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AR/MR 2023.06.07

Nianticが「Lightship」と「8th Wall」の開発者向けアップデートを発表 複数名対応のARゲーム作成機能などが実装

6月1日、「ポケモンGO」制作で知られるNiantic(ナイアンティック)Lightship」と「8th Wall」の開発者向けアップデートを明らかにしました。XRカンファレンス「AWE 2023」にて発表され、Lightshipの「Unity AR Foundation」との連携や、8th Wallのビデオパススルー表示対応、複数名での同時ARゲーム作成機能などが実装されます。


(出所:Niantic。以下、画像の引用元は同じ)

”どこでも誰でもAR体験を構築できる”を目指して

今回の「Lightship」の開発者向けアップデートでは、各種ツールが改善。Unity向けクロスプラットフォーム対応のAR用SDK(※開発者キット)「Niantic Lightship ARDK」をはじめとして、AR向けのマップ構築ツール「Lightship Maps」、ユーザーの位置を正確に特定する「Lightship VPS」など、それぞれのツールの機能向上や他開発プラットフォームへの拡張が発表されています。

一方、「8th Wall」のアップデートでは、「Metaversal Deployment」(※スマートフォンやタブレット、VRヘッドセットなどの各種デバイス向けに同時にコンテンツを展開できる機能)のアップデートを告知。ARコンテンツをMRで表示できるヘッドセット(Meta Quest Proなど)に対応しました。さらに、数百人でWebARコンテンツを作成し、プレイできる新機能「Shared AR」も発表されています。

これらのアップデートのリリースに際し、エンジニアリング担当Brian McClendon氏は「Nianticは、人間のスケールで、実際の場所の文脈の中で、目の高さで機能するマップに焦点を当てています」とコメント。「スマートフォンからVRヘッドセットまで、どこでもAR体験を構築できる、よりオープンでクロスデバイスな開発機会の提供」という同社が目指すビジョンを語りました。


(AWE 2023にて本アップデートを語る、Brian McClendon氏)

Lightshipの主なアップデート詳細

UnityのAR Foundationと統合

「Niantic Lightship ARDK 3.0」は、Unityが提供するAR開発用フレームワーク「AR Foundation」と連携しました。メッシュやマッピング機能をはじめ、セマンティック・セグメンテーション技術、オクルージョン技術など、Nianticが有するAR機能を既存のAR Foundationライブラリと組み合わせて使用できるようになります。6月中に、パブリックベータ版が開始予定です。

(※セマンティック・セグメンテーション技術…画像全体や画像の一部の検出ではなく、ひとつずつの画素レベルまで複数の領域に分ける物体検出技術)

(※オクルージョン技術…現実世界の物体の前後関係を把握し、ARコンテンツの前を現実の人物が通り過ぎたりできる、AR表示技術のひとつ)

Lightship Maps for Unityの実装

Web版ではすでに提供されていた「Lightship Maps」のUnity版「Lightship Maps for Unity」がリリース。Nianticが自社のゲームに使用しているのと同じベースマップを、開発者が利用できるようになりました。

Snapdragon Spaces対応のLightship VPSも

「Snapdragon Spaces」搭載デバイスに対応した「Lightship VPS with Snapdragon Spaces」も発表されました。「Snapdragon Spaces」は半導体大手クアルコム提供のAR開発向けプラットフォーム。Nianticとクアルコムの提携により実現した互換性の確保と言えるでしょう。両社は、AR企業10社のLightship VPS with Snapdragon Spaces導入を明らかにしています。

8th Wallの主なアップデート詳細

Metaversal Deploymentがパススルー表示に対応

「Metaversal Deployment」がパススルーARデバイスに対応しました。Metaversal Deploymentは、複数のハードウェアに向けてコンテンツを同時展開できるWebAR開発機能。これまでPCやスマートフォン、VRヘッドセットへのARコンテンツ展開を後押ししてきました。今回のアップデートにより、「Meta Quest Pro」や「Meta Quest 2」をはじめとする「ビデオパススルー」機能を使ったWebARコンテンツの作成が可能となります。

(同社初のMRコンテンツ「Meet Wol」。フクロウWolがARポータルから現実世界に出現する)

マルチプレイヤー新機能、Shared AR

新しい共有ARツール「Shared AR」が実装されました。これは数百人の同時ユーザーがWebARコンテンツを作成できるマルチプレイヤー機能で、複数人でARゲームなどを作成できます。なお、この新機能は近日中にNiantic Lightship ARDKにも展開される予定とのことです。

”地球規模のAR体験”を掲げるNiantic

NianticはARゲーム「ポケモンGO」「ピクミンブルーム」「Ingress」等の開発・運営を行う企業です。リアルワールド・メタバースというビジョンを掲げ、地球規模のAR体験を現実世界で実現するためのAR開発技術を提供しています。

(参考)Niantic


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