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テック 2019.03.15

フェイスブックが注力 本人そっくりのアバター技術研究

フェイスブックは公式ブログで、実物そっくりのアバターを作成する技術の研究状況について公表しました。将来的には、誰もが数枚の写真や動画からリアルなアバターを作れるようにしたいということです。

VR空間の物理的距離をなくす

このプロジェクトは”Codec Avatars”と呼ばれ、フェイスブックの研究センター、Facebook Reality Labs(以下FRL)のピッツバーグ拠点にて研究が進められています。同社によると、「画期的な3Dキャプチャ技術とAIのシステム」を用いて、本人にそっくりのバーチャルアバターを作成するということです。

FRLピッツバーグのリサーチディレクターYaser Sheikh氏はプロジェクトの目標について、VR空間の人々の物理的な距離をなくし、互いのつながりを「現実世界と同じように自然でありふれた」ものにしたいとしています。

Sheikh氏は「この研究は、最先端のグラフィックスやモーショントラッキングに関するものだけではありません」と説明しています。「VR空間で誰かとコミュニケーションをとることを、まるで目の前の人と接しているかのように自然で無理ないものにする、ということです。人工的な空間に本物のコミュニケーションを作り出す、という点がチャレンジングなのです」

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(本人そっくりのアバターを使い、VR内で会話するユーザー)

最終的にはヘッドセットのみで実現

ただしフェイスブックによると、現段階でこのようなリアルタイムかつフォトリアリスティックなアバターを実現するためには大がかりな装置が必要です。FRLが使う2つの撮影スタジオ(顔用と身体用)は「大きくて非実用的」なものだと同社は述べます。

最終的にはこの課題を解決し、軽量なヘッドセットだけで超リアルなアバターを再現することがフェイスブックの目的です。そのために現在は複数の被験者から1秒あたり1GBのデータを取得し、身体的特性に関するデータベース構築を行っています。これを元にAIシステムが学習。将来的には、スタジオ設備や膨大なデータなしに、数枚の写真や動画だけでユーザーが自身のアバターを作れるようにしたいとしています。

人々が自分自身でいられるように

人々の外見は互いに異なり、その数は計り知れません。これもまた、フェイスブックが解決すべき課題です。FRLのリサーチサイエンティストShoou-I Yu氏は、同社が様々なアクセサリーやヘアスタイルの人物画像を撮影してきたと説明し、「全てが正しく動作するよう、これらのわずかな手がかりも漏れなく捕えなければなりません。非常にチャレンジングかつ力強い取組です。なぜなら、我々は人々が自分自身でいられるよう、研究を行っているからです」と話しています。

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なりすましの問題”deepfakes”

この他に大きな課題として挙げられるのが、”deepfakes”の可能性だとSheikh氏は指摘します。これは他人を騙す目的で、ある人物と同じ外見や声を作り出そうとする行為のことです。Sheikh氏は、「”deepfakes”は我々のプロジェクトに対して実際に存在する脅威です。それは、信頼というものが本質的にコミュニケーションに結びついているからです」と解説します。そして具体例として、電話で自分の母親の声を聞けば、それがどんなに聞こえづらかろうと、母親が話している内容として疑わないだろう、と説明しています。

Sheikh氏によれば、この超リアルなアバター実現にはまだ数年かかるとのこと。FRLは現在、セキュリティや本人確認のオプションといった研究も進めています。

(参考)Road to VR
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