VRへの医療活用を志すVRHealth社は、2019年1月に、現在開発中のVRアプリケーションを、一体型VRヘッドセットOculus Go向けに新しく配信することを発表しました。このアプリは、人工知能(AI)セラピストがVR内で心理療法を行い、病状緩和を図るものです。
人工知能のセラピスト「Luna」
VRHealth社は、ボストンに本社を置き、VRを医療におけるデータ解析や実際の心理療法など、さまざまな応用を試みている企業です。
今回、AIセラピスト「Luna」がユーザーと会話し、ユーザーの健康促進を図るVRアプリケーションを制作しました。
VRヘッドセットを使うユーザーに対し、アルゴリズムを用いてリアルタイムで医療分析を行い、ユーザーの健康状態を常に観察します。また、医師や研究者に分析時の情報を提供を行い、解析データの増加に役立てます。
Lunaでは、当然ながら直接的に投薬することができませんが、心理治療として有用なアプリケーションだと言えます。ユーザーの脳に働きかけ、治療をサポートするほか、対話を通してユーザー自身も症状を自分自身で管理できるようになる、と公式ホームページでも言及されています。
実際に、更年期障害の症状は緩和された
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これまでも人工知能セラピスト「Luna」により、更年期障害の症状を緩和できた報告がありました。
更年期障害は、50代以降の女性に多い障がいで、顔面潮紅やうつ病、いらいら、不眠、寝汗や性欲の減衰などの症状が多く見られます。
Lunaは投薬ができない代わりに、人の心理や脳に働きかけることに長けています。その効果が顕著に見られた一つの例だと言えるでしょう。
VRHealthの狙い
VRHealth社は、独自の医療アプリケーションがFDAによって認められたほか、医療としての質が十分であることの証明であるISO認証を持つ、VR企業で初めての例です。
同社は、Lunaだけでなく、認知訓練を行う「ReAct」や、頸椎の可動域テストやリハビリを行う「Aqua Clown」など、VRで体験可能なさまざまな医療アプリケーションを提供。他にも、痛みを緩和、首のトレーニング治療時の痛みの緩和など、7つのVR体験を展開しています。。
同社のCEOであるEran Orr氏は、最終目標は医療のあらゆる分野について、VR空間上で治療士がサポートするようなVR体験を提供することであると語っています。
Orr氏は、今回の更年期障害を患う状況に限らず、例えばがん等が起こる状況においても、もしAIの治療士によるカウンセリングをVRで体験できるのなら、家や病院など場所を問わず、安心できる治療を受けることが可能になると話しています。
(参考)VRScout
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