3Dモデル向けモーションキャプチャーツール「Webcam Motion Capture」に、Webカメラを使ったフルトラッキング機能(β版)が実装されました。これにより、自分の全身の動きをアバターと同期し、VTuber活動などに利用できます。
現在体験版が無料公開中(正式版は月額199円で使用可能)。本格的な3DモデルをWebカメラでどれだけ動かせるのか。実際に試してみました。
お手軽にフルトラッキングを体験
「Webcam Motion Capture」は2021年にリリースされた、AIを搭載したトラッキングツール。3Dモデルの上半身(頭部の動き、表情など)や、手をハンドトラッキングで動かすといった機能が“目玉”です。
iOS系端末のFace IDを利用したパーフェクトシンク実装のフェイストラッキングアプリにも対応しているほか、配信ツール「OBS Studio」と組み合わせて、YouTubeや他動画サイトでのライブ配信でも使えます。
一般的には、3Dモデルを全身トラッキングで動かす場合、「mocopi」や「HaritoraX」、「VIVE トラッカー」といった専用のトラッカーを使用します。こういった機器は高価(数万円~)ですが、「Webcam Motion Capture」の全身トラッキング機能は市販のWebカメラに対応しており、お手軽に“フルトラ”を利用できます。
(デモ版のメイン画面。正式版ではメニューやサンプルテキストを消去できます)
「Webcam Motion Capture」のフルトラッキングは、アプリをダウンロードして起動した後、メイン画面の「トラッキングモード」欄を“全身に切り替えることで使用できます。Webカメラの個別セットアップなどは不要ですが、利用者の腰が映る位置にカメラのアングル(ポジション)を設定する必要があります。
実際に試してみると、Webカメラの前に立っている限り問題なく、フルトラッキング機能を利用できました。上半身の全体的な動きはもちろん、指の動き(ハンドトラッキング)もしっかりと機能します。
下半身の脚の動きも、配信などでは十分に使えそうな精度という印象。筆者の環境では最初はやや不安定だったのですが、詳細設定の「膝がカメラに映っていない場合は足の位置を固定」を有効にすることで、カメラ範囲をオーバーしても、アバターの手足が“飛ぶ(※予想外の方向に勝手に動く)”ことは無くなりました。
(このチェックボックスを“オン”にすると、トラッキングが安定する印象)
この精度なら雑談配信では問題なく使用できると感じました。広いスペースが確保できれば、Nintendo Switchの「リングフィット アドベンチャー」といった身体を動かすゲームの配信でも使えそうです。
ただアングルによっては、片脚しか動かしていないにも関わらず、両方の脚が同時に動いてしまうことがありました。ソフト側が動きを認識しやすいように身体を動かしたり、脚を認識しやすい服装を着たりすることが重要そうです。
また、筆者は今回、テストにロジクールの「C270 HDウェブカメラ」を使用しましたが、ズームアウトに非対応だったため、動きが“取れる”範囲に制限がありました。より画角が広い(広角対応)カメラを使用すれば、更にトラッキングの範囲を拡大できるかもしれません。
「Webcam Motion Capture」デモ版はWindows版に加えてMacOS版も公開中。3Dモデルやアバターを使った動画などを手軽に作りたいという人は、一度試してみてはどうでしょうか。
デモ版「Webcam Motion Capture」のダウンロードはこちら(β版)
執筆:井文