マイクロソフトが2022年夏に出願した2件の特許が、先日公開されました。これらは「アイトラッキングシステム」と「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)」に関する特許で、同社の新たなVRヘッドセット開発を示唆するものとも考えられます。上記特許はいずれも、世界知的所有権機関(WIPO)の特許データベース「Patentscope」に掲載されています。
(出所:WIPO(アイトラッキングシステム))
自動で精度を維持できるアイトラッキングシステム
1件目の特許の正式名称は、「ENHANCED EYE TRACKING SYSTEMS UTILIZING JOINT BIOLOGICAL AND HARDWARE ESTIMATIONS(生物学的推定およびハードウェア推定を利用した、高度なアイトラッキングシステム)」。2022年8月25日に出願され、2023年4月27日に公開されました。
本技術で注目すべきは、システム自身がアイトラッキングの精度を補正・維持できる点です。赤外線カメラで撮影した目の画像を元に、生物学的パラメータ(例:プレイヤーの目の向きや位置)とハードウェアパラメータ(例:カメラの方向や位置)を生成。これらのパラメータを組み合わせることで、デバイスが変形しても目の動きを正確に追跡できます。
(出所:WIPO(アイトラッキングシステム))
アイトラッキング機能付きHMDも公開
2件目の特許の正式名称は、「HEAD-MOUNTED DISPLAY WITH EYE-TRACKING SYSTEM(アイトラッキングシステムを搭載したHMD)」。2022年7月27日に出願され、2023年4月20日に公開されました。
(出所:WIPO(HMD))
本特許には、アイトラッキング用の光源が設置されたフレーム、透明なカバー、表示用のスクリーン、目で反射した光を検出するためのカメラが備えられたHMDが記載されています。
新たなVRヘッドセットやMRデバイスを開発中か?
上記2件の特許には、VRヘッドセットに関する記述は特にありません。しかし、これらの技術はVRヘッドセットにも応用できるものです。ゲーム系メディアGamesualは、「これらの特許により、マイクロソフトがアイトラッキング機能を搭載したVRヘッドセットを開発している可能性が強くなった」とコメントしています。同社がソニーの新型VRヘッドセット「PlayStation VR2」に対抗して、独自のVRヘッドセットを発売するのも時間の問題かもしれません。
一方でGamesualは、「マイクロソフトはビジネス向けのMRデバイス『HoloLens』を提供しているため、これらの特許がAR技術に応用される可能性もある」とも述べています。