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VR動画 2018.08.23

個性が光る 変形する360度・3D180度VRカメラ「QooCam」レビュー

中国の360度カメラメーカーKANDAOから変形型360度兼3D180度のVRカメラ「QooCam」が、クラウドファンディングサイトKickStarterの出資者に出荷を開始しています。「QooCam」はすでに国内発売が決定しており(国内代理店は三友株式会社)、8月下旬に国内販売価格49,800円(税抜)で販売予定です。


通常モードでは約20cmのスティック状のカメラですが、カメラ本体の上半分を90度に折り曲げられる仕様が最大の特徴。真っ直ぐなスティック形態では360度カメラモード、90度直角に曲がった形態では3D180度カメラモードに自動で切り替わります。

カメラ正面。360度モードは真っ直ぐな形態です。

こちらは180度モード。直角90度に曲がった形態です。

「RICOH THETA」などの360度カメラと180度カメラ(「Mirage Camera with Daydream」など)を合体したようなカメラと言えばイメージしやすいかもしれません。

カメラと付属品。micro USB / Type-C変換ケーブルとmicro USBケーブル、レンズカバーと袋が付いています。

これだけだと、KickStarterでよく見る変わり種のガジェット、カメラと思われるかもしれませんが、プロフェッショナル用の360度カメラを開発した実績のあるKANDAO製ということもあり、一般販売される製品としてのクオリティーも備わっているカメラです。

また、KickStarterでは募集開始からわずか1週間ほどで目標の10倍近くの29万ドルを達成するなど、世界中から注目を集めていました。

カメラ側面。カメラ正面に2つ、背面に1つの魚眼レンズが付いています。

「QooCam」はカメラ正面に魚眼レンズが2つ、カメラ背面に魚眼レンズが1つと合計3つの魚眼レンズが搭載されています。正面の魚眼レンズは3D180度カメラに使い、背面の魚眼レンズと正面上の魚眼レンズは360度カメラに使われます。CMOSイメージセンサはソニー1/2.5型が使われています。

カメラ下部の持ち手の部分にシャッターの物理ボタンが付いています。ボタン長押しで動画、普通に押すと静止画が撮影されます。

多彩な機能や高いスペック

実機に触れてみると、カメラが変形するギミックの楽しさとステレオの180度VRカメラとしての取り回しの良さ、実用性の高さを感じました。4K60fpsの360度動画が撮れる点などカメラスペックも高く、非常に魅力的な最新のガジェットという印象です。

・「QooCam」スペック表

サイズ

2.5cm × 3.1cm× 19.9cm (横幅×奥行き×高さ)

重量

170g

バッテリー

2600mAh(5V1A)

充電方法

Micro – USB

連続駆動時間

最大3時間 (連続撮影)

記録媒体

Micro SD Card (最大256GB)

Bluetooth

BLE4.0

USB

Micro-USB 2.0

WiFi

Wireless 5G+2.4G

360° ビデオ収録

3840×1920 / 30fps、60fps
1920×960 / 120fps

360°静止画収録

4320×2160

180°3Dビデオ収録

3840×1920 / 30fps、60fps
1920×960 / 120fps

180°3D静止画収録

4320×2160

他にもデプスマップを生成して静止画を撮影後にフォーカスを編集するリフォーカス機能6軸ジャイロスコープ搭載360度動画から通常の動画の画角に切り出し編集する機能などがあります。また、今後のアップデートとして、背景(空)を置換するスカイチェンジ機能ライブストリーミング機能の追加がアナウンスされています。

リフォーカス機能。左がリフォーカスする前で、真ん中は手前のドリンクなどにフォーカスし、右は逆に手前のドリンクなどをぼかしています。

スカイチェンジ機能。デプスマップと色識別技術を利用し、クロマキーを使わずに背景を置き換えることが可能。10月リリース予定です。

現在の機能という注釈付きですが、注意したい点としてはマニュアル撮影がなくISO・シャッタースピード調整などができない点、PCの「QooCam」専用ソフトでレンダリングしないとスタビライゼーションを付与できない点、防水防塵について不明な点などです。

カメラ底面にはネジ穴が付いています。

3D180度モードにした時。カメラ側面にマイクとMicro SDのスロットがあります。また、給電しながらの撮影も可能です。

実際に「QooCam」で撮ってみた

また、筆者が「QooCam」で撮影した180度3Dの静止画をVRゴーグルで見たところ、もう少し解像度が高いと良かったと感じました。「QooCam」スペック表にある180度3Dの静止画の解像度は4Kとなっていますが、片目2K x 片目2Kの4Kという意味で、気を付けたい点です。

オリジナルデータの360度静止画(解像度:4320×2160)。白飛びする部分はありますが、パープルフリンジが抑制されているのが分かります。

特に注意したいのは、VR対応しているようなハイスペックなPCを使わないとレンダリングするのに時間が掛かってしまうこと。スタビライゼーションが効いた揺れの少ない動画を制作するためには、スマホのみで完結しません

また、PC / スマホ(iOS / Android)のアプリがまだ完成度が低いのも事前に想定していた方がベターでしょう。今後のアップデートに期待したい点です。

気を付けたい点をいくつか挙げましたが、スティッチングの精度も高く、スマホへのWi-Fi接続もスムーズなど、日常的な使いやすさは優れているカメラです。特にスティック型である点が、3D180度のステレオカメラとしては撮影するのに持ちやすい上に携帯性も優秀です。使っていてイライラすることが少なく感じました。

「Mirage Camera with Daydream」と比較してホールド感や安定性、高級感がある

「QooCam」の比較対象機種として、筆者が最初に頭に浮かんだのはGoogleのVR180カメラのLenovo「Mirage Camera with Daydream」でした。

同じ3D180度のステレオカメラである「Mirage Camera with Daydream」は、スペックは優れていますが、ホールド感が乏しい点や撮影する時に気を付けてカメラを持たないと自分の指や身体が写り込んでしまう点など、UXの面で不満がありました。基本的なカメラの使いやすさ、使い心地を求めたい方、スタビライゼーションの効いた3D180度動画を撮りたい方などには「QooCam」はオススメできる機種です。


3D180度静止画。「QooCam」でも画面下にグリップした手の写り込みが生じてしまいます。

また「 Mirage Camera with Daydream」は連続動画撮影が不安定で室内でも20分程で熱落ちしてしまいましたが、「QooCam」は筆者が試したところ室内で120分の連続動画撮影をしても落ちることなく安定していました。ただしカメラが尋常でない程に熱くなり、ホールドする持ち手の部分は熱くならないのですが、レンズのある部分は手で触れると火傷しそうなほど熱くなりました。

カメラのカバーをスタンドにすることもできます。

筆者が「QooCam」に対して他に個人的に気に入った点を挙げるとすれば、「ブラックでメタリックのカメラ本体が高級感があり、持っていると気分がアガる」という点も。一般の360度カメラで金属製のものはほとんどないこともあり、使っていて新鮮な印象を受けました。

「『ツヤ消しブラックメタリック』で『VR180と360度のオールインタイプ』で『カメラ自体が変形』する個性が云々」と、周りに伝わりにくいレコメンドをしたくなってしまう魅力のあるVRカメラです。


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