Home » 中田敦彦が顔出し引退を撤回 アバター化に失敗したその理由


話題 2021.04.07

中田敦彦が顔出し引退を撤回 アバター化に失敗したその理由

4月6日(火)お笑い芸人の中田敦彦さんが、4月からのアバター活動宣言を撤回。今後も本人の顔を出しつつ活動していくと説明しました。アバターでの動画はすでに2本収録しているため、4月下旬から顔出し活動を再開するとのこと。

中田さんはアバター化の撤退理由について、アバターのデザインや動画の編集は問題が無かったが、声だけでは熱量が足らないように感じられ、「中田敦彦が見たい」というニーズが満たされていないという判断があったとのこと。「顔出ししないことでうまく成功する人もいる」とコメントしつつ「中田敦彦は顔出しに向きすぎていたので引退を撤回することになりました(中略)表情とか演技とか動きとかの芝居自体が、アバターにやらせるのが不可能」と説明しました。

また前回の動画で説明していた「プライバシーの取り扱いにリスクを感じるようになってきた」という動機については「僕という表現者が顔を隠すっていう方向性は必ずしも(プライバシーをマスコミなどから守るという目的と)イコールではなかった。(中略)モラルを浸透させるという方向と、僕自身が顔出しで表現し続けるという方向は必ずしも矛盾しない」と語っています。

タレントのアバター化は成功するのか?

今回の類例としては、世界的なYouTuberであるPewdiepie氏が、突如アバターでの活動を発表した後、顔出しでの動画投稿を再開した例が挙げられます。Pewdiepie氏の場合は、動画ごとにアバターを変えたり、ARフィルターを利用したりと試行錯誤していましたが、動画コメント欄での評判は必ずしも良いものではありませんでした。Pewdiepie氏は、TC Candlerが決める「The 100 Most Handsome Faces of 2020(世界で最もハンサムな顔100)」に選出されており、その容姿が人気の要因のひとつであったことも影響していると推測できます。

その一方、バーチャルアバターを積極的に活用している例としては、お笑いコンビのアメリカザリガニがいます。アメリカザリガニの場合は、バーチャル空間での漫才表現に意欲的で、2019年ごろからバーチャル寄席などのイベントを実施。現在はVTuberと積極的なコラボ配信を行っています。他にもニッポン放送のアナウンサー吉田尚記さんが、バーチャルMC「一翔剣」としてデビュー後、ニッポン放送「ミューコミVR」でMCを展開しています。

上記の例はバーチャル世界への進出が目的であり、中田さんのように顔出し引退を意図するものではありませんが、これまでのタレント業でどのようなパフォーマンスを得意としていたかでアバター活用の適正は大きく変わってくると言えるでしょう。現状のアバターでできるもの以上に複雑な表情やジェスチャーが必要な場合は、中田さんのようにデメリットが大きいのかもしれません。

中田さんがかつて所属していた吉本興業は、人工知能を開発するObEN, Inc.(オーベン)と提携し、所属タレントのIPを使用した3Dアバターを製作すると、2020年2月に発表しました。また今年の4月7日にも、株式会社アタリが、タレントやアーティストをバーチャルヒューマン化するサービス「Virtual Gemini」をリリース。バーチャル空間で活動するためのデジタルキャラクターを作成していくと発表しました。

今回、中田さんはアバター化を撤回しましたが、これからどのようなタレントがアバター活動を展開することになるのか、動向に注目です。

(参考)YouTube


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード