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VRChat 2022.08.26

音楽好きにとって幸せな空間―― VRDJに聞く、今夜行きたいVRChatクラブワールド

2022のサマーも、そろそろ終わりが近づいてきました。今年のVRChat夏休みはどうでしたか? 海ワールドに行きましたか? それとも山ワールド? 充実しまくりならば万々歳。でも、この夏をもっと堪能したい方は、VRChatのDJイベントに遊びにいきませんか?

パワフルなサウンドと光で満ちているから、入店した瞬間から気持ちはゴキゲン。リズムにのって身体を揺らしているだけで、空間との一体感が高まりまくり。音が流れるまま気の向くままにマイペースな時間が過ごせますよ。

とはいっても初めての場所に行くのはちょっと勇気がいる……。そこでVRChatの様々なワールドでDJプレイをしている3Marcoさんに、VRChatDJの楽しさと、おすすめVRChatのDJイベント/Clubワールドをお聞きしました。

今回の案内人

2020年からVR空間内でのプレイに取り組んできたVRDJ。VRChat公式年末カウントダウンイベント「NEW YEARS VRC SQUARE 2022」をはじめ、国内外のVRイベントに出演している。VRC用Twitter:@3Marco_VRChat

リアルClubの楽しさを自宅で味わえる

――ずばり、VRChatのDJイベントの魅力って何だと思いますか?

3Marco:
音楽を聴く。踊る。友だちと喋る。VRだと、家にいながらリアルのClubの楽しさを全部味わえちゃうんですよね。それがすごいことだと思っています。DJの立場としても、フロアでお客さんが盛り上がってくれるのを見られる。その反応がダイレクトに伝わってくるところが素晴らしいです。

――ステイホームが推奨されたコロナ禍以降、特に注目されるようになったと感じます。

3Marco:
コロナ禍となってからはTwitchなど、サービスを用いたDJ Mix配信も増えました。そこで応援していただけるのもありがたいのですが、リアルのClubのように、みんなで間近に集まってワアワアと自由に楽しんだり、ダンスしたりできるのが、VRのDJイベントの醍醐味だと思っています。

――確かに皆さん自由に、マイペースに楽しんでいますよね。全員が同じアバターの姿になって一緒に踊ったりとか。

3Marco:
ですね。あと、リアルのClubより話しやすいというメリットも推したいです。リアルのClubのフロアは音楽のボリュームが大きくて話しにくいから、ラウンジのほうに移動しないとならなかったりするのですが、そこでも他のお客さんたちで混んでいたりする。

でも、VRのClub空間はワールドのボリュームを下げれば、その場にいながら話せちゃうんですよね。そういうところも大きいですよね。

――ああ、それは確かに。

3Marco:
また、終電も気にしなくてもいいですから。リアルだと、ちょうどフロアが盛りがっているタイミングで帰らなくちゃということが多々ありますが、VRなら大丈夫。踊り疲れて眠りたくなったらVRヘッドセットを外してすぐ寝られます。

VRヘッドセットをつけたまま寝ても、誰かに財布をとられたりしないので安心です(笑)

3Marcoさんのプレイスタイル(物理)はハードモード

――ところで3MarcoさんがVRでDJをはじめたのは、いつ頃でしたか?

3Marco:
リアルでDJをはじめたのが5~6年前。そしてVRDJ歴は2年ぐらいになります。もともとVRDJに興味を持っていたけど、当時は自分PCからVRワールド内に音を出す方法がわからなかったんです。

でも、あるとき、TranceのDJをしているAshさんが作ったDJワールドに、たまたま辿り着いたんですね。そこは誰でも、mixした音をマイクのチャンネルに乗せた状態でDJができるところだったんですよ。「これなら私でもできるんじゃないかな」って、飛び入り参加したのがはじめてでした。

――飛び入りとはまたチャレンジャーですね……!

3Marco:
実は、そのころDJソフトを持っていなかったんですね。だから動画再生プレーヤーアプリを2つ動かしてカットインだけで曲をつなげていました。今思えば力技ですよね。でも、今すぐDJをしたいという気持ちが沸き立ったんですね。そのパッションがなかったら、今の私はないかもしれない。

――現在はどのようなDJ環境でプレイされているのですか?

3Marco:
DJソフトは使っていますが、VRではDJコントローラーやミキサーは使っていないんです。SteamVR版のVRChatを用いて、VRの視界内にPCのDJソフトの画面を表示。VRコントローラがマウス代わりとなるので、そのまま画面を操作してプレイしています。

――それはディープ過ぎませんか!!??

