新型コロナウイルスの流行が続く中、欧米などの医療現場では圧倒的な人手不足が叫ばれています。これを受け、米国とイギリスに拠点を置くOxford Medical Simulation(OMS)は病院等にVRトレーニングを無償提供し、元医療従事者を現場に呼び戻すサポートを行います。
学習者の行動に合わせ変化する100のシナリオ
OMSが手掛けるのは、医療スタッフ向けのVRトレーニングです。およそ100にものぼるシナリオを準備し、医師や看護師が患者の対応を訓練できます。患者への診断や、周囲へアドバイスを仰ぐといったユーザーの行動に基づき、シナリオの進行は変化。患者の容態も、悪化や軽快といった異なるパターンを見せます。実際の現場のようなリアルな体験を積むことで、効果的に学習できることが特長です。
”social distancing”の観点からも有効
このVRトレーニングが、新型コロナウイルスの流行下で活用されています。医療従事者が不足する中、現場を離れている元医師や看護師を呼び戻す動きが出ており、この元スタッフの教育に役立つというものです。教育を受けた元医療従事者は、心臓発作や骨折といった一般的な治療にあたり、専門の医師らが新型コロナウイルスの治療に専念することを助けます。
VRトレーニングの有効性は、学習効率だけではありません。感染防止のために”social distancing(他人との距離を保ち、接触を避けること)”が求められる状況下、学習者が集まらず、自宅でも学べるVR訓練は最適とも言えます。
OMSは3月16日からトレーニングの無償提供を開始し、これまでに約50の病院や医科大学で導入されているということです。プログラムはデスクトップPCやVRヘッドセットを用いて体験可能。原稿執筆時点、無償提供の対象は米国、カナダ、イギリスです。
(参考)TechRepublic