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業界動向 2023.03.31

VRヘッドセット「PICO 4」米国での発売延期? TikTokの公聴会が影響か

2023年3月20日、中国のVRヘッドセットメーカーであるPICOは、公式Twitterアカウントで「新しい旅が始まる。2023年3月22日。#PICO4(A new journey begins / Save the date: 22 March 2023)」とツイートしました——しかし、3月22日を過ぎても、このツイートや同社のVRヘッドセットに関する情報は発表されていません。

このツイートのハッシュタグ「#PICO4」は、同社が開発・販売中のVRヘッドセット「PICO 4」を表しているものと思われます。ツイートと同時期に米国で開催されたゲーム開発者向けカンファレンス、「GDC2023」にPICOがブースを出展していたことを鑑みるに、同社はGDC2023で「PICO 4」の米国発売をアナウンスする予定であったと予想されます。

テックメディアThe Vergeによれば、やはりPICOは米国でVRヘッドセット「PICO 4」を発売する予定でした。しかし「親会社のByteDanceが米国議会の公聴会に召集されたことを受け、PICO 4の発売延期を決めた」と報じています。

なお、ByteDanceの公聴会は3月23日にワシントンで開催。同社が運営する動画プラットフォーム「TikTok」への中国政府の影響力を懸念する考えから、「アプリを利用してユーザーの位置情報を監視するような行為があるか」「中国政府から個人データを十分保護できるのか」等について議員らが追求しています。

(PICOの公式Twitterアカウントによるツイート)

Metaを市場に入れない中国、中国を牽制する米国

PICOは2015年4月に中国で創業、2021年8月に動画プラットフォームTikTokを開発・運営するByteDanceに買収されています。同社によるVRヘッドセット「PICO 4」は2022年9月に中国で発売。その後EUや日本、韓国、シンガポール、マレーシアなど18カ国で販売されていますが、米国では未発売です。

PICO 4が米国で販売されていない一方で、MetaのVRヘッドセット「Meta Quest 2」は中国で販売されていません。なお、Metaはテンセントと提携し、Meta Quest 2を中国で販売できるよう動いていると報じられています。

PICOは中国トップシェアを誇るも、世界ではMeta Quest2が圧倒的

一部調査によれば、PICO 4は「中国ではトップシェア」。上述の通り、グローバルで圧倒的トップシェアを持つMeta Quest 2が中国で販売されていないことが影響していると思われます。また、2023年2月版のSteamハードウェア利用状況調査によると、同プラットフォームで利用されているVRヘッドセットの割合は、Meta Quest 2が44.65%で1位、PICO 4は1.19%で9位となっています。

Meta Quest2はゲームやアプリなどのコンテンツのラインナップを豊富に揃える一方、PICO 4はこの点が課題となっています。日本では先日「PICO LIVE VEYOND with にじさんじ」を開催。オリジナルコンテンツの提供にも積極的です。果たしてPICOが市場を米国に広げることができるのか、そしてどのようなコンテンツを用意できるかどうかがシェア率アップのカギと言えそうです。

(参考)UploadVRThe VergeForbes JapanSteamRoad to VR
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