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業界動向 2023.01.04

VR/AR/MR業界キープレイヤーが語る、2022年の振り返りと2023年への展望

XR業界は毎年が激動の業界ですが、2022年もメタバースのトレンドや各種ハードウェアの発表、プラットフォームの動きなど様々な出来事がありました。業界で活躍するキープレイヤーは2022年をどう振り返るのか、また2023年にどのような展望を見ているのでしょうか。

毎年恒例の本記事では、Mogura VR News/MoguLive編集部が注目するプレイヤーの方々に、2022年を振り返っていただきつつ、2023年への展望をうかがいました。

掲載順は回答者氏名の五十音順です。

株式会社ハシラス 代表取締役社長、エンターテインメントXR協会 代表理事
安藤 晃弘

Q1 2022年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

メタバースへの実験的アプローチが各社各様に行われた面白い1年でした。試しにやってみて手応えを感じた会社もいれば、逆に落胆された会社もいるかもしれません。メタバースやXRで短期的に実利を得られる領域は「今はまだ限定的」と私は考えています。活用しようと思っている会社は長期的な視野で取り組むことが大事で、サービス提供している会社は短期的価値と長期的価値の両方を提示できることが大事だと考えています。
2022年は、数千人が同一空間に集まるメタバースイベントを実施できて、リピート活用もして頂けたことは自信につながる嬉しい出来事でした。XR関連では、Quest ProとPICO4の発売により、ビデオパススルーのAR・MR体験の躍進の兆しを感じられたのが特に印象的でした。

Q2 2023年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

メタバースへの熱量は前年に比べると落ち着き、入れ替わって2023年はAR・MRの躍進が来る、と思っています。理由は、高品質なビデオパススルー体験の環境が揃い、空間の手がかりを複数プレイヤーで共有できる技術やVPSなどの位置特定技術が洗練されたことで、これまでとは段違いに「現実と仮想の入り混じった体験」の質が向上したためです。
この追い風に乗って「現実と見間違うほどの面白い体験」を作って行こうと思います! 引き続き、『めちゃバース』『XRアトラクション』に意欲的に取り組んで行くので、楽しみにしてください!!

一般社団法人VRMコンソーシアム 代表理事
(株)バーチャルキャスト 取締役COO
石井 洋平

Q1 2022年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

VRMコンソーシアムは、相互運用可能な3Dアバターのファイルフォーマット「VRM」を策定する団体ですが、2022年はVRMにとってまさに飛躍の年になったと思います。
昨年は「VRM1.0」が正式リリースされ、より表現力の豊かなアバター制作が可能になりました。
また、6月に発足した「Metaverse Standards Forum」では、代表のNeil氏とも連携し、相互運用可能なアバターに関する調査グループを起案するなど、VRMが世界でも注目され始めています。

Q2 2023年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

アバター分野では、日本が先行していた相互運用性やアバターの権利・表現について、特に海外の文化や宗教観の違いから、人種やジェンダーといった現実世界の課題がアバターの世界にも持ち込まれてくるのではないでしょうか。
しかし、その場所は既に我々が4年以上前に通過している訳ですから、フォーラムでも議論を主導していきたいですね。
また、VRMコンソーシアムには国内主要メタバース系企業が加盟していますので、メタバースに関心のある企業様との橋渡しを通じて皆様が相互に活躍できる場を支援していきたいと思います!

MyDearest株式会社 代表取締役CEO
岸上 健人

Q1 2022年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

我々MyDearest という会社としては最新作ディスクロニアをリリースした年でありMetaQuestストアのグローバルでのベストストーリーゲーム賞やユーザー評価世界一を獲得できた嬉しい年でした!他にも2022年は過去最高レベルで様々なVRゲームがリリースされた年でした!ソードアートオンラインのリリース年である2022年にVRMMORPGのZenithが年初にヒットしたり、年末にはBeat saber以来の大ヒットであるBONELABがリリースされたりと非常に印象的な年でした!

Q2 2023年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2023年は年初の2月にPSVR2がリリースされ我々のディスクロニアもローンチタイトルになります! 2023年の後半にはMetaがQuest3を発売する噂もあるため大変楽しみです!
また2023年からアクティブユーザーが非常に増えたVRゲーム市場でマルチプレイのVRゲームのリリースの流れが始まってきて、このソーシャル性がさらに多くのユーザーをVRゲームに引き込んでいくと思います! 我々MyDearest としてもずっと準備してきたマルチプレイのVRゲームを発表できる年になると思いますのでご期待ください!またディスクロニアの最終エピソードであるエピソード3がリリースされますのでこちらも大期待いただけますと幸いです!

