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【レポート】政府支援で加速なるか 台湾のVR/AR/MR育成戦略(後編)

(本記事は「世界展開を見据える台湾のVR/AR/MRスタートアップ」の後編です)

6月5日から台湾・台北で開催された展示会COMPUTEX 2018と同時開催されたスタートアップの展示会Innovexでは、入り口そばに「XR EXPRESS TW」という大きなパビリオンが出現。そこでは台湾にゆかりのある15のスタートアップが展示を行っていました。

前編ではブースの様子をレポートしました。その背景には、まだ力の弱い台湾のスタートアップを育成し、世界で通用するレベルまで引き上げるという狙いがあります。後編では「XR EXPRESS TW」を主催したアクセラレーターDigi Spaceの狙うスタートアップ支援について紹介します。

政府から1.3億円相当の支援を受けて海外展開

Digi Spaceは、台湾におけるVR/AR/MRスタートアップ(彼らはXRという呼称を統一的に使用)を支援するために2017年に設立されました。その母体となっているのは、TAVAR(Taiwan Association Virtual and Augmented Reality、台湾VR/AR連盟)というVR/AR産業の業界団体です。

TAVARにはHTCやAcerなど、台湾にある大手ハードウェアメーカーからスタートアップまで70から80社ほどが所属し、イベントやハッカソンを通じた交流を促進しています。Digi Spaceは、TAVARの代表を務めるCori Shieh氏が立ち上げています。


(Digi Spaceを立ち上げ、TAVARの理事長を務めるCori Shieh氏)

Digi Spaceでは、XRスタートアップのインキュベーションとアクセラレーションを行っています。今回の展示会で特に存在感を放っていた「XR EXPRESS TW」は海外展開支援のためのプロジェクトで、アメリカに比べ「後発で非力」(Cori氏)な台湾のスタートアップをまとめ、世界へ展開させていくためのものです。

Cori氏は「台湾国内のXRマーケットは小さいです。そのためより大きなマーケットを狙って世界で戦わなければいけません。しかし、大企業は保守的であまり産業育成に資金が出ていません。XRには積極的な姿勢を見せている企業も、スタートアップには出資しないのです」と語ります。

XR企業としては大手の一つであるHTCのアクセラレーションプログラム「Vive X」などもありますが、「これまで60以上のスタートアップに出資されていますが、台湾国内のスタートアップへの出資がほとんどありません。世界を対象としたグローバル基準の審査を行っているので、力の弱い台湾のローカルなスタートアップは採用されないのです」と悔しさをにじませるCori氏。それでもスタートアップを活性化しなければいけないという思いから、政府からの支援を取り付けました。

Digi Spaceは、台湾政府や台北市政府など行政からの支援を受けて展開を強めています。台湾政府で支援を行っている国家発展委員会は、新技術などイノベーションに関わる組織です。2016年にCori氏がこの組織をなんとか説得し、台湾のXRスタートアップ育成に政府が本腰を入れるようになった、とのこと。2018年度から3カ年計画で取り組んでいます。初年度である2018年度の支援総額は3,600万台湾ドル(約1.3億円)です。

「台湾でスタートアップを立ち上げる際は、100万~300万台湾ドル(約360万円~1,000万円、台湾で1,2人が半年から1年間の生活をまかなえる金額)の助成金が出ます。しかし、プロモーションに割いているお金はありません。XR EXPRESS TWに参加しているスタートアップは、ブース出展など全ての費用が無料です」とCori氏。海外からの来場者が多い展示会や海外の展示会では英語でコミュニケーションをとる必要がありますが、台湾のスタートアップは英語への抵抗感も強かったとのこと。展示の場を無料にし、まずは展示して来場者とコミュニケーションをとることで、徐々に苦手意識も薄れてきているようです。実際に筆者が訪問した全てのブースでは、苦労しながらも英語で説明をしてくれました。

インキュベーションスペース

Digi Spaceは現在、XRスタートアップ向けのインキュベーション施設を準備中です。台北市によるインキュベーション施設の集まったテクノロジーパーク・Digi Blockには3つの建物がありますが、その中の1つの建物がXRスタートアップのための施設になっています。

3階建てのこの建物は延床面積900坪。ゆったりと開発に専念できる環境が整っています。1Fは100人以上を収容可能なイベントスペース、キッチンスペース、事務局。2Fには120席以上のコワーキングスペースとVRデモスペース(利用料金は月額3,500台湾ドル(約1万円強)から)、そして3Fには固定のオフィスゾーンが備えられています。


(インキュベーション施設は、2018年6月29日に稼働予定)

他にも、台北から電車で数十分程度の桃園市に市営のXRインキュベーション施設・安東青創基地があります。Digi Spaceほど広くはないものの、こちらも3階構成の小綺麗な施設でした。オープンは2017年11月から、入居しているスタートアップもようやく2期とのこと。桃園市は住人に若年層が多く、市内にXRスタートアップ以外にもインキュベーション施設をいくつか構えているそうです。Digi Spaceと同様に市がインキュベーション施設を直接運営している点が印象的です。


(桃園市にある安東青創基地)

プレゼンスを上げることができるのか

国や市のバックアップが特徴的な台湾のXRスタートアップ支援ですが、取り組みはまだ始まったばかり。一年目のDigi Spaceも、多くのスタッフはここ2,3ヶ月で参加した、と言います。元ジャーナリストや元公務員など背景は様々ですが、英語や日本語といった、台湾人にとっての外国語を流暢に話すことのできるスタッフが多くを占めています。海外展開を強く意識している同社ならではでしょう。

Innovexの開催中には、Digi Spaceと歩調をともにする業界団体TAVARが日本の一般社団法人ブロードバンド推進協議会ともパートナーシップを締結しており、今後交流やビジネス展開、技術協力を進めていくとのこと。


(パートナーシップの調印式を執り行うTAVARのCori氏と日本のブロードバンド推進協議会の藤田稔理事)

台湾のXRスタートアップの展示が行われる「XR EXPRESS TW」は、12月に東京で開催されるSIGGRAPH ASIAにも出展されます。「初年度の成果次第で2年目以降の支援は左右される」とCori氏は語ります。台湾のスタートアップがどのような進化を遂げるのか注目したいところ。Digi Spaceの挑戦は続きます。

この記事を書いた人

すんくぼ(久保田 瞬)

慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。VRジャーナリスト。
VRが人の知覚する現実を認識を進化させ、社会を変えていく無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。VR/AR業界の情報集約、コンサルティングが専門。また、国外の主要イベントには必ず足を運んで取材を行っているほか、国内外の業界の中心に身を置きネットワーク構築を行っている。Boothにて書籍「寝転んでNetflixを観ると、 VRの未来が見える」販売中

Twitter:@tyranusii

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