通常ヘリコプターの開発には5~7年の期間を要するとされています。米国のヘリコプター製造会社ベル・ヘリコプターはVRを活用してこの期間を10分の1近くまで短縮。同社初の“コンセプト航空機”である「FCX-001」をわずか6ヶ月で完成させました。
スタートから試験飛行まで原寸大のVRモデルで
5~7年とも言われるヘリコプターの開発期間。この間に行われるのは、ドラフトのスケッチ、試験飛行、マーケティングリサーチの繰り返しです。
では、どのようにして、開発時間は劇的に短縮されたのでしょうか?
その背景は、モデリングやモックアップ制作の代替としてのVR活用です。ベル社は3Dデザイン・制作の専門企業Sector 5 Digitalと協力し、初期デザインをCADソフトで行いました。そしてこのデータをUnityに移植し、リアルタイムのVRによるテストや、調整を可能にしたのです。
エンジニアらはPC向けのVRヘッドセットHTC Viveを使い、スタート段階から試験飛行の段階まで、実物大の航空機のバーチャルモデルを扱うことができました。いくつものモックアップを作る工程は不要です。
これにより、フィードバックを得ることもより早く、簡単になりました。プロトタイプ作製前に、外観や機器の配置を微調整することも可能となりました。結果、ベル社によれば従来の開発と比較して数百万ドルのコストが削減できたということです。
販売やトレーニングにもVR活用へ
またVRはFCX-001の設計段階だけでなく、販売ツールとしても有効です。顧客のニーズに応じた幅広いカスタマイズ品を、VRを使って見せることができます。
ベル社は今回の成功を踏まえて、トレーニングや機体整備といった他の業務にもVRを活用していきたいとしています。
VR/AR/MRを活用した製品開発・設計のプロセス改善としては、他にも下記のような事例を紹介しています。
(参考)Road to VR
Mogura VRはRoad to VRのパートナーメディアです。