業界動向 2019.12.31

【VR/AR/MR業界編】キーパーソン33名が語る、2019年と2020年

株式会社Synamon 代表取締役
武樋亘

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
VRは総合してOculusQuestの年(スタンドアロン元年)だったかなと思います。
toCのVRについては去年に続きVTuberが盛り上がりつつ、Beat Saberは頭抜けてましたが、TokyoChronosを始めとした日本のコンテンツがしっかりと存在感を示せた1年になったと考えてます。
またtoB領域においても去年メインだった簡易PoC的なものから、実運用に向けた取り組みについてのお話が増えいることと、5Gなどの他先端技術とかけ合わせた研究開発が行われたりと、技術の社会実装と将来への挑戦の両軸で進捗が出せた1年であったと考えております。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
VRでは引き続きPRやエンタメコンテンツとしての技術活用が進み一般化が進むと考えており、並行してビジネス側での活用についても具体的な事例や効果を複数示していける年になると考えております。
特にOculusQuestのハンドトラッキング解禁による利便性の向上からの活用機会増や、Varjo社HMD活用などによる更なるハイエンドなユースケース創出なども期待している内容です。
加えて2019年後半から情報開示が続き盛り上がりを見せているARグラス関連(Hololens2含め)も、実機が一般提供され、追随する他社による技術や製品進化が進む年にもなると考えておりまして、XRという括りで大きな進捗や変化がある年になるのではないかと予想しております。
最終的に来年はどんな○○元年と言うことになるのか今から楽しみです!

福祉×VR
登嶋健太

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2019年は福祉業界でもVRの認知度が高くなっていると感じました。また自身の活動も海外メディアで紹介していただき、日本の福祉が世界から注目されているだなぁと思いました。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

来年は研究の成果を発表できたら嬉しい。あとVR旅行体験(VR T herapy)を多くの介護施設で提供していきたい。

Symmetry Dimensions Inc. CEO & Founder
沼倉正吾

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ:

VR/ARの基盤インフラになる第五世代通信規格(5G)が世界でスタートした事。これは10年後に過去を振り返ってみた時に大きな出来事だったと感じる筈です。将来的にユーザー側の端末でレンダリングを行う形から、5Gを利用したエッヂコンピューティングによるクラウドレンダリングに移行する事でVR/ARは新たな段階に突入していくでしょう。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ:

弊社では建築/建設業界向けVR/ARソフトウェア『SYMMETRY』を世界115カ国で展開しています。2019年は物理空間の3Dデータ化を始めとした様々な環境情報を収集してデジタルの双子を作り出す『デジタルツイン』構築に向けた取り組みを5Gキャリア各社と弊社で本格的にスタートしました。2020年はデジタルツインを活用した社会課題の解決を実現していきます。

株式会社ホロラボ 代表取締役
中村薫

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2019年はHoloLensのデバイスが購入できない中でのやりくりの年でした。年始早々にHoloLens 1がディスコンで新規の購入ができなくなりました。
2月のHoloLens 2発表後もなかなか発売には至らず、11月に発売開始されるまでできる範囲のことで少しずつ進める形を取っていました。
HoloLens 2が発売され、それまでの仕込みが一気に進み、多くの先行企業が自社アプリのHoloLens 2化を行い、事例も多く出始めました。

また4月のdocomoからMagic Leapへの投資がきっかけとなり、Magic Leap Oneの仕事が出てくるようになりました。Magic Leap OneはHoloLensと比べてコンシューマーに寄っているため、BtoBtoCの案件が出始めコンシューマーでの活用の道が見えてきました

ふりかえってみるとHoloLensの案件が非常に多く、Magic Leap Oneの案件が出始め、1年を通してMRをしていました。
お客さんも確実にフェーズが進み、実際の導入事例が出始めています。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

MRのデバイスで言えばHoloLens 2、Magic Leap One改めMagic Leap 1、Nreal Lightと一気に選択肢が増えてきました。VRもOculus Questが想像以上によい状態で、XR-1のような今まで以上に高性能なデバイスが出てきています。

2020年はお客さんの目的に合わせて様々なデバイスが選択できるので、アウトプットの幅が広がると考えています。導入事例も徐々に出始めて業界全体として加速する年になると思います。

Niantic Inc. アジア・パシフィック オペレーション 副社長
川島優志

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

XR業界では、Oculus Quest の快進撃、Hololens2の発表、nReal等中国系ブランドの台頭、Echo Frames、Bose Frames等の オーディオARデバイスの発売など、明るい話題が多かった反面、巨額の資金を集めたODGの倒産やMagicLeapの販売不振など、明暗のコントラストが出た一年でした。未来へと歩を進めるのに、どこを足がかりにすればよいのか、各社模索と挑戦が続くと思います。Nianticも QualcommとのARチップセットの共同開発や、Niantic リアルワールドプラットフォームを活用してもらうコンテスト、 Ingressでの ARデータスキャン、ポケモンGOでのマルチプレーヤーAR(集合写真モード)など、一歩一歩進めています。
大坂なおみ選手の全豪テニス優勝、サニブラウン・ハキーム選手の100メートル 走日本新 記録、ラグビー日本代表の活躍などによって、日本人の「日本人観」に変化の兆しが見られたのも、印象的な出来事でした。XRの実現する未来では、国境や人種、性別、宗教や 言葉の壁が低くなったり壊されていくはずです。そうしたなかで、日本が活躍していくためのヒントがあるように感じました。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
2020年〜21年で、VRは解像度的なティッピング・ポイントを超え、現実の解像感に匹敵するようになりそうで楽しみです。僕は帰ってこれなくなりそうで心配です(笑) 。
ARは、というかARに限らずインターネット全般に言えそうですが、音声を活用したコンテンツやサービスがフィーチャーされるのではないかと思います。スマホとのテザリングを主体にしたグラス型デバイスもにぎやかになり、ARクラウドをめぐる競争も加熱していきます。Nianticも2020年に様々な発表を予定していますので、楽しみにしていてください。
XRはこれから群雄割拠の戦国時代、とてもエキサイティングな世界に突入していくと思います。ぜひこの変化を楽しんで、できたらプレーヤーとなって、一緒に新しい世界を作っていきましょう!

