Home » 北海道電力が火力発電所でMR活用、安定運転に寄与


活用事例 2022.07.29

北海道電力が火力発電所でMR活用、安定運転に寄与

2022年7月、北海道電力株式会社は、MR(Mixed Reality/複合現実)を活用した巡視点検業務用のアプリケーションを開発し、国内初となる火力発電所での使用を開始しました。MR活用による技術継承の効率化および技術レベルの標準化により、設備の異常兆候を早期検知、発電所の安定運転につなげます。

MRの活用で効率的に技術を継承

北海道電力の火力発電所では、トラブルの未然に防ぎ、電力を安定供給するため、定期的に設備を巡視点検しています。しかし、設備異常を早期発見するためには経験とノウハウが必要です。これまでは研修や実務で技術を習得していましたが、効率的な継承が課題となっていました。

今回は効率化のために巡視ルートや点検内容を明確にし、標準化・可視化できる巡視点検アプリケーションを開発。MRデバイスに表示された順路に沿って移動すると、現在地に対応した作業指示や参考資料が空間上に表示されます。これにより、作業員は正確かつ迅速に巡視点検ができます。

巡視点検アプリケーションではMRデバイス「HoloLens 2」をベースとしたヘルメット一体型デバイス「Trimble XR10」や、マイクロソフトのソリューションである「Azure Spatial Anchors」などを活用しています。

Azure Spatial Anchorsを活用して広い範囲をナビゲーション

この巡視点検アプリは、発電所の約2kmにわたる広い範囲をナビゲーションします。この広い範囲のナビゲーションをGPSやビーコンなどを用意することなく、Azure Spatial Anchorsの空間認識により実現しています。

Azure Spatial Anchorsはマイクロソフトが提供するクラウドサービスで、認識した空間の特定の場所を指定する空間アンカーをクラウド上で保持できます。指定した場所をつないでナビゲーションに利用できます。また、物理的な空間の場所に応じた3Dコンテンツやデータを配置して、MRデバイスやスマートフォンで表示できます。

北海道電力は、主要な火力発電所に巡視点検アプリケーションを導入するとともに、MRの現場業務への活用を進め、全社に展開していきます。今後は同様の課題を抱える他の発電事業者への巡視点検アプリケーションの展開も進めるなど、電力の安定供給への貢献を目指しています。

(参考)プレスリリース(マイクロソフト)プレスリリース(北海道電力)


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード