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話題 2018.06.27

中国で薬物依存回復にVR、視線追跡機能で依存度や原因を調査

中国では、薬物依存症からの回復に、VR技術を活用する施設が増えてきています。2017年1月には浙江省の更正施設管理局が、VRで薬物依存度を評価し矯正するシステムの運用を開始し、VRを通じてドラッグ依存者の矯正治療に注力することを発表しました。

今回は、上海にあるリハビリテーション施設の取り組みをご紹介します。

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アイトラッキングで依存症の要因を分析

上海の青東(Quingdong)リハビリテーションセンターでは、薬物依存症患者はアイトラッキング機能の付いたVRヘッドセットを装着します。目の動きや心拍数といった指標から、薬物依存の度合いを測っているのです。

VRでは様々なシーンを体験することができます。例えば患者がバーやホテルの一室での集まりに参加しているシーン。周りの人たちはドラッグを使っています。このコンテンツでは、患者のドラッグへの欲求を刺激します。このシーンの後、薬物がどれほどひどく自身の健康を害するのかを別の映像で体験します。このようにして、ドラッグへの欲求を抑えていきます。

リハビリテーションセンターのZhao Min氏は「これまで、個々の患者の薬物依存の程度を測るのは難しいことでした。しかしVRを使ったシステムがあれば、(依存の程度を計測することで)より個人に適したリハビリプログラムを組むことができます」と話しています。

心拍数などが異常な数値を示した場合、アイトラッキングのデータからどの映像が患者を刺激しているのか、把握することが可能です。つまり、何が患者の依存を引き起こしているのか分かる、ということです。

このシステムはアイトラッキングの専門企業などの協力を得て、上海メンタルヘルスセンターによって開発されています。

「非常に効果がある」との声

上海には、VRを活用する薬物依存症患者のリハビリ施設が全部で3カ所あります。青東リハビリテーションセンターでは2017年6月以来、約900人の薬物依存症患者がVRシステムを利用してきました。その一人は、次のように感想を述べています――「VRは没入感の高い体験をさせてくれます。とてもリアルです。1年間治療に使ってきましたが、非常に効果がありました」と。

日本でも、ドラッグや薬物依存症の危険性を訴えるVRコンテンツが制作されています。

(参考)Ecns.cn


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