Mogura VR編集長のすんくぼが、新型VRヘッドセット「Bigscreen Beyond」の最新プロトタイプのレビュー動画を、YouTubeにて公開しました。動画内では開封やセットアップのほか、ファーストインプレッションなどにも触れています。
本記事では、レビュー動画の内容を一部抜粋・整理した内容を記載します。
「Bigscreen Beyond」とは
「Bigscreen Beyond」は、Bigscreen VRが展開する初のVRヘッドセットです。Bigscreen VRは、VRで友人等と大画面で映画を見れるソーシャルVRアプリ「Bigscreen」の運営企業。同サービスには直近で約600万人のユニークユーザーがいることが、Mogura VRの取材にて明らかになっています。
ヘッドセット単体での重さは127g(※装着要ヘッドバンドは28g)で、世界最小・最軽量を謳(うた)うVRヘッドセットとして、大きな注目を集めています。リフレッシュレートは最大90Hz。ディスプレイには、片目2560×2560のマイクロ有機ELディスプレイを搭載し、薄型のカスタマイズされたパンケーキレンズを使用しています。
日本での販売価格は164,800円で、現在予約受付中です。2023年の第3四半期には出荷開始予定です。
開封からセットアップまで
まずはプロトタイプの開封から。最初に現れるのが「Bigscreen Beyond」本体です。
ヘッドセット本体は手のひらに乗り、「iPhone 12 Pro Max」よりも小さいサイズです。
本体の下には、各種パーツが収められています。同梱物は以下の通りです。
・「Bigscreen Beyond」本体
・レンズ
・フェイスパッド(樹脂製)
・リンクボックス(Dislayport×1、USB×2)
・ヘッドバンド(ゴムバンド)
・USBケーブル Type-C
セットアップの流れは以下の通りです。レンズとフェイスパッドはマグネット式で取り付けでき、とてもスムーズにセットアップができます。
- HMDに左右のレンズを装着
- HMDにフェイスパッドを装着
- リンクボックスとUSBケーブルを接続
- USBケーブルとHMDを接続
- リンクボックスとPCを接続
「Meta Quest 2」および「VALVE INDEX」との大きさ比較も行いました。本体全体を見ても、既存のVRヘッドセットと比べて圧倒的に小型であることが一目瞭然です。
体験してわかったこと
セットアップ後、すんくぼは「VRChat」などを中心に2〜3時間ほど「Bigscreen Beyond」の動作検証を行いました。体験を通してわかったことは以下の通りです。
1.小さくて軽い!
ヘッドセット単体で127gというスペックからもわかる通り、「Bigscreen Beyond」はとにかく軽量かつ小型です。そのコンパクトさは、さわるだけで「いままでのVRヘッドセットと違う」と理解できるほどです。
これだけ小型だと視野角の狭さが懸念されますが、最新プロトタイプでは視野角は対角102度まで向上しており、「体験してみると気にならない」レベルとなっています。画素密度も28ppdから32ppdに向上し、中心部分は非常に高精細に映ります。
直近では、Appleが「既存のVRヘッドセットのいいところどり」とも言える空間コンピュータ「Apple Vision Pro」を発表しました。しかし、その「Apple Vision Pro」ですら実現できていない「小ささと軽さ」を実現しているのが、「Bigscreen Beyond」です。
2.完全にフィット
「Bigscreen Beyond」の類を見ない特徴として、フェイスパッドやレンズなどがパーソナライズされている点が挙げられます。フェイスパッドはスマートフォンで顔面を3Dスキャンしたデータをもとに作成、レンズも提供した視力データから個別に作成され、本体に同梱されます。
多くの人が使う前提である既存のVRヘッドセットとは対照的に、メガネのように「誰かと共有しないパーソナルなデバイス」として設計されており、それゆえに顔面におどろくほどフィットします。
3.没入感
並外れた顔面へのフィット感のおかげで、現実世界の光景はわずかでも漏れ入ることがありません。小ささと軽さからくる「装着感のなさ」も相まって、「Bigscreen Beyond」を装着した時のVRへの没入感は、極めて高いものになっています。
気になったこと・気をつけたいこと
一方で、普段使いのデバイスとして運用した場合に、気になることや気をつけておきたいことも見えてきました。
1.オーディオには要注意
まず、「Bigscreen Beyond」にはスピーカーが搭載されていません。このため、運用する上ではヘッドホンやイヤホンを自前で用意することになります。
ただし、「Bigscreen Beyond」本体のあまりの軽さから、重めのヘッドホンとの併用はそれだけで「頭の軽さ」を削ぎます。すんくぼ自身も、普段用いているヘッドホンを使った際、「なにか重い大きなものが乗っている」と感じ、運用に難色を示したほどです。
このため、「軽量なワイヤレスイヤホン・ヘッドセット」との併用が、「Bigscreen Beyond」を最も活かすオーディオデバイスになります。できればノイズキャンセリング機能を搭載したものが望ましいでしょう。
2.マイク性能はピカイチ!