3Marco:
ハードモードですよね。でも、DJコントローラを置く場所がないんです。

――配信の環境はいかがでしょうか。

3Marco:
今はTopazChatVRCDNといった配信システムを使うことが主流になってきて、マイクチャンネルを使うDJ文化が薄れつつあるとは感じるんですけど、マイクDJも好きです。音楽を聴きにきたわけじゃない方もいる空間でもDJができちゃう。

「この人、音楽流していてうるさいな」と思われると、アバターボリュームを下げられたりしちゃうんですが、その仕草が、DJから見ていてわかるので、メンタル面での修行になります(笑)。逆に他のイベントでDJしていると、「ポピ横で見ました」という方が来てくれたりもしますね。

三者三様のVRChatDJイベント/ワールド

――それでは、おすすめのVRChat DJイベント/Clubワールドを教えてください。

3Marco:
まずは、毎週火曜日に開催されている「Quest Danceparty Club」(@ClubDanceparty)から紹介させてください。Quest Danceparty Clubはその名のとおりQuest/Quest 2ユーザーの方でも楽しめるイベントです。

3Marco:
推したいポイントは、スタッフの方がとてもフレンドリーなところですね。曲の合間に「お水飲んでくださいねー」とアナウンスしてくれたり、「描写が重いと感じた方は前のほうにいってくださーい」と負荷がかかりにくい場所まで案内してくれたり。

――僕もOculus Quest時代から何度か行っているのですが、VRChatそのものにまだ慣れていない頃だったので、Quest Danceparty Clubの皆さんの優しさが身にしみました。

3Marco:
次に、要PCとなりますが、VRならではの新しいカルチャーを醸成させた「Music Stellar Lake」(ワールドオーナー:@m1chie_vrc)を紹介します。

3Marco:
ここはワールド内にあるパネルを操作してパーティクルを自由に出すことができます。パーティクルによるリアルタイムな空間照明演出ができるから、DJ、VJだけではなく、パーティクルジョッキーもフロアを盛り上げることができるんですね。

――インタラクションアートの世界が極まっていますね……。まだ未踏なので、次のチャンスに行きます!

3Marco:
もう1つ、突発的なイベントが多く開催されている「Club Orion」(サイト)もご紹介しましょう。海外の方にはポピュラーなClubワールドですね。日本の昼間、アメリカ圏の夜の時間帯に入ると、多くの人が集まってもりあがっています。他のパーティのアフターパーティをここでやるDJもいますよ。

――少しの時間だけでも音楽に浸りたいときに行っていますね。自由な感性で作り込んだアバターで参加する人が多く、パリピ砲やド派手なパーティクルを撃ちまくるオーディエンスもいますが、それもVRChatの1つのシーンなのかなと思っています。

DJをはじめたいなら頼れるDJ探しから

――これからVRChatのDJイベントに参加したいという方は、どのようにしてイベントを探すと良いのでしょうか?

3Marco:
「VRChatイベントカレンダー」(サイトTwitter)をチェックするのがおすすめです。それぞれのイベントがQuest環境に対応しているかどうかもわかります。

また、VRDJのだいふくさん(@Daifuku_VRC)が提供している「VRC Music Event Calendar」(@vrc_mce_bot)も、その日や翌日に行われる音楽系イベントを探すのにぴったりです。

また気に入ったDJさんがいたら、Twitterをフォローしてくださいね。そのDJさんがプレイするイベントの情報がチェックできますから。

――音楽を聴くだけじゃない。踊るだけじゃない。自分でもVRChatでDJをはじめたいという方にアドバイスをお願いします。

3Marco:
そうですね。機材環境に関しては、好きになったDJさんに直接聞くのがいいと思います。私が見る限りはパイオニアDJのDDJ-400を使う方が多いですね。なお、私みたいに「DJコントローラを使わない」というやり方はおすすめしません(笑)。「最初だからこそDJコントローラやミキサーを使ってプレイしたほうがいいですよ!」とマジで言わせてください!

――ありがとうございました!

VRChatで夜を最大限に楽しむ

思い返せば90年代あくる日の「club complex CODE」。1000人は入る新宿のClubなのに、フロアで踊っているのはヒトケタ台。当時僕はVJとして参加していましたが、あまりの寒々しさに朝まで続くはずが、始発もまだ先のAM3時にクローズとなってしまい、つくづく「東京の大箱はおっかねえ」と感じたものでした。あの日、消沈しながらイベントメンバーと食べた富士そばの味は一生忘れられません。

しかし商売っ気のないVRChatのDJイベント/Clubワールドは、どこまでもマイペースに楽しめる場です。1人で行って音楽に身を委ねてもいいし、友達といってトークセッションするもよし。初めて出会う人とアバターの見せあいっこをしてもよし。DJ側にとっても事前に考えていたプレイリストから逸脱してフロアの様子を見ながら選曲できる、リアルさながらのプレイが楽しめます。

日本とは違うノリで満ちている海外のVRClubに即入店できるのも、VRChatならではのメリットです。いろいろ怪しくも妖しいので写真は掲載できませんが、アンダーグラウンドカルチャーのカオスさを体験したい方は、ぜひともチャレンジを!

また3Marcoさんの言葉に「VRのClub空間はワールドのボリュームを下げれば、その場にいながら話せちゃう」という下りがありましたが、これ、とても重要なポイントだと考えています。近年ライブハウスやClubでの爆音を浴び続けたり、イヤホン・ヘッドホンで大音量の音楽を聴き続けて、鼓膜の中にある有毛細胞がダメージを受ける音響性外傷が問題視されています。

耳栓をつけることで耳に入る音量を下げることはできるけど、肝心の音がくすんでしまう。でもVRClubは、ユーザーごとに快適な音量に調整することが可能です。身体への負荷を抑えながらまだまだ夕方宵の口と、長い夜をじっくりと遊べる。これって、音楽好きにとって、とても幸せな空間だと思うのですよね。


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