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話題 2022.12.30

MoguLiveが選ぶ! 2022年印象に残ったバーチャルコンテンツ

2022年はVTuber、VRChat、VRゲームなど、様々なジャンルで多くのコンテンツが生み出されました。MoguLiveでは編集者とライターそれぞれにアンケートを実施し「今年最も印象に残ったバーチャルコンテンツ」を選んでもらいました。

藤林檎

「でんぱ組.inc『オーギュメンテッドおじいちゃん』Music Video」

ディアステージ所属VTuber根本凪さんのMVをはじめ、VTuberやバーチャルに関わる映像作品も多く手掛けるReeeznDさんがディレクターを務められたでんぱ組.incの新作MVが印象的でした。生身のでんぱメンバーが、キャラクターというよりもアバターを志向していることが伺えるたくさんの3Dモデル達と並んで歌い踊る姿が衝撃で、でも同時にこれがずっと私の見てみたかった景色なのかもしれないと思いました。古き良き秋葉原とVRChatやVTuberの文化、そしてでんぱ組.incの共通点、それは多様で新しい面白や個性が次から次に飛び出してくること!その融合をここで見られた気がして感動しました。デビュー当初から常に最先端のクリエイターを起用し続けるでんぱ組.incチームが今回VTuberやVRSNSに造詣のあるReeeznDさんを起用しこのようなテイストのMVを仕上げたことがひとつ2022年を象徴する出来事のように感じます。

松本友也

그냥 살아!(ただ生きろ!)/WAKTAVERSE固定メンバー歌謡祭オリジナル楽曲

VRChatベースで活動する韓国のストリーマー集団・WAKTAVERSEの「固メン歌謡祭」で制作されたオリジナル曲(全7曲)のうちの1曲。なんとサンボマスター「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」のオマージュ。WAKTAVERSE周辺のクリエイティビティや熱量、遊び心がいかんなく発揮されていて胸が熱くなります。同じくWAKTAVERSE派生のガールズグループ・異世界アイドルの「ISEGYE IDOL CYPHER」と迷いましたが、よりシーン感のわかりやすいこちらで。

東雲りん

ホテル・カデシュ

URL:https://hotelqadesh.wixsite.com/website

VRChatを拠点とする洋画系ロールプレイ団体なのですが、コンテンツとしての熱量がすごく高いように感じました。
映像作品「プロジェクトエメス」では、VRChatでこんなにもアクションができるのかと最初に見たとき衝撃を受けましたし、「掌」ではVRでの映像表現の幅広さを感じました。
そして何よりも印象に残ったのが、隔週土曜日に開催されているロールプレイイベントです。このイベントではホテル・カデシュのキャラクターがキャストとして出迎えるのですが、そのときに「プロジェクトエメス」にも出てきたキャラクターが実際に目の前にいて会話ができたときが本当にすごかったですね。VR上でのキャラクターグリーティングは最高です。

けいろー

Typeman

魅力的なVRゲームやワールド、そして楽しいイベントも盛りだくさんの2022年でしたが、「もう一度〇〇したい」ものはどれだったかを考えて、思い浮かんだのが『Typeman』でした。もう一度、Typemanに会いたい。

臨場感や没入感を魅力として感じるVRコンテンツが多いなかで、『Typeman』を体験して感じたのは、圧倒的な当事者感。ジャンルとしては演劇でありながら、観客をも「演者」として自然な流れで舞台へいざなう仕組み。声を交わすことのできないなか、「手」のアバターになった観客同士で意思疎通を図りつつ、目の前の世界と1人に関わっていく展開。劇中では自分も「当事者」としてTypemanと関係性を育んでいったからこそ、中盤の展開では大きな絶望感に見舞われました。

Typemanから手紙を受け取り、音と光の飛び交う空間で踊った体験が、本当に夢のようなひとときで、今もずっと忘れられずにいます。もう一度、Typemanに会いたいな。

nusa

AWAKE24

VRChatの音楽イベントの中でも規模が大きく、開催時期の兼ね合いもあって2022年のVRC音楽勢の総集編のような印象を得られたこと。VRChatのイベントの中でも特に感想記事が数多く見受けられたことはライターとしても非常に興味を持った。