REALITY株式会社 代表取締役社長
DJ RIO

Q1 2022年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

Vtuber領域でいえば、なんといってもANYCOLORの上場と快進撃です。現時点ですでに非常に大きな市場があり、なおかつ海外を中心にすさまじい勢いで拡大しているということが白日の下に晒されたというのは業界関係者の励みになったのではないでしょうか。一方、昨年Meta社が大々的に打ち上げたメタバースムーブメントは想定通り幻滅期に入ったように思います。とはいえメディアや投資家の期待値が必要以上に膨らんでいただけで、足元ではプラットフォームやVRゲームなどで実際のユーザーや売上を成長させている企業が複数出ており、長期的には着実にメタバース時代へ歩みを進めていると考えています。

Q2 2023年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

REALITYはすでにグローバルで1000万DLを超え利益を出し始めていますし、法人からの活用事例も多数出てきています。引き続き、世界で数億人が使うメタバースを目指して着実にプロダクト開発を進めていきたいと考えています。

株式会社 ホロラボ
中村 薫

Q1 2022年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

今年は Magic Leap 2 、 Meta Quest Pro 、 Lenovo Think Reality A3 といった、新しい世代のデバイスがリリースされたことが2023年に向けての好材料です。
事業としてはdocomoがQONOQとして事業会社を設立したような大手の企業がこの領域にコミットしたことが非常にありがたいと思っています。
2022年をふりかえってみると、デバイスのアプリ開発は少し厳しい状況でありつつも、それを取り巻く環境(バックエンドの開発、データの作成や整備)が盛り上がり、より広がるための下地作りの一年でした。

Q2 2023年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2023年はデバイスのアプリ側も戻ってきた感触があるので、デバイス、バックエンド、データやモデルと、より広い範囲での取り組みができればと思っています。

株式会社Gugenka 代表取締役CEO
三上 昌史

Q1 2022年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

ハードウェアではQuest ProのフルカラーパススルーMRですね!2023年はリアルとバーチャルの融合が加速すると思います。もちろんGugenkaのHoloModelsもMRに対応しますよ。
コンテンツ面ではGugenkaとソニーさんとで本格的なボリュメトリックライブをVRChatで行いました! リアルからバーチャルへのアプローチも増えてくると思います。
ビジネス面ではVR界隈でのクリエイターさんやバーチャルワーカーさんの勢いが凄い!大手企業のワールド制作やアルバイトをバーチャルなアイデンティティのまま行える時代に!

Q2 2023年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2023年後半にはVRと平行してMRコンテンツが伸びると考えています。バーチャル空間にゼロから世界を創る。リアルな日常をデジタルで彩る。そしてデジタルとリアルが融合していく。Gugenkaはそんな未来に役立つツールやサービスを提供していきたいと思います。

株式会社Psychic VR Lab 代表取締役
山口 征浩

Q1 2022年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2022年、スマートフォンでのARにおいてはGoogle GeoSpatial API・Niantic Lightship VPSの公開で位置情報に用いたコンテンツの公開が可能になり、MRにおいてはPico4・Quest Proがビデオシースルー方式での複合現実体験の提供が可能になりました。またNFTの活用が進むことでクリエイターエコシステムのあり方も変化しました。STYLYではそれらテクノロジーへ対応を行うことで、XRクリエイター/アーティストはコンテンツ制作のみを行うことで現実とバーチャルが重なり合った体験を提供することが可能になりました。現実とバーチャルの重なり合う世界、人々が空間を身に纏う時代の実現にまた一つ近づいた1年でした。

Q2 2023年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2023年は、リアルメタバース、現実とバーチャルが重なりあう体験の都市や商業施設など実拠点への実装を国内外でさらに加速させていきたいと思っています。Withコロナ/Afterコロナ時代において実世界の活性化はXR分野において重要なトピックになると考えています。リアルメタバースによる実世界の多層化はクリエイター/アーティストへ都市開発との新たな関わり方を提供することになっていくことでしょう。

来年もワクワクする楽しい年になりそうです。

この場を借りて、年の瀬のお忙しい中コメントをいただきました皆様に感謝の意をお伝えいたします。


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