2018年7月3日の午前3時、ロシアで開催中の2018 FIFAワールドカップ(W杯)の日本対ベルギー戦が行われます。多くの人はテレビやスマートフォンの画面で試合中継を観戦するでしょう。
しかし、この観戦方法は、今度のW杯から大きく変わるかもしれません。
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実寸大の選手たちをグラウンドに“呼ぶ”
Twitterで藤原龍(@lileaLab)氏はAR(拡張現実)を利用し、公園のサッカーグラウンドで実寸大の選手たちを表示するデモ動画を公開しました。(※下記の動画では音が出ます)
YouTubeのサッカーを3D化したあれ。
リアルスケールにして選手を公園に呼んでみた。素晴らしいなこれ。
試合はピッチで見る時代来てた。#HoloLens pic.twitter.com/bSy8Nh2m9T— 龍 lilea (@lileaLab) 2018年6月28日
このデモはワシントン大学の研究者らが研究を進めている、2Dの試合場面を3Dに再構築する機械学習のアルゴリズムを利用したものです。もともとは机の上でミニサイズの3D試合観戦を行うための研究ですが、今回はGitHub上で公開されているコードをもとにスケールを調整。マイクロソフトのMRデバイス・HoloLensで、現実にARの選手を重ねて表示しています。
キーパーの前まで行ってみた。
決まった視点から眺めるだけでなく、自由に入り込めるのが面白いところ。
画像は粗くとも、選手の感情まで伝わってくるようで。これからは遠く離れた試合も体感出来る様になるんだな。#HoloLens pic.twitter.com/vTsYkfJl6e
— 龍 lilea (@lileaLab) 2018年6月29日
このデモについてはオリジナルのスケールが0.05に縮小されており、1に再設定して実寸大としています。また、HoloLensの表示面での制約があるため、現状は明るいところで見るのは難しいとのこと。サンバイザーなどを併用する形になりそうです。
今後の課題は「より鮮明にすること」
今回のデモ動画の元となったシステムは開発途上であり、ワシントン大学の研究者の一人であるKonstations Rematas氏は「次のステップは、ゲーム映像の再構築の質を上げること」「特にボールの位置をより正確に再現し、今よりも鮮明にプレイヤーを3D化したいですね」と話しています。
Rematas氏らは、このシステムをバスケットボールやホッケー、アメフトといった他のスポーツにも応用する計画があるとのこと。現在はまだ発展途上の技術ではありますが、次のW杯では自宅の机や現実のサッカーグラウンドで、ARの選手たちによる熱い試合を間近で見れるかもしれません。