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活用事例 2016.07.29

2010年から狙っていた「感動の進化」ソフトバンクの考えるVRのビジョン

7月29日(木)、スクラムベンチャーズはソフトバンク本社にて「スポーツ、テレビ中継におけるVR配信の可能性〜Tackle!特別編」を開催しました。同イベントではソフトバンクP&M統括 VR事業推進室 室長の加藤欽一氏による「ソフトバンクのVR事業戦略」というテーマの講演も行われました。

実は6年前に発表した「新30年ビジョン」でVRの可能性を指摘

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加藤氏はソフトバンク内にあるVR専門の部署でVR事業を進めているとのこと。また社内に部署ができたのは今年の6月で、現在は事業戦略などを検討している段階だと明かしました。

また、ソフトバンクがVRの部署を立ち上げたことについて、加藤氏は「今年はVR元年だから始めたのでは」と周囲から言われることも多いとしながらも「実は6年前に発表した『新30年ビジョン』の中で『感動の進化』にはVR/ARが非常に重要なテクノロジーになる」と同社代表取締役会長の孫正義氏から発表されていることを指摘しました。

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今は6年前に掲げた文字通りのビジョンである『新30年ビジョン』を具現化していく段階であり、ソフトバンクグループが掲げる「IoT」「AI」「ロボティクス」の次の事業領域として、VRの可能性について説明しました。

6年前にソフトバンクが示したVRとARの可能性は主に下記の4つ。

●「見る感動」(VR観光)
●「出会う感動」(VRで出会える・ARで触れ合える)
●「学ぶ感動」(VR電子辞書)
●「遊ぶ感動」(VRゲーム・ARゲーム)

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スライドには30年後(2040年)とありますが、当時の孫正義氏とソフトバンクが想定していたよりも非常に早くVRの普及が進んでいることが分かります。

VR市場創成期は実写系のコンテンツに優位性あり

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そして加藤氏は2016年のVR元年はHMD元年と言い換えることができるとし、ハードウェアが普及する段階から今後はソフトウェアやコンテンツが市場を牽引していくと考えを示しました。

またVR体験が一般的になるには「スマホを差し込むタイプ」のVRヘッドセットが「大きなきっかけ」になるとし、グーグルが推進するモバイルVRプラットフォーム『Daydream』対応のスマホのような、VRを楽しめるハイスペックなスマホが数年以内に普及するだろうと、スマホがVRを軸に進化していく展望を語りました。

さらに今後の5年10年後には視覚と聴覚だけではなく五感全て、触覚・嗅覚・味覚までを再現する技術が出てくると述べました。そして五感全てをVRで再現できるようになれば、VRによって社会が変わり、大きく分けると3つの要素で社会が変化していくと示しました。

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加藤氏はソフトバンクがVRに取り組む理由の1つとして『体験による感動』をVRによって多く生み出していくことを挙げました。VRを用い距離と時間を超えた感動を届け人々を幸せにしていくことをソフトバンクは目指していくと語られました。

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またイベントの趣旨のスポーツとVRの関係性で言えば、ビジネス的な観点からもサッカーのワールドカップのようなビッグイベントのVRコンテンツであれば売上げの予測も立てやすく、ゲームなどのCGコンテンツにはない利点があることを指摘しました。

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特に市場の創成期では、スポーツや音楽などのコアなファンが多くいてかつ制作費も比較的小さい実写系のVRコンテンツが相性が良いだろうとし、技術が進み市場が整っていく中でアニメーション映画やゲームなどのCG系のVRコンテンツが普及していくといった、VRコンテンツの普及は実写からCGへと進んでいく可能性が示されました。

VR市場はソフトバンク単独ではなくパートナーの力が必要

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加藤氏は最後に「これからの市場なので我々(ソフトバンク)だけでは非常に難しい。志を共にするパートナーとこれから先の市場を見据えて一緒にやっていきたい。龍馬の見る眼差しの先にVRがある」と話しながら、HMDを装着した坂本龍馬のスライドを紹介し、VR市場に一緒に踏み出す同志のようなパートナーの募集を呼びかけて、講演を結びました。


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