すら@bluesura

Anirevo Summer 2022でのPipkin Pippaちゃんのワンシーンです

僕が今年一番印象に残ったのはAnirevo Summer 2022でのワンシーン。カナダのPhase Connect所属のPipkin Pippaちゃんはホロライブが大好きで、オリソンに出すぐらいのファンで、オタクっぽさがすごいうざぎちゃんだ。そしてPippaちゃんの魅力はこのワンシーンから想像できないぐらいのギャップにある。
(にじさんじも好きな)Pippaちゃんはにじさんじみたいなヤバさを含んだデビュー動画から始まる。Twitterではめちゃくちゃ口調が荒く、ショート動画ではオタク特有のマシンガンな語りを見せてくれる。話題は様々だが、あおぎり高校みたいなVTuberに突っ込んだ語りもしてくれるので最高だ。かと思えばただただ自分が好きなVTuberを突然ピックアップしてくる。
そして技術に対する興味関心も旺盛だ。例えばARの世界に入り込んで事務所のVTuberと遊んだり、HiveというSNSで架空のYAGOOを作って遊んだりもした。本当にやることがはちゃめちゃで、VTuberの間でAI禁止が広がりはじめたころ、真っ先にAIがOKなハッシュタグを作り、巷で忌み子のように扱われているAIジェネレーティブアートでVTuber素材を自己責任で配布したかと思えば、第三者がその素材でエージェンシーを立ち上げてPippaちゃんとバトり始めた。面白すぎる。ときには自分を生け贄にささげてAIチャットボットになったりもした。そんな無茶苦茶なPippaちゃんだがとても知的で勇敢な一面も見せてくれる。Streamy Awardsというアワードでは、賛否両論なVTuber賞の内容に真っ向に切り込んでいった。受賞者がCodemikoさんやVShojoだったのにだ、普通だったら意見するのも怖い。
ここまで語ればAS2022のPippaちゃんのワンシーンに深みが出てこないだろうか? 普段はトリガーハッピーなPippaちゃんだが、VTuberにファンに誠実に向き合っている子なのだ。ファンと向き合っているから尻に敷かれたいファンの需要にも答えてあげるのだ。

桑原健太郎

壱百満天原サロメ

URL:https://www.youtube.com/@HyakumantenbaraSalome

バーチャルライバーグループ「にじさんじ」所属のVTuber、「サロメ嬢」こと壱百満天原サロメ(ひゃくまんてんばら・サロメ)さん。

デビューからわずか2週間で早々にYouTubeチャンネル登録者数100万人を突破してからも、各種企業コラボやHIKAKINさんとの共演など、既存のVTuberファン以外にも大きくリーチした印象があります(2022年12月下旬時点でYouTubeチャンネル登録者数は170万を突破)。

まだまだ一部のファンだけのもの、という感じのVTuberですが、そのVTuber業界を「ニッチ」から「サブカル」コンテンツへと引き上げてくれるかもしれない存在として、2023年も引き続き活躍に期待したいです。

Takaomi

Virtual Airline 虛擬航線 仮想ルート

URL:https://vrchat.com/home/world/wrld_4c707e54-5067-4ce8-940c-a1ee78625a8f

ワールド探索部では今年、約850個のワールドを巡りましたが、その中で僕が最も衝撃を受けたワールドが「Virtual Airline 虛擬航線 仮想ルート」です。

平面的なグラフィックデザインで使用されている要素を空間に展開したかのようなワールドで、例えるならば「鮮やかなグラデーションが効いている半透明のアクリルパネルを無数に並べて構成した空間」というようなワールドなんですが、このワールドに初めて降り立った時は「こんな空間表現があるのか」と非常に興奮したことを覚えています。

