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VRChat 2023.07.20

「VRChat」を遊ぶための最適環境を解説 PCの推奨スペックや用途別VRヘッドセットのおすすめを紹介

ソーシャルVR「VRChat」に興味はあるけれど、遊ぶためになにを用意すべきか、わからない人も多いはず。VRヘッドセットMeta Quest 2単体だけで大丈夫なのか、PCは何を購入すればいいのか、大体の予算はいくら用意すべきかと、迷ってしまうこともあるでしょう。

本記事では、「VRChat」を遊ぶ上で最適な環境構成を解説します。まず最初に「VRChat」をプレイする上での基礎知識や推奨PCスペックを解説した後、目的別でオススメの環境構成を紹介していきます。

目次

1. はじめに押さえておくこと
2. 公式の推奨PCスペックをチェック!
3. PCだけでとりあえずどんな場所か見てみたい!
4. お安く手軽にVRでやってみたい!
5. VRモードでハイクオリティなワールドを見たい!
6. 全身で好きなアバターを動かしてみたい!
7. まずは「VRChatでなにをするか」を決めてから

1. はじめに押さえておくこと

「VRChat」は、「Steam」にて配信されているPC・PCVR版と、「Meta Quest 2」などでプレイできるQuest版の2種類が存在します。それぞれクロスプラットフォーム対応していますが、Quest版にはいくつか制限があり、PC・PCVR版でのみ体験できるコンテンツが存在します。なお、PC・PCVR版はWindowsにのみ対応しており、Macには非対応です。

それぞれのモードで、必要になる機材は以下のとおりです。

※以下、VRヘッドセットを使わないPC版でのプレイを「デスクトップモード」、VRヘッドセットを用いたPCVR版プレイを「VRモード」と表記します。

・デスクトップモード:ゲーミングPC
・VRモード:ゲーミングPC(VR対応のもの)、VRヘッドセット
・Quest版:Meta Quest 2

ゲーミングPCを持っている場合、デスクトップモードでのプレイが最も手軽かつ安価です。一方、ゲーミングPCを未所持の場合は、「Meta Quest 2」を購入しQuest版でプレイするのが比較的安くおさまります。

2. 公式の推奨PCスペックをチェック!


(画像はゲーミングPC「G-GEAR neo」)

PCで「VRChat」を遊ぶ場合は、PCのグラフィック性能、CPU、メモリが重要になります。基本的には「ゲーミングPC」と呼ばれる、グラフィックボードを搭載したゲーム用途向けのPCが推奨されます。

公式に発表されている、VRヘッドセット使用時の最低/推奨スペックは以下の通りです。

最低スペック 推奨スペック
OS Windows 8.1、Windows 10 Windows 10
CPU Intel i5-4590以上
またはAMD FX-8350以上
Intel i5-6500以上
またはAMD Ryzen 5 1600 equivalent相当以上
メモリ 4GB以上 8GB以上
グラフィック NVIDIA GeForce GTX 970以上
またはAMD Radeon R9 290以上
NVIDIA GeForce GTX 1060以上
またはAMD Radeon RX 580以上

デスクトップモードでプレイする場合、推奨スペック付近のゲーミングPCであれば、ある程度問題なく動作することが多いです。旧世代のグラフィックボードでも動く可能性が高いので、まずは動かしてみるとよいでしょう。

VRモードでプレイする場合、現行世代のグラフィックボードを搭載した、デスクトップタイプPCの購入をおすすめします。ノートPCタイプの場合、スペックは十分でもVRヘッドセットをつなぐためのポートがなかったり、ポートがグラフィックボードにつながっていなかったりする可能性があるため、購入時には注意が必要です。

なお、推奨スペックからさらに余裕を持たせたスペックのゲーミングPC(組み立て済みのデスクトップタイプを想定)を購入する場合、予算はおおよそ15万円〜25万円程度(※)まで検討しておくのが現実的です。

(※PCを自作する場合はこの限りではないですが、自作経験のない人にはハードルは高いため、自作代行サービスなどを利用できる場合を除いて、避けるのがベターです)

3. PCだけでとりあえずどんな場所か見てみたい!

すでにゲーミングPCを所持している場合、最も手っ取り早い「VRChat」体験はデスクトップモードです。PC版「VRChat」のアプリは「Steam」にて無料配信されているため、ダウンロードしてすぐ遊べます。

ワールドやアバターに制限のないPC版として遊べるため、話題のワールドやイベントへ訪問しやすいのが大きなメリットです。操作は基本的にキーボードで行いますが、「VRChat」の基本機能は問題なく利用できます。また、VRモードで遊ぶユーザーとも交流ができるため、友人を作りやすいともいえます。

一方で、VRモードと比べると没入感が劣り、アバターもVRモードほど自由に動かせないため、人によってはもどかしさや物足りなさをおぼえるかもしれません。ある程度遊んでみたところで、VRデバイスの購入を検討してみるのもよいでしょう。

4. お安く手軽にVRでやってみたい!

