バーチャルリアリティに関連する技術に「Holographic display(ホログラフィック・ディスプレイ)」があります。
VR/AR(デバイス)との違いは何か、裸眼立体視ディスプレイを手掛けるLooking Glass Factory社の共同創立者兼CEO、Shawn Frayne氏が同社ブログ記事にて解説しました。
本記事はその要約となります。
ホログラフィックディスプレイとは
ホログラフィックディスプレイは、“ホログラフィックインターフェース”、“ライトフィールドディスプレイ”、“ボリューメトリックディスプレイ”等様々な名称で呼ばれています。しかし覚えておきたいのは、VRやARとは(技術的には)根本的に異なるものだ、ということです。なぜなら、ホログラフィックディスプレイを使うためにヘッドセットは不要だからです。
これから、それぞれの概説と共に、どのように異なるのかを説明します。
Virtual Reality (VR)
現実を離れて超空間へ入ります。例えるならスキューバダイビングです。ただしヘッドセットを装着するため、体験は一時的なものとなります。
Augmented Reality (AR)
グラス型やゴーグル型のデバイスをつけ、現実世界に重なるデジタル画像を見ます。例えると、二つの世界の間に存在するシュノーケリングのようなものです。多くの場合、デバイスを必要とします。
ARには様々な形態があります。現実ともインタラクション可能な三次元のAR(Hololens 2やMagic Leap One)、二次元の画像を重ねるAR(Google Glass 2、Focals等)。そして二次元の中には、タブレットやスマートフォンを用いるもの、例えばIKEA PlaceやポケモンGoといったアプリがあります。
Holographic Display
VRやARのように例えるなら、ホログラフィックディスプレイは自室に大きな水槽を置くようなものです。デバイス類を頭につけることなく、複数人が一緒に観賞できます。この、複数人がディスプレイを囲み、同時にバーチャルの世界を体験できる点が特長です。ヘッドセットは必要ありません。
ひとくちに「ホログラフィックディスプレイ」といっても、技術の程度やニーズなど様々な種類があります。以下に詳細な分類を説明します。
スーパーステレオスコピック・ディスプレイ(Superstereoscopic Displays)
別称スーパー・マルチビュー・ディスプレイあるいはライトフィールド・ディスプレイ(Super Multi-view or Light Field Displays)。ホログラフィックディスプレイの中で、おそらく最も多用途のシステムです。多数の視点から同時に撮影された3次元の映像を用い、複数人が同時に、立体的なバーチャル体験ができます。基本的に、マーカーやヘッドセット、トラッキング用のパーツは不要です。
デジタル、実写共に肉眼に近いリアルな画像を見せられますが、コストは高くつきます。また大量のデータを扱うため、コンピューターの高い処理能力や高画素密度も求められます。そのため、まだ市場で普及はしていません。
Swept-volume volumetric displays(スウェプトボリューム・ボリューメトリック・ディスプレイ)
振動する平板やらせん構造物で光を拡散させます。数十年前から三次元映像のインターフェースとして存在しますが、視野に限界があることから普及は限定的です。
2D pseudo-holograms(2D疑似ホログラム)
ホログラムサイネージや、視覚トリック「ペッパーズゴースト」が例です。特に観客が30フィート(約9メートル)以上離れて閲覧する、広告やエンターテインメントで多く用いられます。
ホログラムについてはこちらの記事でも説明しています。
(参考)Medium