眼に先天的な疾患を抱える男性、VRで生まれて初めてクリアな視界を体験

遺伝性疾患である“網膜色素変性症”を抱える男性が、VRヘッドセットを装着したことで生まれて初めて“クリアな視界”を得たという体験談を、UploadVRのインタビューにて語っています。

眼に疾患の男性、VRでクリアな視界体験

VRがもたらした、生まれて初めてのクリアなビジョン

眼の遺伝性疾患である“網膜色素変性症”を抱える人々の中には極度の近視や、夜や暗い場所で極度の近視になる夜盲(いわゆる“鳥目”)の症状を患う人が多くいます。Jamie Soar氏もその一人です。彼は極度の近視と、物が二重に見えてしまう“複視”を患っています。そのため今までクリアに物が見えたことが無く、現在も夜間や暗く見えにくい場所での移動には杖が必要です。

ある日、彼がロンドンのとあるコンピュータ・ストアに来ていた時の事。彼は初めてVRヘッドセットのHTC Viveを試遊しました。

眼に疾患の男性、VRでクリアな視界体験

デモが始まった瞬間、彼は大きなショックを受けました。VR内に移るものすべてがクリアなビジョンとして彼の眼に映ったのです。普段テレビや本、コンピュータ画面や人々を見る際に、彼はできるだけ顔を近づけるため体を傾けなくてはなりませんでした。しかしVR内のものは、逆に彼に傾いてきたかのように明瞭に映ったと話しています。

この現象には立体視を使う二眼(レンズが2つある)VRヘッドセットの技術的なデザインが関係していると思われます。二眼のVRヘッドセットでは2つのイメージがそれぞれの眼球の前で交差し、像を結ぶことで立体視を生み出します。つまりVR内では遠くに見える物体は、実際には数cm目の前のスクリーン上に投影されている像であるため、極度の近視を患う彼にもクリアな光景に映ったのだと考えられます。

眼に疾患の男性、VRでクリアな視界体験

彼が生まれて初めて見る“くっきりとした世界”に驚いている間にも係員はコンテンツを次々と切り替えていきました。彼が特に感動したのは、VR内で色とりどりの風船が空高くあがっていく光景でした。健常者には何ともない光景かもしれませんが、普段晴天と曇天の判別も困難な彼にとっては、心を弾ませるのには十分な光景だったと語っています。

眼に疾患の男性、VRでクリアな視界体験

彼は興味本位で体験したVRが、生まれて初めてのクリアなビジョンを与えてくれたと非常に喜んだようです。また彼は同様の障碍(しょうがい)を抱える人々に向け、次のようなメッセージを送っています。

「VRを試してみてください。私は体験するまでこのようなビジョンを見られるなんて知らなかった。できるだけたくさんの体験をしてみてください。全ての人が同じ体験を得ることができるかは分からないが、何をするかによっては得られるものがあるでしょう。」

(参考)
Virtual Reality Helps Legally Blind Man See Clearly For The First Time(英語)
http://uploadvr.com/vr-legally-blind-sees/

※Mogura VRはUpload VRのパートナーメディアです。

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この記事を書いた人

  • fukafuka_san

    VRやARなどのロマン溢れる最先端技術に興味のある理工系大学院生です。趣味でホームページや動画の制作も行っており、現在は「Mogura VR」さんにてVR関連の記事を執筆しております。

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