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活用事例 2023.10.26

脳外科医の手術シミュレーションにVR活用、NVIDIA「Omniverse」も併用

脳神経外科向け研修教材を手がけるNeurosurgical Atlas(ATLAS)は、NVIDIAの3Dコラボレーションツール「Omniverse」を用いたバーチャル手術シミュレーションを開発・提供しています。外科医は患者ごとに脳の3Dモデルを作成し、事前にVRやモニターでシミュレーションを実施。習熟度を向上させるとともに、より安全な施術プランを確認できます。


(出所:NVIDIA)

脳神経外科医の手術リハーサル、3DモデルとVRで

ATLASは、脳神経外科医の教育研修コンテンツを提供するNPO法人です。手術動画や神経解剖図、3Dモデルなどを用いた教材を7万人の会員向けに配信し、毎年130万人の患者のケアに影響を与えています。

傘下組織のAtlas Meditechが開発する「The Atlas Pathfinder」は、脳構造の3Dモデルを作成できるほか、バーチャル手術室で施術シミュレーションを行える医療教材です。バーチャル手術室の利用者は、VRヘッドセットを装着し、目標とする脳腫瘍に辿りつくまでの施術経路をリハーサルできます。


(出所:NVIDIA)

デジタルツイン・AIを組み合わせたVR研修教材

また、「The Atlas Pathfinder」には機械学習(AI)による物理シミュレーションが実装されており、医療器具の使用に対する脳組織の変化をよりリアルに再現できます。さらに、実際のMRI/ICスキャン画像をもとに正常部位と腫瘍を自動で見分け、患者の脳の3Dモデルに反映する機能を開発中とのことです。

NVIDIAによれば、Atlas Meditechの研究開発は「Omniverse」をはじめとするNVIDIAのソフトウェア製品で実現しています。「Omniverse」は多様なデータを統一フォーマットで共同利用できる3Dデザインツールで、都市景観や工業製品などのデジタルツイン作成にも使われています。

より高度な医療シミュレーションにも期待

ATLASの創業者でインディアナ大学医学部教授のAaron Cohen-Gadol氏は、「ミリ単位(の差)が致命的となる極めて複雑な3D構造を操作するとき、AIによる意思決定サポートは大きな違いを生み出してくれます」とコメント。今後の技術進歩により、数年内には「施術中の部位に隣接する重要な脳構造について執刀医に警告したり、医療器具を追跡したり、次のステップへのガイドを提供する」といった有益なフィードバックも可能になるだろうと期待を寄せています。

(参考)NVIDIA


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