AR(拡張現実)という技術が注目されるようになっています。AR技術を使ったアプリは以前にもありましたが、近年では『ポケモンGO』の登場などもあり、一般の人でもスマホで手軽にARアプリに触れられる機会が増えつつあります。
また2017年9月にiPhoneやiPadといったiOS11を搭載した対応デバイスでARを楽しむことができる新機能「ARKit」がリリースされました。今回はその「ARKit」について紹介していくほか、対応デバイスやすぐに試せるアプリについても紹介していきます。
目次
1.ARKitとは
2.ARKitで何ができる?何が良くなる?
3.ARKitはなにで体験できる?
4.すぐに試せるARKit対応おすすめアプリ
1.ARKitとは
ARKitは、AppleによるiOS向けのAR機能で、開発者向けのARフレームワークです。このフレームワークを使用したARアプリは、特別なデバイスを必要とせず、iPhoneとiPadの単眼カメラを使って動作します。
ARKitによって、スマートフォンなどのカメラで現実空間を認識し、机の上にデジタルなモノやキャラクターを置くこと等が可能になるほか、現実の物の大きさや環境光、いわゆる太陽や室内光を測定するといったことを行うことができます。
ARKitが搭載される以前にも『ポケモンGO』のようにARアプリやARマーカーを読み込んで現実にキャラクターを表示するといったARアプリは存在しましたが、ARKitではさらに「現実空間の構造認識」が一部できることが特徴です。
たとえばARKitによって、デジタルデータの標的を現実に設置し、標的にボールを投げて当てたり、3Dデータで作られた家具をお試しで部屋に置いて、実際の大きさを確認するなどがスマホでできます。ARについて、更に詳しい内容は以下の記事にもまとめてあります。
iPhone/iPadで使えるようになるAR機能でできること
2.ARKitで何ができる?何が良くなる?
ARはエンターテイメント分野だけでなく、日常生活を便利にしたり、医療・製造業などの分野でも注目されています。ARKitでは現実の平面を取得することが可能となりさらに便利に使えるようになりました。例としては下記のようなものがあげられます。
身近な例として、家具の長さを測ったり、買いたい家具を等身大でARで配置してみて大きさを確認するなど、家庭でも利用できるARアプリも数多く登場しています。
医療分野では、その場に人体のモデルを表示して様々な角度から検証することができます。CTスキャンなどのデータを利用し、手術前に「身体のどこが悪いのか」というデータをARで分かりやすく表示することができます。
製造業でもARの活用は注目されており、車などの完成品を実物大で見ることで、イメージをより詳細に共有できます。また、現実の作業機械を前にして、ARでマニュアルを重ね合わせることにより、修理や製造の効率化を図ることができます。
これら以外にもARKitを使い利便性が向上する分野は多くあり、すでに配信されているアプリも多くあります。
アマゾンもAR アプリに商品を“試し置き”できる機能追加
注文前に、食べ物の大きさや盛り付けを現実に表示して確認
iPhoneを使った画期的なダンスレッスン アプリ開発中
3.ARKitはなにで体験できる?
ここまでARKitの紹介を行ってきました。ARKitはiOS 11に搭載されており、2013年に発売されたiPhone 5S以降の機種が対応しています。それ以前の機種はiOS 11非対応となっていうので注意が必要です。また、2017年に発売されたiPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plusには最初からiOS 11が搭載されています。
ここでひとつだけ注意したいのは「iOS 11に対応していたとしても、ARKitが対応していない機種がある」ということです。ARKitはどのデバイスで利用することができるのかを下の表に記載します。
【iPhoneのiOS 11/ARKit対応・非対応表】
iOS 11 |
ARKit |
|
iPhone X |
対応 |
対応 |
iPhone 8 |
対応 |
対応 |
iPhone 8 Plus |
対応 |
対応 |
iPhone 7 |
対応 |
対応 |
iPhone 7 Plus |
対応 |
対応 |
iPhone SE |
対応 |
対応 |
iPhone 6S |
対応 |
対応 |
iPhone 6S Plus |
対応 |
対応 |
iPhone 6 |
対応 |
非対応 |
iPhone 6 Plus |
対応 |
非対応 |
iPhone 5S |
対応 |
非対応 |
アップルの開発者向けページによると、ARKitはApple A9以降のプロセッサを搭載しているものにしか対応していないため、iPhone 5SやiPhone 6, iPhone 6 PlusではARKitを使用することができません。iPhone 6S以降のすべてのiPhone(6S, 6S Plus, 7, 7 Plus, SE, 8, 8 Plus, X)がARKitに対応しています。
また同じiOSで動作しているiPadですが、こちらにもARKit非対応の機種があります。下記の表に記載します。
iOS |
ARKit |
|
12.9インチ iPad Pro |
対応 |
対応 |
12.9インチ iPad Pro |
対応 |
対応 |
10.5インチ iPad Pro |
対応 |
対応 |
9.7インチ iPad Pro |
対応 |
対応 |
iPad Air2 |
対応 |
非対応 |
iPad Air |
対応 |
非対応 |
iPad(第5世代) |
対応 |
対応 |
iPad mini 4 |
対応 |
非対応 |
iPad mini 3 |
対応 |
非対応 |
iPad mini 2 |
対応 |
非対応 |
iPadもiOS 11に対応しています。具体的な機種名を挙げると、iPad Mini 2, 3, 4に加え、第5世代iPad、iPad Air, iPad Air 2およびすべてのiPad ProがiOS 11に対応しています。
iPhone同様にARKit非対応の機種があり、iPad Mini2, 3, 4とiPad Air, Air2は対応しないとのこと。非対応機種でもARKitを利用していないARアプリは使用することができますが、今後はARKitを使用したアプリが相当数リリースされることが予想されます。ARKitに対応したアプリをiPadの大きな画面で体験したい場合は、買い替えが必要になります。
また、本記事執筆時ではiOS 11に対応しているiPodは、2015年に発売された第6世代iPod touchのみ。ですが、このiPod touchはARKitに対応していません。iPodでARKitを通したARを楽しみたい場合、今後第7世代にあたるiPodが発表されることを待つしかなさそうです。
4.すぐに試せるARKit対応おすすめアプリ
ARKitについて理解しており、対応機種を持っている!しかし、どのアプリからやれば良いのかわからない、という人には、下記のリンクにすぐに試せるARアプリが10個掲載されています。ぜひこちらを参考にしてください。