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業界動向 2023.04.25

元Apple従業員が創業のHumane、AIウェアラブルデバイスのデモを公開。手のひらにAR表示や翻訳機能も

4月20日、サンフランシスコに拠点を置くHumaneは、開発中のAIウェアラブルデバイスのデモを公開しました。共同創業者であるImran Chaudhri氏のTEDプレゼンテーション内で披露され、大きな注目を集めています。


(出所:Humane)

AIウェアラブルデバイスが”話す”

現地時間4月20日、Humane共同創業者のImran Chaudhri氏は、カナダ・バンクーバーで開催されたTED2023に登壇。同氏はAIを搭載したウェアラブルデバイスをシャツの胸ポケットに入れて、複数のデモを行いました。

(出所:The Verge)

まず実演されたのは、架かってきた電話情報を手のひらにAR投影するデモ。Chaudhri氏はARの詳細を確認した後に電話に出ました。このウェアラブルデバイスは、あらゆる場所にデジタル情報を投影できるようです。

このウェアラブルデバイスのAIは対話形式でのユーザー支援も可能。Chaudhri氏が発したメッセージを、彼の声のままフランス語に翻訳しスピーカーを通してAIが発話したり、受信したメールやメッセージの内容を要約してAIが伝えたり、といったデモも行われました。

最後に同氏は、ウェアラブルデバイス付属のカメラを通して食品をAIに認識させ、ユーザーの食事管理に適した食品かどうかを判断するデモも披露しています。

Chaudhri氏はこれらのデモ中に「将来、AI技術は生活環境に入り込み、かつ文脈的になる(In the future, AI technology will be both ambient and contextual.) 」と発言しました。

Apple出身エンジニアらが創業。調達総額は約2億ドル

Humaneは2017年創業。サンフランシスコを拠点するスタートアップで、共同創業者のImran Chaudhri、Bethany Bongiorno夫妻は共にAppleの出身です。

CEOのBongiorno氏はソフトウェアエンジニアリングのディレクターを務め、チェアマンのChaudhri氏は元デザイン部門のディレクターとして20年間、iPhoneやiPadといった主力製品に携わってきました。また両名とも多くの特許を取得しており、一部は個人に帰属しています。同社の最高技術責任者であるPatrick Gates氏もAppleの元シニアディレクターです。

同社は今日まで製品を1つもリリースしておらず、事業計画についても多くを語っていません。しかし2020年、2021年と相次いで調達を成功させ、2023年5月にはシリーズCラウンドで1億ドルを調達。これまでの調達総額は2億3000万ドル(約309億円、2023年4月25日時点)に達しています。

2023年5月の調達に際し、共同創業者のChaudhri氏は「私たちの最初のデバイスは、人々がAIをどこにでも持ち運べるようにするものです。この技術の真のパワーと可能性を完全に活用できるプラットフォームとデバイスをいかに構築するかに注力してきました」とコメントしています。なお、この調達にはMicrosoftやLG、Volvo、OpenAI創業者のSam Altman氏が参加しています。

Humane初のデバイスは2023年に登場か?

Chaudhri氏は、デモの最後に「このデバイスには、我々が知っているような人間とテクノロジーの関係を再構築する可能性があります」と付け加え、今後数ヶ月の間にさらなる詳細を発表する、と明らかにしました。

またHumaneの公式Twitterプロフィール欄には「同社初のAIデバイスとソフトウェアプラットフォームを2023年に公開する」との文言もあり、年内の製品発表が期待されます。

(参考)VRScoutThe VergeTED2023

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