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業界動向 2018.05.28

VRとARで変わるビジネスのあり方、5つの未来像

(本記事は、5月23日にVRFocusに掲載されたSam Furr氏の記事を翻訳したものです)

技術は、現在我々が知っているビジネスの世界を変えていきます。過去30年の間に、ビジネスの世界にはPCやインターネットといったものが流れ込んできました。そして今では、VRがビジネスに入り込みはじめています。VRがメジャーなものになりはじめてからまだ数年しかたっていませんが、既に多くのユーザーを引き付けています。

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しかし、ビジネス分野は新しい技術の導入に際して、一般のユーザーより遅れがちなものです。VRもまた同様ですが、徐々に追いつきつつあります。

Tech Research Proによれば、48%の企業が、VRを今後数年間のビジネスプランに載せています。このことから、ビジネスにおけるVR/ARの未来について、次のようなことが言えると考えます。

人材活用と研修

業種を問わず、全ての企業は従業員をトレーニングする必要があります。事業規模に応じて、全従業員が参加必須の自社専用プログラムを用意する企業もあります。

VRトレーニングを使えば、企業は非常に幅広く詳細な情報を伝えることができます。従業員をプログラムに集中させ、より多くの情報を吸収させることが可能です。VRトレーニングの例としては、機械の操作方法の指導が挙げられます。VRを使えば特定の機械の様子をシミュレートし、リアルに一連の作業を体験することができます。このような学習ならば、従業員は実際に機械を初めて使用するときでも、知識や経験を得た状態で使うことができます。

もう一つの例としては、VRヘッドセットを使ったプレゼンテーションスキルのトレーニングが挙げられます。イギリスの企業Virtual Speechは、従業員が会議室でプレゼンの練習を行えるVRアプリを開発しました。プレゼン終了後に聴衆が質問をする機能も備えています。

VRFocusでは、数多くのVRを活用したトレーニングを紹介しています。放射線診断装置の操作太陽光発電の設置航空機への燃料補給……また、VRトレーニングシステムの制作自体を学べるVRシステムもあります。

VRコンテンツを使ったブランド認知度向上

VR/AR技術によって、ブランドの認知度をより早く高めることもできるでしょう。VR/ARは、ブランドの認知を高めるための新しいチャンネルです。VR/ARは、ソーシャルメディアが持つ「個人個人に向けられたもの(=パーソナライズされたもの)」という特徴を有するためです。

このような技術はブランド認知の種類を問いません。例えばオバマ前米大統領夫人のミシェル・オバマ氏がVRを活用した動画(健康的な習慣についての360度インタビュー動画)からは、マーケターが多くを学べるものとなっています。

また、新興のブランドもVR/ARを使って認知度の向上を図ることができます。人々がVR/ARアプリを使って自分の体験をSNSでシェア出来るようになれば、フォロワーが同じ体験をしようとする盛り上がりが生まれます。

顧客の利便性を高めるARアプリ

人々はどんどんせっかちになってきており、大通りでウィンドウショッピングをしていても、スマートフォンで買い物をしていても、どちらでも同じようにシームレスな体験が出来ることを望んでいます。

ウェブサイトのモバイル版を作るだけでなく、一歩進めて「買う前に試してみる」ことが可能なモバイルARアプリを作成するのはどうでしょうか? 例えば家具メーカーのIKEAは、「IKEA Place」というアプリを出しています。ARを使って、IKEAでの買い物をずっと簡単にするアプリです。

ユーザーはアプリでIKEAの家具を好きな部屋に配置できます。部屋の中のものの場所を好きなように変え、互いに近づけたり離したり、好きな角度から眺めることも可能です。実際に配置した様子が分からないため家具の購入をためらっていたユーザーでも、AR技術のおかげで、事前に見え方を確認することができるのです。

このようなARアプリを作るには「app developers」のウェブサイトを見て、どのように自社のビジネスに合ったARアプリを作れるか学ぶと良いでしょう。家具販売であっても、機械操作のトレーニングであっても同じです。

製品のプロトタイピングにも

製造業の競争的な環境では、製品の改良や新製品の開発は待ったなしです。VR/ARを組み合わせることで、製品開発の様々な段階はシンプルかつ効果的になものになります。

例えば製品のプロトタイプ製作において、3D空間にVRを導入すれば、完全なデジタル化が可能です。VR/AR技術によって多くの選択肢が生まれ、時間を削減するとともに不必要なコストも減らせます。

最近VRFocusで紹介した事例では、家具の設計にVRを使うというものがあります。Yulio Technologiesは更に進めて、VRを使ったインテリアデザイン学習コースを開発しています。

また、建築家やデザイナーもVRに注目しています。デザインの試作を顧客に見せ、編集することが簡単になるためです。ゲームエンジンのエピックゲームズは、この分野に特化した「Unreal Studio」をリリースしました。

出張の削減

イベントや重要な会議に出席するために、遠方へ出張するケースもあります。全ての企業が旅費を負担できるわけではなく、従業員にとって出張はお金も時間もかかるものです。ビデオ会議という選択肢もありますが、常に可能なわけではありません。また、ビデオ会議では「同じ部屋にいて、同じ会議に出ている」という実感はわきにくいものです。

しかしVR会議であれば、全員が同じ部屋にいるように感じられます。更に、例えば機械の修理について誰かと話し合いたいと思った時も、ただ直接会話するだけにはとどまりません。VRならばお互いが機械のある場所に立って、話をすることができます。

これで完全に出張をなくすのは難しいかもしれません。しかし、移動に時間を費やすことに対して、良い代替手段とはなるでしょう。

VR/ARがビジネスにとって不可欠な技術となるのも、時間の問題と思われます。コストを削減し、時間を節約し、顧客体験を改善できるものは、どんなものでも急速に世界中へ広まり、活用されていくのです。

(参考)VRFocus
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