2019年5月に発売されたVRヘッドセットOculus Quest(オキュラス クエスト)。デバイス自体もAmazonで品切れが発生するほどでしたが、Oculus Quest向けVRコンテンツも、他のプラットフォームを圧倒する売れ行きを見せています。米メディアUpload VRは、Oculus Quest向けタイトルの販売状況を複数の開発者に取材。その実態に迫りました。
売行き及びコンテンツ審査について質問
Upload VRは複数のVRコンテンツ開発スタジオに対し、メールで下記の質問を投げかけました。
1.) Oculus Quest向けコンテンツの売れ行きについて教えてください。発売1週間後、1ヶ月後のそれぞれで、過去の他のプラットフォームの同期間と比較するとどうでしょうか?
2.) フェイスブックのコンテンツ戦略(※)について、どう考えていますか?
(※編集部注:フェイスブックはOculus Quest向けのVRコンテンツに対し、厳格な審査規定を設けました。実際にOculusからの要請を受け、コンテンツ内容の修正を行ったデベロッパーもあります)
この質問に対して、様々なスタジオが回答、またはデータを公表しました。
VR高所体験「Richie’s Plank Experience」:Quest版は圧倒的な速度で売れた
VRで高所体験ができる「Richie’s Plank Experience」のToast VRは取材に対し、「正確なデータはお渡しできませんが、Oculus Quest版は発売1週間で、Oculus Rift向けの2年間の総売上を超えています」と明らかにしました。さらに上述の2つの質問に答える形で、プラットフォームごとの発売1ヶ月での売上を比較したグラフを公表しています。
(左からOculus StoreのRift向け版、Steam版、PSVR版、そしてOculus Quest版の販売本数。圧倒的にOculus Quest版が売れている)
このグラフについて、Toast VRは「これは1ヶ月でのデータです。具体的な数値は示していませんが、我々が“Oculus Questは他プラットフォーム向け発売を吹き飛ばすほどの売行きだ”という意味が理解できるでしょう」と説明しました。
また2つ目の質問については、特筆すべき点として「Richie’s Plank Experience」は当初、OculusからOculus Quest向けのリリースを許可されていなかったことを明かしました。
Toast VRのCTO、Richard Eastes氏は以下のように述べています。
最初にOculus Quest版のリリースを却下された時は腹が立ちましたが、その理由は理解できました。これにより、我々は当初できると考えていたより、もっと良い製品を作ろうと努力するに至りました。長い目で見ると、この努力は十分見返りのあるものです。
Oculus Quest向けタイトルを出すのは難しいですし、これまでより作業も増えます。しかし努力は報われ、ユーザーから信頼を得られるプロセスができます。
ホラーVRゲーム「The Exorcist: Legion VR」:既存プラットフォームに迫る勢い
ホラーアドベンチャーゲーム「The Exorcist: Legion VR」のFun Trainも、Oculus Questの手応えを強く感じています。同社は「『The Exorcist: Legion VR』のOculus Quest版リリースは、我々の期待を超えるものでした。そして発売数カ月後もなお、その勢いに驚かされています。PlayStationのような既存プラットフォームに迫る勢いです」とコメントしました。
またコンテンツ審査については、「品質に重点を置く戦略は良いものだと考えています」「Oculusのチームは、Oculus Questにとってどのようなコンテンツがベストだと考えるか、という点について、我々に対して非常に率直です。例えば我々は現在、『Tarzan』のリリースについて会話をしている最中です。結果がどうであれ、このやり取りは非常に評価されるべきものです。すべてのプラットフォームがオープンなやり取りや、コンテンツに関する明確なビジョンを持っているわけではありません」と、肯定的な回答をしています。
パーティーゲーム「Acron」:最大のDL数を記録
VRゲーム「Angry Birds VR: Isle of Pigs」や「Bait!」を手掛けたスウェーデンのゲームスタジオResolution Gamesは、Oculus Quest向けに新作のVRパーティゲーム「Acron: Attack of the Squirrels」をリリースしています。
共同設立者のPaul Brady氏は取材に対し、「Oculus Questでは『Angry Birds VR』、『Acron』ともに最大のダウンロード数を記録しています」と答えました。
2点目のコンテンツ審査に関する質問については、(特に新たなユーザー層にとって)コンテンツの質が何よりも重要だと回答。「VRは新しいものなので、コンテンツの見つけやすさという点において、過去の他のプラットフォーム同様の落とし穴にはまらないよう、新たなスタートを切ることができます。Oculus Quest向けコンテンツの審査戦略が今後どのように影響するかはわかりません」と述べています。
VR脱出ゲー「I Expect You To Die」:最も売れたプラットフォームに
VR脱出ゲーム「I Expect You to Die」を開発したSchell GamesのCEO、Jesse Schell氏は、取材に対し「嬉しいことに、Oculus Quest向けのリリース以降、毎週(Oculus Questは)最も売れたプラットフォームになっています」と回答しています。
Oculus QuestのオススメVRゲームや最新情報を知りたい人はこちら
Oculus Questのコンテンツや2019年8月現在の最新情報については、こちらの記事でも紹介しています。
(参考)Upload VR