「VRChat」をVRモードで体験したい場合、最も簡単な入口は「Meta Quest 2」です。PCに接続しなくても、ヘッドセット単独で「VRChat」をプレイできるためです。

価格は47,300円(税込)から。国内の家電量販店でも取り扱っているため、入手しやすいVRヘッドセットです。Quest版の「VRChat」アプリも無料なので、「Meta Quest 2」を手にすればすぐに始めることができます。

安価かつ簡単にVRの没入感を体験できるのがなによりの特長です。視界を全てバーチャル空間で覆うことにより、現実では行けない様々な世界で、多種多様なアバターを見ることができる、「VRChat」の真骨頂を味わえます。

ただし、Meta Quest版の「VRChat」は、一部のコンテンツに対応していないという制限があります。具体的な制限は以下の通りです。

・Quest版に対応していないワールドへ行くことはできない。
・上記に関連して、Quest版非対応ワールドにいるユーザーに会いに行くことはできない。
・Quest版向けに対応されてないアバターを表示できない。

ただし、「Meta Quest 2」は後述するPC版のVRモードをプレイする上でも利用できます。このため、最初は「Meta Quest 2」単体で「VRChat」を遊び、折を見てゲーミングPCを購入し、PC版VRモードへ移行する、ということもできます。

なお、2023年秋には後継機種「Meta Quest 3」が発売予定です。価格は74,800円(税込)。全体的にスリムになり、グラフィック性能も向上。そしてゲーム・アプリは「Meta Quest 2」との後方互換が予告されており、「VRChat」も起動できることが予想されます。

5. VRモードでハイクオリティなワールドを見たい!


(上記ワールドは「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」)

PC版でしか行くことができないワールドをVRモードで体験するには、ゲーミングPCとVRヘッドセットが必要になります。この場合に必要なPCは、ある程度以上のスペックが求められます。

スペックを決める一つの目安としてほしいのは、どのようなスタイルで「VRChat」を遊ぶかということです。そこから、”快適に”プレイするためのスペックがしぼられてくるためです。

「VRChat」を”快適に”プレイできるかどうかは、下記の要素が大きく関わります。

・VRモードで遊ぶか、デスクトップモード(=非VR)で遊ぶか。
・ワールドの重さ(容量、オブジェクトの数、描画処理など)。
・ワールド内にいるユーザーの数。
・ワールド内にあるユーザーのアバターの描画処理の重さ。

軽いワールドで少人数で遊ぶ場合は、要求スペックはそこそこです。一方、重めのワールドに行く場合は、要求スペックは引き上がります。さらに、ユーザーが多くいるワールドへ行く場合、その全員が重いアバターを使っている状況では、最高クラスのコンシューマ向けゲーミングPCでも重くなることがしばしばあります。

このため、最初から最高クラスを目指すよりも、自分がどのようなスタイルで遊ぶのか(例:友人と少人数で遊ぶ、40人以上参加するようなイベントにVRで行く)を念頭に置く方が、「VRChat」を遊ぶ環境は構築しやすいと言えます。もちろん、遊んでいる時間が長くなればプレイスタイルも変わるかもしれないので、拡張しやすい環境を選択するのも良いでしょう。

「どこまでハマるかわからないけど、余裕のあるスペックがいい!」という方は、グラフィックボードはRTX3060付近が目安です。ただし、「VRChat」はビデオメモリ(VRAM)容量も快適さに関わるため、余裕を持ちたい場合は8GB以上確保したグラフィックボードを選びましょう。

以下では、定番のVRヘッドセットをいくつかご紹介します。

Meta Quest 2(Quest Link/Air Link/Virtual Desktop併用)

単体でも「VRChat」を遊べる「Meta Quest 2」ですが、「Quest Link」または「Air Link」という機能でPCと接続すれば、PC版の「VRChat」を遊べます。

「Quest Link」はUSB 3.0ケーブル経由で、「Air Link」はWi-Fi経由で、それぞれPCと「Meta Quest 2」を接続する機能です。接続先のPCは相応のスペックが求められるほか、「Air Link」の場合はWi-Fi帯域などの条件がありますが、手元にある「Meta Quest 2」をそのまま活用できるため、「Meta Quest 2」単体環境から簡単に移行できます。

また、Virtual Desktopという有料アプリでも、Wi-Fi経由の無線接続によるプレイができます。こちらの場合、要求されるWi-Fi帯域などが「Air Link」と異なっていることから、「Air Link」にはない機能も活用できるため、愛用者の多いアプリです。

「Quest Link」のセットアップについては以下の記事を参考ください。

「Air Link」のセットアップについては以下の記事を参考ください。

PICO 4(Streaming Assistant/Virtual Desktop併用)

PICO 4は、「Meta Quest 2」と同様にPCに接続しなくても単独動作するVRヘッドセットで、「Meta Quest 2」よりも軽く、重心バランスが良好な一台です。「VRChat」のアプリは配信されていないため、単体で「VRChat」を遊ぶことはできませんが、PCとの接続でPC版「VRChat」をVRモードで遊べます。

