FacebookがPC向けVRヘッドセットOculus Rift関連と考えられる特許を新たに出願していたことが明らかになりました。磁気式コネクターが採用された、PCとVRヘッドセットを繋ぐための接続ケーブルに関するものです。磁気式コネクターにより、安全性を高めVR体験により没入できるようになる、としています。
磁気式のメリット
この特許は2017年4月に出願され、2018年10月に公開されました。特許本文は、米国特許商標庁のサイトにて確認できます。
このケーブルは、以前Appleが販売していたMacbook用の電源コード「Magsafe」と類似する仕組みを有していると推測されます。
Magsafeは、コネクター部分に磁気接続が採用されており、十分な保持力は持ちつつも、強い力が加わった際にはケーブルが外れることで、デバイスを保護する仕組みとなっています。
現行のUSBやHDMIケーブルを使用するPC-VR間の接続では、ケーブルに強い衝撃が加わった際、ヘッドセットが頭から外れたり繋いでいたPCが所定位置から動いてしまうなど、思わぬ事故が起きる場合があります。こういった事例から生じる、器物損壊や使用者のケガの危険性なども指摘されています。
今回の新特許は、そのような問題の解消を目指したものであると考えられます。
ハイエンドVRのボトルネック「ケーブル」
PC等と接続するハイエンドなVRヘッドセットの接続用ケーブルは常に課題です
。先述した事故面の問題のほかにも、有線接続では没入感を損なったり、動きの制約が生じたりするからです。
無線でVRヘッドセットとPCを繋ぐワイヤレスアダプターは登場していますが、一部機種(HTC Viveのみ)の対応となるなど、使い勝手が良い状態ではありません。
PCやスマートフォンなどの周辺機器を必要としない、“一体型”のOculus QuestのようなVRヘッドセットも生まれつつありますが、グラフィックのクオリティはハイエンドのVRとは大きな差があります。
依然として、ハイエンドなVR体験のためにはPC等との接続と、そのための接続手段が不可欠です。今回出願されたケーブルも有線である以上、ケーブルが存在することによる問題は未だ存在しますが、少なくとも安全性については大幅な前進が見込めそうです。
なお、PCと接続するケーブルに関して、Oculusは、2018年7月にValveやNVIDIA、AMDなどと共同でUSB Type-Cコネクタのみで接続を可能にするVR接続の新規格「VirtualLink」を発表しています。
2018年10月末には、OculusがRiftのマイナーアップデート版とされる「Rift S」を2019年に発売するかもしれない、との報道もありました。VirtualLinkや今回の磁気式ケーブルなど接続方法に関する技術の動向も気になるところです。
(参考)UploadVR