昨今のワールドは「どれだけ実在感や、物質感を再現するか」という点(PBR)がひとつの軸としてあり、例えばワールド内に存在するオブジェクトがなにでできている物質なのかということや、光や影の表現をリアルにつくっているものが多いと思うのですが、このワールドは完全にそういった方向の逆を行っているワールドで、重力や地面といった概念はあるものの、抽象的な空間が無限に広がっており、どのような物理法則が働いているのかすら想像がつかない。「異世界」という表現すらそぐわず、空間作品としか言いようがありません。

そのような非現実的なワールドですから、そこに存在する自分のアバターが物理的な衣服を着用していることにも違和感が生じ、このワールドにふさわしいと考えられるアバターを拵えるにまで至りました。

この感覚には自分でも驚きました。物理現実の世界でも、例えば京都に行って和服で歩くなど、そういう「場に合わせたファッションをする」といったことを楽しむことはあると思うのですが、今回のケースにおいては「空間作品に自分が入ったことにより、自分自身の存在も作品の一部となっている気がする。この作品に溶け込めるアバターになりたい」という感覚を覚えました。この経験は私がDirectorを務めたワールド「Metamorphosis」にも活かされています。

僕の拙い語彙力ではワールドのイメージを伝えることができずもどかしいですが、実際に行っていただければ「このワールドを言葉で説明することなど不可能」であることがわかっていただけると思いますので、みなさんぜひ行ってみてください。ちなみにQuest対応です。

ゆりいか

バーチャル音楽ユニット「YSS」


URL:https://twitter.com/VrcYss

今年はVRChatも、VTuberも、VRゲームも、どれも良いモノが多くて悩んだ。悩んだのだけど「今年コレがあったからメディアの仕事を続けられたっていうコンテンツは何だろう?」と考えていくと、答えはひとつ。バーチャル音楽ユニット「YSS」の音楽だった。
「YSS」は、櫻野ソルテさんとyopiさんの2名による音楽ユニットだ。VRChatで積極的に音楽ライブを展開しており、オリジナル楽曲を多数生み出している。今年は特に“異常”と言って良いほどのハイペースで楽曲を続々と発表し、6月に2ndアルバム「FRAGMENT」をリリース後も、EP「ENDLESS SUMMER HOUSE」を制作。その後もアルバムやEPに未収録の単発作品を多く出しており、一体、2022年だけで何曲発表したのだろう……(本人たちはまだまだ制作しているものがあると話しているから恐ろしいところだ)。
そして肝心なことだが、そのどれもが“渾身の一曲”と言っても過言ではないクオリティである。試しに12月に発表されたばかりの「carry on」を聴いてみれば、このユニットが音楽に対して“本気”なことはすぐ分かる。自分はYSSの楽曲に対して「現実とは違った、まったく未知の(それでいてどこか懐かしい)景色へと運んでくれる」という感想を持っているが、こうした表現でちゃんと伝わるだろうか? ライブで身体を揺らせるような心地の良い楽曲から、しんと静かな場所でしっかりと聴き入りたい曲まで様々なものがあり、その多様さにも驚かされるところだ。
そして、何よりVRChatでの音楽ライブの良さ。こればかりは実際に参加しないと分からないかもしれないが、あの「今、自分は特別な時間の中にいる」という感覚は忘れがたい。YSSのライブには、ほぼ必ず参加するようなコアなファンが少なくないのも、このライブの特別さが要因のひとつだと思う(ぜひ現地で体感してほしい)。
YSSのアグレッシブな活動ぶりは「今、VRではこれだけ本気の活動をしている人たちがいる」という意味で心の支えとなったし、「だからこそ、バーチャルコンテンツを盛り上げていかないとな」というメディアの仕事のモチベーションにつながっている。
今年は特にVRChatをメインとしたワールド制作者やアバター制作者の躍進が目立ち、企業とコラボした大型のコンテンツも続々と生み出されつつある。おそらく次は、そんなワールドやアバターをうまく活用したクリエイターのパフォーマンスにも徐々に光が当たることになるだろう。そんな中で、来年はYSSがどんな景色を見せてくれるのか、追い続けたい。

