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投資 2023.06.14

AI×アバター企業のHyperが約5億円を調達、Amazonなど出資

6月12日、米スタートアップのHyperが360万ドル(約5億円、2023年6月時点)を調達しました。同社はVTuber向けの配信プラットフォームアプリ「Hyper Online」を運営しているほか、AIを使ったアバター生成にも注力しています。本調達にはAmazon関連の投資会社も参加し、VTuber産業の成長に大きな期待が寄せられています。

(出所:Hyper。以下、画像の引用元は同じ)

本調達はシードラウンド。Two Sigma Venturesが主導し、MakersFund、Amazon’s Alexa Fundなどが参加しています。また個人投資家として、Brud, Inc. 創業者兼Lil MiquelaクリエイターであるTrevor McFedries氏、Facemoji 創業者兼CEOのRobin Raskza氏、Farcaster 創業者兼CEOのDan Romero氏らが参加しています。

スマホで完結できるVTuber配信アプリ

Hyperは2020年設立。サンフランシスコを拠点とし、VTuber向けの配信プラットフォームアプリHyper Onlineを運営しています。2021年には、米シリコンバレーの名門アクセラレータ「Y Combinator」による「Winter ’21 cohort」の一社に選出されました。

「Hyper Online」ではPCや配信用のカメラ機材などを使わずに、スマートフォンのみでアバターを作成でき、アプリ内でライブ配信が可能。またライブ配信向けツール「OBS」経由でアバター動画をエクスポートし、他のコンテンツと組み合わせて各種配信サービスでライブ配信できます。VRM形式アバターのインポートも可能です。

AIアバターやスマホカメラトラッキングも

Hyperは「Hyper AI」 機能を展開しています。この機能を使ってアバターの性格やバックグラウンドを設定すると、”そのアバターらしい”会話を自動で配信します。この機能はOpenAI提供の生成AIサービス「ChatGPT」を活用しています。同社は、休みなく配信するVTuberの代理アバターの提供を目指しているようです。

また、スマートフォンのカメラを使ったフェイストラッキング及びハンドトラッキング機能もベータ版として提供中です。これらのトラッキング機能は、TrueDepthカメラを備えたiOSデバイス(FaceIDをサポートするデバイス)でのみ動作します。

なお、本記事執筆時点では「Hyper Online」アプリはiOSのみに対応しており、Android版は近日中にリリースされる予定です。

まずはアバターAIアシスタント分野に進出

Hyperは得られた資金を使って、既存事業の継続とアバター技術に基づく新製品の開発に取り組む、とのこと。まずはアバターAIアシスタント事業に進出する予定です。

資金調達に際し、Hyperの創業者でありCEOを務めるAaron Ng氏は、「我々は世界最大のアバター企業になりたいと思っており、それが実現できると考えています。(中略)また出資社であるAmazon’s Alexa Fundは大量のIPを保有しており、私たちは彼らと仕事ができることに興奮しています」とコメント。

Amazon’s Alexa Fundは、Echo/Alexaの音声AIエコシステム内のスタートアップに資金を提供するために設立されましたが、現在は複合的なメディアやVR/ARコンテンツ、クリエイターエコノミーなどに取り組む企業にも、その投資対象を広げています。

(参考)HyperTechCrunch


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