2023年5月2日、米国特許商標庁(USPTO)はアップルの新たな特許を承認しました。今回の特許はXRデバイスではなく、自動車のフロントガラスに情報をAR表示させる技術に関するもの。この技術により、ドライバーの安全性向上等が想定されます。
(出所:Patently Apple)
フロントガラスにARで情報を表示
本特許の正式名称は、「VISUAL CONTENT OVERLAY SYSTEM(視覚的なコンテンツのオーバーレイシステム)」。2021年7月5日に米国特許庁(USPTO)に出願され、2023年5月2日に承認されました。
本特許は、フロントガラスにARを表示する技術です。この技術を使えば、ドライバーに自動車の速度情報を提供したり、学校区域への侵入を警告したり、道路標識を分かりやすく表示したりできるとのこと。また、これらの情報はフロントガラス上のドライバーの視線付近に表示されるため、ドライバーは情報を確認するために視線を移動させる必要がありません。例えば、対向車線を見ながら速度確認もできます。
速度表示や標識の「書き換え」などが可能
特許中には、本技術の活用例がいくつか紹介されています。
制限速度と車両速度の表示
(出所:WIPO)
走行車線の制限速度と現在の車両速度をフロントガラスにAR表示します。車両速度が大きくなるにつれて数字が大きく表示されるようにして、ドライバーに注意を促すことも可能です。
状況に応じて標識を「書き換え」
(出所:WIPO)
走行条件に応じて、道路標識上にAR表示を重ねて情報を書き換えることもできます。例えば、暴風雨などの悪天候では速度制限標識の数値を5マイル/時だけ小さくする、目的地以外のルートに関する表示を不明瞭にする等が考えられます。
ドライバーの死角にある物体を表示
(出所:WIPO)
外部からの情報を使用してドライバーの死角にある物体を認識し、フロントガラスにAR表示できます。上図では、前方の車(上図の420)に隠れて見えない物体(上図の430)の位置を取得・表示しています。
環境内の特定の運転ゾーンを表示
(出所:WIPO)
外部からの情報を元に特定のゾーンを識別し、その領域をハイライトさせます。例えば、学校や交差点、子供の存在が予想される区域などをハイライト表示して、ドライバーに注意を促します。
(参考)Patently Apple、WIPO