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業界動向 2019.01.10

ARヘッドセット「Meta 2」開発元、Meta社が破産か

ARヘッドセット「Meta 2」の開発を進めていたアメリカのスタートアップMeta社が、財政難により破産していたことが判明しました。この情報は2019年1月9日、アメリカのデラウエア州裁判所が公開した書簡から発覚しました。最終的な負債総額は判明していません。

2019年1月10日現在、Meta社の全ての業務は停止しています。同社の公式サイトに設置されていた「Meta 2」の販売ページも利用が不可能になっています。

Meta社は、2012年にシリコンバレーで創立されました。ARヘッドセットの開発を主に手がけ、2014年にはARヘッドセット「Meta 1」を発表しました。2016年には「Meta 2」を発表し、開発版を提供していました。

今回の破産に至るまでにMeta社は、合計で約7,300万ドル(約80億円)の資金調達を達成しました。主要な出資者には、ベンチャーキャピタルのHorizons Ventures Limitedや、投資ファンドBanyan Capitalなどが含まれます。

Meta社は2018年9月に、約2000万ドル(約20億円)を目標金額とした資金調達に失敗し、従業員の65%を一時解雇したことが報じられていました。

特許訴訟が破産の主な原因か

Meta社が倒産に至った詳細な理由は、2019年1月現在、ほとんど判明していません.

Meta社は2017年から複数のトラブルに見舞われていました。米メディアNext Realityはこれらの問題の中でも、特許権侵害に関わる訴訟問題が破産を引き起こしたと推測しています。

2017年8月、Meta社はGenedics, LLC社から、同社が保有する「画像操作用のユーザーインターフェイスならびに、ユーザーが3次元空間で入力したプロジェクターディスプレイイメージならびに、ユーザーの入力を認識するセンサー類」の特許を侵害したとして、起訴されました。

係争の最中、Meta社は裁判を管轄する裁判所を、カリフォルニア州裁判所に移管しようと申請を行いましたが却下されました。2018年11月、デラウェア州裁判所は、Meta社に弁護団の解散と新たな代理人を探すことを提案しました。

この提案の直後、Genedics, LLC社の弁護団は、デラウェア州裁判所から現状報告の命令を受けました。Genedics, LLC社の弁護団はMeta社と協議を行い、その回答を受け取った上で、裁判所の命令に回答しました。Meta社の回答には「破産」といった文言が記載されていました。

経営陣の入れ替えが続いていた

訴訟問題に並行し、Meta社では経営陣の大規模な入れ替わりが続いていました。

2018年5月には、Meta社のバイスプレジデント(VP)で、同社の顔役を果たしていたARエヴァンジェリストのRyan Pamplin氏が、役職を退任していたことが判明しました。Meta社はPamplin氏の退任を「休職」と説明しましたが、LinkedInに掲載されている同氏のプロフィール欄には、2018年1月の時点でMeta社を退職していた旨が記載されています。

Pamplin氏の退任後、Meta社の新たな顔役として登場した、最高歳入責任者(CRO)の Joe Mikhail氏も2019年1月時点で、同社を退職していたことが判明しています。 Mikhail氏の退職には、先述した2018年9月の資金調達の失敗が関係していると推測されます。Mikhail氏の具体的な退職時期は判明していません。

Next Realityによると、2018年から2019年の1年間で、 Pamplin氏とMikhail氏を含む、計12人の役員がMeta社を去ったとのことです。

Dellの公式サイトからも消滅

2018年1月、大手IT企業Dell社は、Meta社との提携を発表しました。提携は「Meta 2」をDELL社が代理店販売するという内容でした。

2019年1月現在、Dell社の米国公式サイトからは「Meta 2」の情報が削除されています。「augmented reality」とサイト内検索を行っても、アメリカのスタートアップDAQRIが開発を進めているスマートグラス「DAQRI Smart Glasses」のみが検索結果として表示されます。

Next Realityは、この件についてDell社にコメントを求めましたが、2019年1月10日現在、回答はまだ得られていないとのことです。

Meta 2関連資産の今後の扱いは不透明

2019年1月現在、Meta社が保有している「Meta 2」関連の資産(ARヘッドセット本体、特許等を含む)の、今後の扱いは明らかになっていません。発表された書簡に基づく限り、売却が進められていくものと推測されます。

(参考)Next Reality


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