルにはVR対応のGPUであるAMD社製のRadeon Pro 580が搭載されます。
27インチiMacの価格は198,000円(税別)から、すでにアップルストア等にて購入可能です。
アップルは、基調講演の壇上で、新型27インチiMacの最上位モデルを使い、HTC Viveが動作することを、ルーカスフィルム傘下のILMxLabのスター・ウォーズのデモで示しました。このデモは、ILMxLabとエピックゲームズが共同で開発したものです。アップルは27インチiMacの最上位モデルを「VRコンテンツ制作に素晴らしいパフォーマンスを発揮する」として紹介しました。壇上では、エピックゲームズのLauren Ridge氏が同社のゲームエンジンUnreal Engine 4の機能VR Editorを使って、VRの中でダース・ベイダーの位置を決めるなど、VR内でコンテンツづくりが可能なことをデモしました。
iMac ProもVR対応 12月発売
アップルはiMacのプロフェッショナルモデルとしてiMac Proシリーズを新たに発表しました。27インチの5KRetinaディスプレイにAMD社の新型GPUであるRadeon Pro Vega 56グラフィックプロセッサかRadeon Pro Vega 64グラフィックプロセッサを搭載し、VRに対応。12月に発売予定、価格は4,999ドル(米国、日本円にして約55万円)とされています。
VR対応iMac、iMac Proスペック比較
今回VR対応が発表された27インチiMacとiMac Proの性能比較は以下の通りです。
27インチiMacのスペック比較
\Radeon Pro 570搭載モデル | Radeon Pro 575搭載モデル | Radeon Pro 580搭載モデル(VR対応) | |
CPU | 3.4GHzクアッドコアIntel Core i5プロセッサTurbo Boost使用時最大3.8GHz | 3.5GHzクアッドコアIntel Core i5プロセッサTurbo Boost使用時最大4.1GHz | 3.8GHzクアッドコアIntel Core i5プロセッサTurbo Boost使用時最大4.2GHz |
メモリ | 8GB 2,400MHzメモリ(オプションで最大32GBに変更可能) | 8GB 2,400MHzメモリ(オプションで最大64GBに変更可能) | 8GB 2,400MHzメモリ(オプションで最大64GBに変更可能) |
ストレージ | 1TB Fusion Drive1 | 1TB Fusion Drive1 | 2TB Fusion Drive1 |
GPU | Radeon Pro 570(4GBビデオメモリ搭載) | Radeon Pro 575(4GBビデオメモリ搭載) | Radeon Pro 580(8GBビデオメモリ搭載) |
映像出力 | Thunderbolt 3ポート x 2 | Thunderbolt 3ポート x 2 | Thunderbolt 3ポート x 2 |
ディスプレイ | 5,120 x 2,880ピクセル解像度のRetina 5K P3ディスプレイ | 5,120 x 2,880ピクセル解像度のRetina 5K P3ディスプレイ | 5,120 x 2,880ピクセル解像度のRetina 5K P3ディスプレイ |
価格 | ¥198,800 (税別) | ¥220,800 (税別) | ¥220,800 (税別) |
※別売りのThunderbolt 3用アダプターを通してHDMI接続が可能。
iMac Proのスペック
CPU | 8コア、10コア、18コアプロセッサ |
メモリ | 32GB 2,666MHz DDR ECCメモリ(オプションで最大64GBまたは126GBに変更可能) |
ストレージ | 1TB SSD(オプションで2TBまたは4TB SSDに変更可能) |
GPU | Radeon Pro Vega 56グラフィックプロセッサ(8GB HBM2メモリ搭載)(オプションでRadeon Pro Vega 64グラフィックプロセッサ(16GB HBM2メモリ搭載)に変更可能) |
映像出力 | Thunderbolt 3ポート x 4 |
ディスプレイ | 5,120 x 2,880ピクセル解像度のRetina 5K P3ディスプレイ |
価格 | 4,999ドルから |
Macbookは外付けGPUでVR対応
また、ノートPCであるMacbookは、外付けGPUデバイスによりVR対応となることが明らかになりました。このデバイスは開発者版とされており、AMD社のRadeon RX580を搭載しています。RadeonRX580はNVIDIA社のGPUであるGTX1060と1070の中間程度の性能であり、VR対応を謳わないまでも、HTC Vive等が動作すると考えられます。
なお、MacbookでのVRの動作に関しては、CPU性能に関する懸念があります。さらなる続報、実機検証を待ちたいところです。
この外付けデバイスは、MacbookとはThunderboltを経由して接続します。
現在開発者版のみの提供となっており、数ヶ月以内にコンシューマー版を販売するとのこと。
今回対応したのはSteam VR
今回、アップルの各種新製品でVR対応したのは「Steam VR」というValve社が提供しているシステムになります。Steam VRは新製品発表と同じタイミングでMacへの対応を発表しています。
Steam VRはHTC ViveなどVRのコンテンツを動作するために必要なものとなっています。Oculus RiftもSteam VRでは動作しますが、Oculus社はMac対応を公式に謳っておらず、HTC Viveのみ動作する可能性が高いと考えられます。
グラフィックAPI Metal 2がVR対応
さらにアップルは開発社向けに、グラフィックAPI Meta2のVR対応を発表しました。VRに最適なパイプラインを組み込んでいます。
UnityとUnreal Engine 4もMacでのVR開発に対応へ
VRコンテンツを開発するための2大ゲームエンジンUnityとUnrel Engine 4は、いずれもMacでVRコンテンツを可能にする開発者キットに対応しました。これにより、Macで両エンジンを使ってVRコンテンツ制作が可能になります。
Final Cut Pro Xでの360度動画制作に対応
プロフェッショナル向けにアップルが提供している動画編集ツール「Final Cut Pro X」では360度動画の編集が可能になりました。Adobe社の「Premiere Pro」とともに、いずれのツールも360度動画へ対応したことになります。
(参考)
Road to VR
http://www.roadtovr.com/apple-embraces-vr-every-virtual-reality-announcement-todays-wwdc-keynote/
Mogura VRはRoad to VRとパートナーシップを結んでいます。