チップセットメーカーのクアルコムが、「Snapdragon Metaverse Fund」の設立を発表しました。メタバースを実現させるための基盤技術やコンテンツエコシステムを開発するスタートアップへ、最大1億ドル(約119億円)の投資を行うために設立されました。
同ファンドは、Qualcomm VenturesによるXR企業への投資と、Qualcomm Technologiesによるゲーム、健康・福祉、メディア、エンターテイメント、教育、企業などのXR体験開発者エコシステムへの資金提供を組み合わせる形で、資本投入を行います。
また、クアルコムが提供するAR開発向けプラットフォーム「Snapdragon Spaces XR Developer Platform(Snapdragon Spaces)」などの、クアルコムによるXRエコシステムを強化する取り組みとも連携。助成対象者は、最先端のXRプラットフォーム技術やハードウェアなどへの早期アクセスが可能になるとのことです。
「Snapdragon Metaverse Fund」への申込みは、2022年6月に開始予定です。
スクウェア・エニックスと協業。AR/VRゲーム体験に共同で取り組む
クアルコムは同日に、株式会社スクウェア・エニックスと協業し、「Snapdragon Spaces」プロジェクトとして、HMDを用いたAR/VRゲーム体験の開発に共同で取り組むことを発表しました。
今後は、スクウェア・エニックスのThe Advanced Technology Division(アドバンスド・テクノロジー部門)が「Snapdragon Spaces XR Developer Platform」を活用し、「没入型ゲーム体験の限界を押し広げる新しい道」を作り上げていくとのことです。
スクウェア・エニックスのテクニカルディレクター ・Ben Taylor氏は、今回の協業について「私たちが特に得意とする古典的なジャンルのゲームをXRで革新するタイミングだと考えている」とコメントし、そのために「Snapdragon Spaces」を基盤とすることに期待を寄せていると述べています。
加速するクアルコムのXRへの取り組み
クアルコムは、Metaが発売しているMeta Quest 2へ「Snapdragon XR2」を提供しているほか、今月に入って中国のバイトダンスとのXR領域での提携も発表するなど、XR領域への取り組みを加速しています。
クアルコムの社長兼CEOのCristiano Amon氏は、「Snapdragon Metaverse Fund」設立にあたっても「クアルコムはメタバースへのチケットです」と、バイトダンスとの提携を発表した際と同様のコメントをしています。そのうえで同氏は、「Snapdragon Metaverse Fundを通じて、あらゆる規模の開発者や企業が、新世代の空間コンピューティングの可能性の限界を押し広げられるよう支援したいと考えています」とコメントを寄せています。
(参考)プレスリリース(Snapdragon Metaverse Fund、スクウェア・エニックス協業)