スピーカーが未搭載なのとは対照的に、マイクは本体に内蔵されています。そして、ソーシャルVRを開発する企業だけあり、マイク性能は非常に重要視しており、Bigscreen VR社も大きな自信を持つほどの性能となっています。
今回のレビュー動画では、「VRChat」でのマイク検証の様子も収録しています。「VRChat」にてすんくぼが発する音声は、一切の加工をしていないマイクそのままの音声ですが、非常に良好な音質です。外部マイクなどは不要と考えてよいでしょう。
3.取り回しについて
あまりに本体が小さくて軽いため、ケーブルはしっかりと接続しておかないと、多少首を振っただけで「ケーブルに引っ張られる」感覚が生じます。これもまた「軽さ」を削ぐ要因となります。
同梱のヘッドバンドには、後頭部にケーブルを引っ掛ける箇所があります。しっかり引っ掛けておけばケーブルが動きを阻害することもないため、必ず装着しておきましょう。
4.熱について
長時間VRをプレイした場合、本体が発熱し、ほんのりと温かくなります。ファンが多く搭載されているため冷却されますが、ファンの音が気になるかもしれません。ノイズキャンセリング機能のイヤホン・ヘッドホンは、この点でも推奨されます。
また、顔面にぴったりとフィットするため、ヘッドセット内部が蒸れる可能性があります。長時間運用する場合には注意する必要があるでしょう。
5.ベースステーションとコントローラーについて
「Bigscreen Beyond」は、動作にあたって外部センサーを必要とするアウトサイドイン方式のVRのヘッドセットです。このため、「ベースステーション」という外部センサーを事前に部屋に設置しておく必要があります。
ただし、「Bigscreen Beyond」にはベースステーションは同梱されておらず、別途調達が必要です。日本では現在入手困難なため、未所持の人は要注意です。幸い、ベースステーションは2.0だけでなく、1.0でも動作するため、調達の際には念頭に置くとよいでしょう。
また、VRコントローラーも同梱されていないため、こちらも別途調達が必要です。「VIVE コントローラー」や「INDEXコントローラー」など、アウトサイドイン対応のコントローラーを事前に用意しておきましょう。
以上の通り、「Bigscreen Beyond」だけ購入しても使用できません。「Bigscreen Beyond」でVRデビューする人や、ふだん「Meta Quest 2」などを使っている人は、購入の際には特に注意してください。
MoguraVRにて体験会を企画中です
事前に用意する機材が複数ある点や、164,800円という価格帯など、そこそこハードルは高いものの、PCにつないでVRを遊んでいる人にとって、「Bigscreen Beyond」は「これ以上とない一台」です。
とはいえ、実際にさわってみないと「よいものか」と判断しにくいのも事実。Mogura VRでは、「Bigscreen Beyond」の日本向けの体験会を現在企画中です。詳細は続報をお待ち下さい。