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VR動画 2021.02.07 sponsored

【VR映画ガイド】VR特化の映画祭「Beyond the Frame Festival」開催! 注目作はこれだ!(前編)

満を持して、日本でもVRの国際映画祭「Beyond the Frame Festival(ビヨンド・ザ・フレーム・フェスティバル)」が開催です。

これまで、トライベッカ映画祭、サンダンス映画祭、ベネツィア映画祭、カンヌ映画祭、釜山国際映画祭など、世界のさまざまな会場でVR映像作品が上映されてきましたが、その流れがついに日本に上陸したように思います。

期間中は、世界中の厳選されたVR映画作品(3DoF作品, 6DoF作品)を体験でき、コンペティションも行われます。さらに国内外のVR映画のキーパーソンが様々な角度からVR映画について意見を交わすトークイベントも予定されています。

VR映画ガイドでは2回に渡って、番外編として映画祭の注目作品を紹介。今回は360度映像やVR映像とも言われる3DoFの注目作品を取り上げます。

注目作品はコレだ!

台湾発”世界の小津”のようなVR映画作品「Home」

2020年の高雄映画祭で話題になった台湾発の本格派VR映画作品です。とある夏の午後に古い祖母の家に集まった家族の話が描かれます。

車椅子に座った祖母(=体験者)は家族の様子をそっと見つめる存在。そんな祖母の目の前で何気ない家族のやりとりが静かな感動を生みます。

大きな出来事はないのですが、非常に静かで淡々とした作品です。日本の小津安二郎監督のスクリーン映画作品のような雰囲気を感じます。出演者としてChi-Yen Hsu監督本人や監督の本当の親戚が出演しており、非常に自然な演技が素晴らしい作品です。

史上最大の宇宙プロジェクト「Space Explorers Episode1: ADAPT」

この作品はEMMY賞を受賞しているVR映画制作スタジオのFelix & StudiosとTIME Studiosが発表したVR史上最大のプロジェクトです。 ISS米国国立研究所やNASA、カナダ宇宙庁及び国際宇宙ステーションなどと共同で制作されています。

2年間で200時間以上に渡って、国際宇宙ステーションミッションを果たす8人の宇宙飛行士たちを記録したドキュメンタリーです。8人の宇宙飛行士たちが、多くの苦難や経験を通して家族のような絆ができていく様子を鑑賞できます。

今回映画祭では4部作の中からEpisode1のADAPTがノミネート。日本の映画祭で初めてFelix & Paul Studiosの作品が体験できます。こんなに素晴らしいことはありません!

ホラー映画の巨匠2人が制作したVR映画作品「おうちに行こう」

ホラー映画の巨匠清水崇監督(「犬鳴村」)と、特殊造形の第一人者西村喜廣監督がタッグを組んだVRホラー映画作品です。夕暮れのお墓、誰一人いない田んぼ道、深夜の無人電車、そこに体験者は一人で居ます。

フッと暮れかけている空を見ている間に少女が自分の目の前に立っている。そこで少女はあなたにつぶやきます「おうちに行こう」。そこから少女のおうちへの恐怖の旅が始まります。

作品は3つのバージョンが制作されており、冒頭から途中までは同じストーリーで展開され、最後の部分に別々の恐怖のエンディングが用意されています。本来はロケーションように設計されており、オリジナルで開発されたVRデバイスと連動した椅子で体験する作品ですが、映画祭では3つのバージョンのうちバージョン2をオンラインで体験できます。

映画祭の中で唯一のホラー作品です。VRで体験するホラー映画はどんな恐怖体験になるのでしょうか。

「カメラを止めるな」の監督が制作した青春映画「ブルーサーマルVR -はじまりの空」

人気漫画「ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部-」をオリジナストーリーで実写映像化。上田慎一郎監督(「カメラを止めるな」)の初VR映画作品です。

舞台は、埼玉県熊谷市。青凪大学の新入生である「私」は、誤ってテニスボールをグライダーにぶつけて破損させてしまい、エンジンのない航空機グライダーに乗って空を飛ぶ部活「航空部」の雑用係として働くことになります。ある日、雑用係として働いていた私に初フライトの機会がやってきて……。

