Home » 「銀座四丁目交差点」の高精細3DCG、スタジオ撮影に 大日本印刷が提供


活用事例 2023.11.28

「銀座四丁目交差点」の高精細3DCG、スタジオ撮影に 大日本印刷が提供

大日本印刷株式会社が、「銀座四丁目交差点」の高精細3DCGデータを、インカメラVFX用途で提供します。地域の文化資源を活かしたデータ開発の一環で、登録有形文化財「神田明神」に続く2作目です。ソニーPCL株式会社のデジタル背景ライブラリ「BACKDROP LIBRARY」から利用できます。


(出所:大日本印刷)

バーチャルプロダクションの手法のひとつである「インカメラVFX」は、スタジオ撮影の背景にLEDパネルで3DCGを投影し、カメラの移動に合わせてリアルタイムで背景を描画する手法です。テレビドラマやCM撮影、映画のプリビズなどで使われており、現地の天候・時間帯に依存せず、より臨場感のある映像をスタジオで作り出せます。

大日本印刷は2015年頃から、文化資源の保存・活用にフォトグラメトリ(撮影データから3Dモデルをつくる手法)を取り入れ、さまざまなデータ活用手法を考案しています。2023年9月には登録有形文化財「神田明神」の3DCGデータの配布を開始。世界遺産「仁和寺『金堂』」も今後、提供予定です。

VR/AR活用事例でも知られる歴史スポット

今回新たに発表された「銀座四丁目交差点」は、百貨店の銀座三越や「SEIKO HOUSE GINZA」(旧称:和光本館)の時計塔などで知られる名所です。江戸時代から繁華街として賑わい、数度の天災・戦災を経て、現在は高級ブランド・飲食店などが立ち並んでいます。

銀座四丁目交差点は、VR/AR技術の活用スポットとしても利用されています。2021年に森記念財団(都市戦略研究所)が「東京タイムマシン プロジェクト銀座VR」の対象エリアとしたほか、2023年7月には三越伊勢丹ホールディングスらがAR広告メニュー「Virtual GINZA mitsukoshi」を発表しました。


(出所:大日本印刷)

大日本印刷によれば、都市部には大きさ・質感の異なる建造物が複雑に入り組んでおり、写真をもとに3D空間をつくると、現実との違和感が残ることがありました。今回の3DCGデータは、計測済みの点群データをもとに様々な専門技術を活かしてつくられており、実物と同じ縮尺で、凹凸や陰影などの細部まで忠実に再現できたとのことです。


(出所:大日本印刷)

「銀座四丁目交差点」データの対象エリアは、交差点を起点に東西南北約1kmの範囲です。大日本印刷は、このデータを用いることで、現地の天候・時間帯や交通状況に左右されず、非日常的な映像表現や、本来の街の奥行きを感じさせる撮影ができるとしています。また、周辺エリアは近年も再開発が進んでいることから、現物が保存しづらい歴史的景観を、将来に向けてより正確に記録できると期待されます。

今回の発表について大日本印刷は、今後も撮影が難しい建物・景観の高精細3DCGデータを充実するとともに、「文化資源や地域の魅力を拡張していく取組をしていきます」とコメントしています。

(参考)プレスリリース


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード