ベテランVR開発者が語る「飽きないVRコンテンツに必要なこと」

株式会社エッジワークスの主催でVRのシナリオライター、開発者向けセミナー「VRとゲームシナリオ~その関連性とは?~」が8月5日に開催されました。

講師として登壇したのは、VR開発者が作品を持ち寄って公開するイベント「ocufes」を開催してきたNPO法人オキュフェスの代表理事であり、VRクリエイターでもある高橋 建滋氏です。高橋氏は、アクションゲーム「真・三國無双」シリーズの開発に携わっていた経歴も持っています。

インタラクティブでないVRコンテンツは飽きる

VRとゲームシナリオ
高橋氏は以前、テレビ局のイベントにてスタジオを360度撮影し、有名芸能人が出演するテレビ番組の撮影風景を一般の方々でも体験できるVRコンテンツを作ったとのこと。その時に感じたVRコンテンツにおけるインタラクティブ性の大事さについて語りました。

高橋氏が制作したものは、2分間体験できるコンテンツでしたが、結果は体験した人の多くは2分間持たずしてVRHMDを外してしまったと言います。

その原因を高橋氏が分析してわかったことは、このコンテンツでは芸能人の方々が目の前で仲良さそうに話しているのに、「体験している人の方向へ一切向かないし、話しかけてくれない」という内容が問題だということです。つまり、芸能人の方々が楽しそうに話している姿を、ただずっと見せつけられるコンテンツになっていたのです。

このコンテンツのように、体験者が目の前の現象に対してインタラクティブに干渉できないものを作ってしまうと、VRコンテンツを体験している人は「私はこのコンテンツでは不要な存在なんだ」と、全員に無視されているような独りぼっち感を感じてまい、飽きやすいコンテンツになってしまうとのことです。

続いて、「なぜVRコンテンツにインタラクティブ性が存在すると良いのか」についても高橋氏は説明しました。
VRとゲームシナリオ
インタラクティブであることのメリットは、長い時間体験しても飽きない、何時間でも楽しめるコンテンツにできることだと高橋氏は考えます。

簡単なインタラクティブの例として、スキージャンプを体験できるコンテンツの場合、スキージャンプの映像を動画で体験できるだけのコンテンツにすると、一度体験するだけで満足してしまうコンテンツになり、2回目の体験をしてくれません。

一方でスキージャンプをCGで作り、ジャンプのタイミングによって飛距離が変わるようなコンテンツにすることで、最低でも2回は体験してくれるコンテンツにすることができます。体験者が直接コンテンツに介入できるため、「さっきは飛べなかったからもう一度やってみよう」、「K点を頑張って超えてみよう」、という気持ちが湧いてくるためです。

VRでのインタラクティブはディズニーランドのキャスト

VR空間内で求められているシナリオというのは、質問に対して答えが決まっているシナリオではなく、”エチュード(即興劇)”なのではないかと高橋氏は言います。

例えば、ディズニーランドで働くキャストさんが、お客さんをいじってみたり、お客さんからのアドリブに対してアドリブで返す、といったことが、VRコンテンツに適したインタラクションのイメージに近いのではと考えているとのことです。

ゲーム・シナリオにアドリブを組み込もうとすると、それだけ分岐が多くなって、設計が難しくなってしまいがちです。コンピュータがリアルタイムにアドリブを入れられるのかという問題もあります。高橋氏自身も現状の技術では難しいと思っているそうですが、そんな中でも、アドリブ、インタラクティブをいかに入れるかがコンテンツを面白くさせる、長時間プレイできるための重要な要素になっていると紹介しました。

視点や性差によるVRコンテンツの楽しみ方の違い

VRとゲームシナリオ

最後に、高橋氏は体験者の視点や性差によってVRコンテンツの視点が異なってくることについても紹介しました。

まずは視点について、一人称視点では、体験者がVRコンテンツ内の自分になりきることが重要だと言います。体験の中で持てそうな物があれば持ってみたいという、自分がやりたいと感じた時に出来るようなアクションを全てVRコンテンツ内に作ることが理想とのこと。しかし、それを実現させるためには無限のアクションをコンテンツ内に仕掛ける必要があり、なかなか作り上げることは難しいと言います。

三人称では、登場人物が目の前で何かを演じるという、舞台を見るような感覚と近いものなので、一人称視点と比べてインタラクションは薄めでも大丈夫だと言います。その代わり、体験者がどこを見るべきなのかが分かりづらいため、注目してほしい点を分かりやすい作りにすることや、実際に動き回って見れるような作りにすることが重要とのことです。

性差による視点の違いという観点からは、男性にVR内で美少女を見せた時の特徴として、男性は美少女へ近付こうとすることを紹介しました。人によっては、VR内の女性を触ろうとしたりパンツをみようと屈んだりするとのこと。一方で、女性にVR内でイケメンを見せた時の特徴は、男性とは異なり適度な距離を保って見ようとし、イケメンが近付いてくると逆に離れてしまうと言います。

こういった点から、例えば一人称視点では、主に男性向けのコンテンツとして、自分がしたいことをできるようにする。三人称視点では女性向けコンテンツとして、例えばBLコンテンツのように、男性同士がイチャイチャしているのを女性が少し離れたところから見れるようにするのが向いていると高橋氏は紹介しました。

この記事を書いた人

  • image00

    Shunri

    慶應義塾大学在学中の4年生。大学では経済、プログラミング、ビジネス、サービスデザインを中心に学んでいます。思い立ったが吉日!ってな感じで、水泳、サッカー、フットサル、将棋、ボードゲーム、ポーカー、自作パソコン、カメラ、アニメ…今はもちろん”VR”!広く深くを目指して‼

    Mogura VRのライター一覧はこちら
    http://www.moguravr.com/writers/