4月25日、Googleは「遮蔽物があっても自然なAR表示を可能とする特許」を取得しました。この技術がGoogleマップに搭載されれば、より自然でユーザーにやさしいナビゲーションが可能になると思われます。
(出所:WIPO)
遮蔽物を考慮した動的なAR表示が可能に
本特許の正式名称は、「DYNAMIC AUGMENTED REALITY OVERLAY DISPLAY(動的なARオーバーレイ表示)」。2022年4月5日に米国特許庁(USPTO)に出願され、2023年4月25日に承認されました。本特許は、人物とAR表示の間に物体(遮蔽物など)がある場合でも「自然な」AR表示ができる技術に関するものです。
例えば、ユーザーがレストランを探しているとします。ユーザーとレストランの間に信号機(下図の202)がある場合、現実の画像にレストランのARアイコン(下図の114)を単純に重ねるだけでは、下図206のようにレストランと信号機の位置関係が逆になってしまいます。これでは、ユーザーはレストランの場所を正しく認識できません。
今回の特許技術は、ユーザー-物体間の距離などを正確に測定することで、現実に近い自然なAR表示(下図の210)を実現します。さらに、ユーザーや物体が移動する動的な状況でもAR要素の表示場所をその都度計算して、正確な表示位置を維持できます。
(出所:WIPO)
Google MapにAR技術が搭載される可能性も
動的な状況にも対応できるという意味で、この技術はナビゲーションに向いていると考えられます。実際、米国の自動車メディアautoevolutionは、「本技術がGoogleマップに搭載される可能性がある」という趣旨のコメントをしています。
例えば、現在Googleマップ上で車線変更が指示される際は、スマートフォン画面上の利用可能な車線がハイライトされます。今回のAR技術が組み込まれれば、現実の道路がハイライトされるようになるため、ドライバーはスマートフォンの画面に注意を向ける必要がなくなります。また、前方の自動車(下図の614)とハイライト用のAR表示(下図の610)の位置関係が正しく維持されるため、違和感を感じることなく運転できるものと予想されます。
(出所:WIPO)
ナビゲーション体験が大きく変わる?
AR技術のナビゲーションへの組み込みは、一朝一夕ではできません。しかし、技術の進化によりナビゲーション体験は大きく変わると考えられます。autoevolutionは、「Googleマップがこの変革の中心となる可能性が高い」と述べています。
(参考)autoevolution、WIPO