HTCは、新たに中国市場に向けて、自社のコンテンツプラットフォームであるViveportに対応した一体型VRヘッドセットを発表しました。HTCはすでにPC向けのHTC Viveを中国で展開していますが、よりカジュアルな一体型VRヘッドセットで中国市場でのシェアの拡大を狙っていると考えられます
中国では自社のコンテンツストアを中心に
HTCは2016年より、PC向けのVRヘッドマウントディスプレイHTC Viveを中国を含む全世界に展開しています。また、今年のはじめ、GoogleのコンテンツプラットフォームであるDaydreamに対応したVive一体型VRヘッドセットを発表しました。
HTCはDaydream対応ヘッドセットは主に欧米市場に向けたものとしており、一方の中国ではコンテンツストアも自社で取り扱いたいと考えています。そこでDaydream対応ヘッドセットと同様の形状で、同社のアプリストアViveportを公式コンテンツプラットフォームとする、Viveシリーズの新たな一体型VRヘッドセットを発表しました。
欧米市場では、現在販売されているHTC ViveヘッドセットではViveportは代替のアプリストアに近い立ち位置になっており、Valveの運営するSteamが主なコンテンツプラットフォームとなっています。
一方中国ではViveportがプラットフォームの中心に近づいており、同社はデスクトップとモバイルの両方でその役割を拡大していきたいとしています。
一体型ヘッドセットはスマートフォンを必要としないため、スマートフォン装着型のVRゴーグルよりVRに最適化した長持ちするバッテリーを搭載することができます。
一体型ヘッドセットは欧米向け・中国向けのどちらもクアルコムのSnapdragon 835搭載VRDKリファレンスヘッドセットをベースにしており、外観は似通ったものになっています。
一体型VR向けのコンテンツを構築
一体型VRヘッドセットを実現するためには、外部センサーなしでプレイヤーの頭の位置をVRに反映させるインサイドアウトトラッキングと呼ばれる技術が重要です。Daydream対応ヘッドセットではGoogleのWorldSenseトラッキング技術を用いることができますが、HTCの自社ヘッドセットではどのようなトラッキング技術を採用するのかが課題となってきます。
また、中国版Vive一体型ヘッドセットがDaydreamストアへアクセスできるのか、あるいはその逆としてDaydreamヘッドセットがViveportへアクセスできるのかということも疑問点となります。
発表によれば、HTCは「一体型VR向けの、豊富なVRライブラリを構築している」といいます。
現時点では、一体型のVRコンテンツがGear VRのようなモバイルVRとどの程度違うものになるのかは不明です。
中国向けVive一体型VRヘッドセットの価格や発売日はまだ発表されていません。Daydream向けViveヘッドセットと近い価格になるとすれば、およそOculus RiftやHTC Viveと同程度の価格になると見られています。
(参考)
Road to VR / HTC to Launch Standalone Vive Headset in China Tied to Viveport Content Store(英語)
https://www.roadtovr.com/htc-vive-standalone-vr-headset-china-viveport/
Mogura VRは、Road to VRとパートナーシップを結んでいます。