実際にグライダーに乗っているかのような体験をVRで実現しています。2018年にカンヌ映画祭で話題を呼びました。

ジャカルタを徹底的に観察したVRアニメ「Replacements -諸行無常-」

2020年のベネツィア国際映画祭を皮切りに数々の映画祭で高い評価を得ているインドネシアの首都ジャカルタにルーツを持つJonathan Hagard監督が個人的な記憶と13年間の研究に基づいて制作されたVRアニメーション。ジャカルタの架空の地域で暮らす一般的なジャワ人家族の姿が描かれます

映画では、ジャカルタのある街角から混雑した都市、環境、政治、文化を垣間見ることに。ジャカルタの今までの歴史を理解し、深く考え直すことを目的としています。

作風は冷静で、客観的でありながら、鋭い洞察力と独自の視点で1つの世界の変化を描いています。派手な演出は無いですが、VR映画としては完成度の高い作品です。日本のアニメーション会社でも働く経験を持つ注目のVR映画監督。ぜひ映画祭で新たな才能を見つけてください。

「3DoF」作品の楽しみ方

VR映画を見る上で簡単に抑えておきたいのが「3DoF」と「6DoF」についてです。「DoF」とはVR空間内での動きの自由度を表す言葉です。

「3DoF」は主に頭の回転や傾きなどの動きを感知し、360度映像を見渡すことができます。

「6DoF」は頭の回転や傾きだけでなく、上下左右前後の動き(空間内での位置)を感知することができ、体験者はその空間の中で自由に動くことができるようになります。

VR映画では「3DoF」と「6DoF」の2段階の自由度で作品を大きく分けられますが、この空間への自由度だけではなく他のインタラクションを使った作品や触覚や嗅覚などを使った作品なども制作されており、日々進化しています。その中で今回は3DoF作品の楽しみ方を紹介したいと思います。

1つのシーンで一度は360度を見渡そう

3DoFは体験者を中心に360度映像が広がります。フレーム映画と違ってクリエイターは360度に世界を描いているので、目の前だけを眺めるのではなく、360度を見渡してみましょう。

ただし、あまり見渡し過ぎるとストーリーの肝心な部分を見逃し、話についていけないことがあるので要注意です。

作品の視点誘導ポイントを見つけよう

3DoF作品ではユーザーがどこを見るとよいかが分かるように、クリエイターが視点誘導のポイントを用意しているので、そのサインを見逃さないようにしましょう。

出演者の動きや視点の動き、空間音響によって、示唆している見るべき方向に目を向けるとスムーズに物語に入っていくことができます。

積極的に作品を楽しもう

スクリーン映画とVR映画の大きな違いは、受動的に作品を鑑賞する感覚と能動的に作品を体験する感覚だと思います。今まで映画と言われるとスクリーンをじっと見ていれば自動的にストーリーが理解されるように制作されていました。

しかし、VR映画はユーザーが積極的に作品世界に入り込み、ストーリーを探す作業をすることでより楽しむことができます。新しい映画の形に飛び込んでみましょう。

Beyond the Frame Festival -3DoF作品の体験方法-

Beyond the Frame Festivalの3DoF作品は、昨年のCannes XRでも利用された中国発のグローバルコンテンツサービス「VeeR VR(ヴィーア)」で体験できます。

「VeeR VR」はパノラマ動画やパノラマ写真等、ほぼ全ての360度動画コンテンツをサポートしており、Oculus RiftやHTC Vive, Windows Mixed Realityなどの主要なヘッドセットやiOS/Androidのスマートフォン端末、ウェブブラウザの全てに対応しています。

VRヘビーユーザーからまだVR映画を体験したことのない、ライトユーザーまでVR映画作品を気軽に体験することができるようになっています。

Beyond The Frame Festivalではこのほかにも魅力的な作品が体験できます。ぜひこれを機にVR映画の魅力に触れてください。


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