12月7日、株式会社NTT QONOQ(NTTコノキュー)は、東京医科歯科大学との共同研究をもとに、医療研修MRシステム「Hands(仮)」の開発を始めました。現行のプロトタイプは、2024年1月17日から18日に開催される東京国際フォーラム「docomo Open House 2024」で展示されます。今後も同大学との共同研究を行うほか、他の医療分野でも学術研究・実証実験を行うとのことです。
今回発表されたプロトタイプ「Hands(仮)」は、医療向けMRサービスの実用化を目指す「Project the Hands」の一環として開発されました。「Project the Hands」は、医療業界における医師不足や研修期間の長さ、場所・費用などの制約といった課題解決を目指すプロジェクトです。
バーチャル空間で「実践しながら学ぶ」
「Hands(仮)」は、MRデバイスを装着した指導医の手の動きをトレースし、研修生や未経験者がMRデバイスを通して「見て学ぶ」ことができます。さらに、学習者は指導医のバーチャルな動作を真似しながら、自身のバーチャルな動作を修正・改善できます。これにより、狭い術野(手術の対象部)における手技でも、リアルタイムに実践しながら学ぶことができます。
NTTコノキューによれば、MRデバイス以外の専用設備は不要で、術野・器具の3Dデータを好きな大きさ・位置に表示でき、動作データを保存・閲覧できます。遠隔作業支援ソリューション「NTT XR Real Support」で培われた技術・ノウハウが応用されたとのことです。
研修手法の確立と臨床試験を目指す
同社は東京医科歯科大学とプロジェクト発足時点から連携しており、2023年には同大学の金澤教授チーム主導で、日本医療研究開発機構「メディカルアーツ研究事業」に採択されました。
「MRデバイスを用いた歯科インプラント外科手術のデータベース構築と遠隔手術支援に関する基盤構築研究」というテーマで研修手法の確立を目指すほか、実際の手術現場での臨床実験も行われる予定です。また、熟練医師の施術データからAIモデルを作成するなど、さらなる発展も目指すとのことです。
今後の展開についてNTTコノキューは、「将来的には、どんな場所でも高度な医療を受けることができたり、離島で経験のない現地の医師が、遠隔地の医師からリアルタイムでレクチャーを受けることで難病や難しい手術ができたりするような世界の実現をめざします」とコメントしています。
(参考)NTTコノキュー