たまごまご

「もりのへや」

URL:https://twitter.com/morino_heya/

メタバースを障がい者支援としていかに用いるかの、成功例。今後うまく調整しながらどんどん広がって欲しい。SDGs岩佐賞受賞で認められたのは素晴らしかった。

武者良太

Among Us VR

URL:https://www.oculus.com/experiences/quest/4948428055244413/?locale=ja_JP

2Dビューを3D VRにしたことで高まった緊張感が気持ちいい。役職が少ないために効率のいいプレイスタイルは限定されるものの、インポスター役はいかに裏切っていくかに注力すればいいためルールがわかりやすく、初めてプレイする人でもとっつきやすい。またアクションゲームの要素があるため、話し合いが主体となる人狼よりもテンポよくゲームが展開していく点も評価したい。

シェループ

<RUNNER>

URL:https://www.oculus.com/experiences/quest/6501835653220720/

発売と同時に日本語の主題歌付きトレイラー公開は本気がすぎる。ここまでやったなら、ゲーム本編の日本語ローカライズも字幕だけで終わらせず、音声込みでお願いします。

ノンジャンル人生

ディスクロニア: CA(DYSCHRONIA: Chronos Alternate)

URL:https://dyschroniaca.com/

さまざまなコンテンツが溢れる世の中で、「物語の中に入る」という1点で抜きん出た作品だと思う。本来VRだと制限の多いはずのストーリーを、VRでは主人公の視点を体験できることを最大限に活かし、ものの見事に表現している。謎を自分の“手”で解いているという実感が強いし、感情移入も平面のモニター越し以上に強い。特に審問パートは、VRゲーマーならぜひ一度は体験して欲しい。VRをこう使うのか!という驚きが存分に詰め込まれている。怒涛の展開だったEpisode IIが終わり、残すは最後のEpisodeIIIのみ。どんな結末を迎えるのか、ぜひ見届けたい。

井文

「VRChat」バーチャルマーケット2022 Summer(パラリアル大阪)

実は今年初めて「Vket」にリアルタイム参加したのですが、そのなかでも「大阪」をモチーフにしたワールド「パラリアル大阪」は、かなり印象に残ったコンテンツです。

というのも、自分は地元が関西なので、ふつうに散策しているだけでも、知っている景色や建物がいっぱい見れたのです。個人的に見所だったのは、道頓堀と大阪駅の周辺。上手く再現しつつ、VRにマッチする演出やグラフィックを組み込んでいると感じました。

また、「551の蓬莱」や「阪神百貨店」といった、関西地方に縁が深い企業が結構出展していたのも嬉しかったところ。

大阪の各地を散策した後、駅から関西空港に移動。そこから他のVketワールドに(ポータルで)飛び立つというマップ構成も“観光感”があり、良くできていたと思います。

双葉ラー油

DYSCHRONIA: Chronos Alternate

URL:https://dyschroniaca.com/

『東京クロノス』から続くMyDearestの新たな挑戦として、
今回はこう来たか!と大興奮。
舞台はディストピア過ぎる未来都市。
犯人の行動を自分の視点と手で再現して、
事件の真相を明らかにしていく没入感はこれぞVR探偵ゲームでした。
ジャンルがこれまでのノベルから探索ADVに変わったので、
やや歪なところもありつつ、
俺の横に何かかわいい奴がいる!
俺の周りに怪しい奴らがいっぱいいる!
見上げると空中を美しい魚群が泳いでいる!
と見せ方の上手さでグイグイ引っ張る。
プレイヤーの操作に合わせていちいちカッコいいエフェクトや、
カッコいいギミックが展開されるワクワク感も最高でした。
来年完結編となるエピソード3が配信されるのが今から楽しみ。

浅田カズラ

テアトロ・ガットネーロ The Auction

正直「ORGANISM」との二択で迷ったのですが、「毎公演一度きり」という体験の希少性と、「アバターとはなにか」という根源的な問いを投げかけるような演技・内容は、今年一番の”衝撃”でした(触発されて記事を書くくらいに!)。演劇の内容も、受け取り方がいくつにも分かれそうな、賛否ありそうな内容なのも印象的です。演劇の本質にある「問いかけ」を、VRを通じて現実以上に受け取る、これまでにない機会でした。


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