VR/AR黎明期を支えた二人のベテランが、ゲーム制作スタジオWindup Mindsを設立しました。同社は次世代のバーチャルペットゲーム開発を目指しており、シードラウンドで総額160万ドル(2億2,900万円、2023/08/09時点)を調達しています。
OculusやNiantic、Magic Leapや大手スタジオ出身のベテラン集結
Windup Mindsは、2023年6月に米国ワシントンで設立されたゲームスタジオです。CEOのBernerd Yee氏はBungieやMetaで、CTOのBen Vance氏はEAやWevrで、それぞれコンテンツ開発に携わっています。同社にはOculus(Meta)やマイクロソフト、Nianticで数多くの著名な3Dゲーム・XRコンテンツに携わったメンバーが所属しています。
(出所:Windup Minds。同社スタッフが「携われたことを誇りに思うタイトル」の一部。)
今回の投資ラウンドはThe Venture Reality Fund、Acequia Capital、New Leaf Venturesが主導しました。またOculus創業者のNate Mitchellらを含む、XR・メタバース業界の重鎮が複数出資したと報じられています。
次世代「バーチャル・ペット」ゲームの開発に挑む
動物とのふれあいをモチーフにした3D映像・ゲームには長い歴史があります。デジタル標本や3D模型、生態観察といった研究利用のほか、牧場経営シミュレーション、バーチャル動物園、獣医研修などの娯楽・教育ジャンルもユーザーの支持を得ています。
(Nianticのバーチャルペットゲーム「Peridot」。出所:Niantic)
こうしたなかで同社は、バーチャル・ペットの行動デザインに強化学習を取り入れ、動物育成シミュレーションゲームに「より深い経験」をもたらそうとしています。同社はプレスリリースで、バンダイ「たまごっち」やソニー「AIBO」、任天堂「nintendogs」といった世界的なベストセラーにふれながら、今回の新作ゲーム開発では「動物行動学、システム駆動型シミュレーション、創発的ゲームプレイの専門知識を、バーチャルな同伴者がリアルだと感じさせる新しいメディアに取り入れます」と意気込みました。
XRとAIであなたが愛し、愛される生きものを
また、Windup Mindsは英字メディアの取材に対し、2014年にVRコンテンツのデモを行った時に、画面内のティラノサウルスを見たプレイヤーが思わず「頭からヘッドセットを無理やり外そうとするのを見た」とふり返り、「脳が本能的に『恐竜が部屋にいる』と伝達したのです。VRとMRは、他のどんなメディアにもできない仕方で、デジタルペットが実在すると感じさせられます」と期待を寄せています。
同社は8月8日に開設したYouTubeチャンネルでも、「XRによる没入の魔法と、最先端のゲームAIを組み合わせて、あなたが愛せる、あなたを愛してくれる生きものを作り出します」としています。リリース時期は未定ながら、同社はApple Vision Pro発売などの市場動向を注視しながら、Meta QuestとPSVR2をターゲットに開発を進める予定です。