株式会社meleap CEO
福田 浩士

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

ARがよくやく少し動き出しました。
ARkit3のリリース、Hololens2、NrealLightの発表など、ARエンジン、ハードウェアがともに進化してきて開発会社がユースケースをイメージできるようになってきました。
ただ、グラスがコンシューマーに広がり始めるにはもう少し時間がかかると思います。しばらくはまだスマホのカメラアプリがコンシューマーに使われるARとして前線を張り続けています。
期待をさせたり裏切ったりしながら、業界全体はゆっくりと、かつ着実に前進しています。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

meleapは、2019年12月にHADO Xballという新ARスポーツをリリースしました。観客も競技に参加できるという仕組みが大きな特徴です。
AR×ライブエンターテインメントで新しいスポーツ市場を創造します。
2021年のプロリーグ化を目指して、2020年はリーグ組織を立ち上げ、複数ヶ国への展開をしていきます。

プレティア・テクノロジーズ株式会社 代表取締役
牛尾 湧

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

弊社プレティア・テクノロジーズが属するAR市場にとっては、その立ち上がりを示す活発なニュースに溢れた一年となりました。「ARグラス」「ARクラウド」「ARコンテンツ」など、バリューチェーンの各層において大型のリリースが相次ぎました。中でもARグラスは、国内ではNTTドコモによるMagic Leapへの2.8億ドル出資や、KDDIとNreal Lightのパートナーシップ締結があり、海外ではNianticが公式にARグラス開発への取り組みを発表したりなど、プラットフォーム企業がハードウェアレイヤーへ参入し、機先を制しようという様子が熱量高く伺えました。ARクラウドについても、クローズドに研究開発を進めるスタートアップの中から、Qualcommと提携した6D.aiやNianticのように、提携に乗り出す企業が少しずつ出てきています。ARコンテンツ自体についても、2018年時点ではまだまだ「ユースケースが見えない」と言われることもありました。ですが、最近ではプレースホルダのリトルプラネットや弊社のAR謎解きゲームのように、エンターテイメント市場を中心に継続的なビジネス展開を見せるものが出てきました。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2020年のAR市場は、「HoloLens 2の市場投入」「エンタメの隣接市場の立ち上がり」「ARクラウドの活用事例登場」あたりが中心的な動きとなるでしょう。1点目は、HoloLens 2のリリースも契機となり、BtoBにおいてはARグラスを活用したプロジェクトが増加すると考えています。ただBtoCにおいては、手軽な利用が強みのモバイルARが引き続き市場を牽引するでしょう。2点目については、この市場を牽引するのは変わらずエンターテイメント関連でしょうが、広告などの隣接領域も引っ張られるように立ち上がっていくと見ています。3点目は今年からガートナーのハイプ・サイクルにも登場した「ARクラウド」で、この技術が活用される事例も登場してくることでしょう。
競争戦略の大家マイケル・ポーターも述べるように、AR関連の支出は2020年には600億ドルに上る、という推計もあります。そしてARというキーワードそのものは、ガートナーのハイプ・サイクルの幻滅期も越えました。これからは人びとの適正な期待のもと、先行する企業たちがBtoC・BtoBを問わず本格的なビジネスを創出していくでしょう。弊社もその一角を担うべく、日々邁進しております。

xR Tech Tokyo 主催
いっこう / ikkou

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2019年はxR.fmというPodcastを始めたので、今まで以上に広範囲なxR関連のモノ・コトを見聞きしてきましたが、xRデート情報とも言える、デートに使える(と考えられる)イベントやスポットが増えたのが好印象でした。もはやその全てを実際に体験するのは難しくなっていますが、それくらい多くの機会があること、そしてそれらを決してギークではない方々に届いているのは業界としてすごくポジティブだと考えています。

あとはもう花譜さんの『不可解』が圧倒的でしたね!

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、Mogura VR読者へのメッセージ

明るい予測としてはAR関連ハードウェアの躍進がより具体的になるのではないでしょうか。オリンピック需要に関してはあまり信じていませんが、このタイミングで何か仕掛けてくる企業が出てくるのは自明なので、それが一過性のものではなく、2021、2022に繋がるものになると嬉しいです。

暗い予測としては2020年はある種の淘汰が加速するのではないかと考えています。ある種の明暗がくっきりする年になると睨んでいます。

2020年は所属企業としても所以のある年なので、公私ともに引き続きやっていきですね!

クリーク・アンド・リバー社
VRアーティスト せきぐちあいみ

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2019年登場したOculusQuestは想像以上のクオリティで更にアップデートされ続けている素晴らしいデバイスです!手軽な価格帯で6DoFで独立型、且つ精度も高いという事でVRアート制作ツールとしても革新的でした。
私自身の活動としてはロシアにて技能五輪の閉会式でもライブペイントをさせて頂きました。私は普段HTCViveProとG-Tuneを使っており、2019年だけで約100ステージはやってますが国内海外イベントやテレビ生放送の際もトラブルになった事はないのでVRデバイスの安定感の証明にもなっていたら良いなと思います。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

5Gの登場で私のやっているVRアートも制作の手法や展示や見せ方を進化させていきたいと思います。
またAR、MRを使ったアートも本格的に作品制作が出来そうです!


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