PCとの接続には、公式機能「Streaming Assistant」か、有料アプリVirtual Desktopが必要です。「Streaming Assistant」は無料で、USB 3.0ケーブル経由の有線接続か、Wi-Fi経由の無線接続を選択できます。「Virtual Desktop」は「Meta Quest 2」と同じ条件で無線接続ができます。

体験の質や環境のセットアップの容易さは「Virtual Desktop」のほうが優れています。また、「Streaming Assistant」はマイク音質が低めなため、音声会話が重要な「VRChat」にはやや不向きです。このため、基本的には「Virtual Desktop」の方がオススメです。

VIVEシリーズ

VIVEシリーズは、ハイエンドVRヘッドセットの定番シリーズです。相応のスペックのPCに加え、外部センサーを2基以上部屋に設置する必要があり、ハードルは高め。しかし、トラッキングの安定感は高めです。

スタンダードな使い勝手のVIVE Pro、フリップアップ機構で外の様子を確認しやすいVIVE Cosmos Elite、5K相当の高解像度が体験できるVIVE Pro 2など、ラインナップは豊富。基本的には「VIVE Pro」が手堅い選択肢ですが、予算やPCのスペック、用途から最適解は少しずつ変わります。

また、アイトラッキング機能が備わったVIVE Pro Eyeは、現時点の「VRChat」ではデフォルト対応していない点には注意が必要です。アバターに専用ギミックを組み込むことでアイトラッキング対応も可能ですが、準備が必要となるため、ある程度慣れてから手を出すのが無難でしょう。

【参考】VIVEシリーズの価格早見表

ヘッドセット フルセット価格(税込)
VIVE Pro 137,000円
VIVE Cosmos Elite 119,100円
VIVE Pro Eye 209,000円
VIVE Pro 2 209,000円
VIVE Pro 2 Lite(※) 170,624円

※通常の「VIVE Pro 2」フルセットと異なり、同梱ベースステーションは1.0、VIVEコントローラーは1.0となった廉価版セット。

VALVE INDEX/INDEX コントローラ

ハイエンドVRヘッドセットの中でも、現在まで高い評価を得ているのがVALVE INDEXです。高めの解像度、オフイヤースピーカーによる音声面での没入感の高さなど、「VRChat」をプレイする上でも有用な性能がまとまっています(フルセット価格は税込165,980円)。

また、INDEX コントローラは、五本の指の動きをトラッキングできるという特徴があります。両手を自由に表現できるため、コミュニケーションがさらに豊かになり、「自分の手でつかむ」という操作が没入感を大きく引き上げます。

「VALVE INDEX」だけでなく、上述のVIVEシリーズなどとの併用もできるため、コントローラーだけ購入するのも一つの手です(コントローラーのみの価格は税込47,260円)。

こちらも、VIVEシリーズと同様に、外部センサーを2基以上部屋に設置する必要があります。設営ハードルがやや高めですが、トラッキングは安定します。

6. 全身で好きなアバターを動かしてみたい!

「VRChat」の醍醐味のひとつとして、フルトラッキング(※人の全身の動きをVRで再現する技術)を外すことはできません。好きなアバターをまとって、思い思いのポーズを取り、それを友達に見せたり、写真を撮ったり……様々な姿になれる「VRChat」の魅力をフルに引き出すことができます。

フルトラッキングを「VRChat」で実現するには、専用のデバイスが必要となります。

お手軽なフルトラッキング構成

導入が簡単なフルトラッキングデバイスとして、HaritoraX 1.1Uni-motionが挙げられます。身体の各所に装着することで、主に下半身の動きを取得し、アバターへと反映させられます。

「HaritoraX 1.1」は33,900円(税込)、「Uni-motion」は49,500円(税込)と、比較的安価である点がなによりのメリットです。また、どちらも動作には外部センサーが不要なため、機材セットアップも簡単で、「Meta Quest 2」とも併用できるのが大きなメリットです。

直近ではmocopiという選択肢も登場しました。「mocopi」は、非常に軽量なセンサーを身体に装着し、スマートフォンと接続することで、どこでも簡単に全身の動きを記録できるモバイルモーションキャプチャーです。

さらに、スマートフォンから他のデバイスへと接続することで、PCや「Meta Quest 2」などへモーションデータを送信できます。「VRChat」にも対応しており、特に「Meta Quest 2」へ直接接続できるため、「Quest版VRChatでのフルトラッキング」を実現する唯一の手段でもあります。

比較的簡単に構築できるのは、フルトラッキングデバイスは「HaritoraX 1.1」か「Uni-motion」、VRヘッドセットは「Meta Quest 2」か「PICO 4」を採用し、PC版「VRChat」でプレイする構成です。「mocopi」を使う場合は対応スマートフォンも追加で必要となるため、手元にない場合は別途準備する必要があります。

最高クラスのフルトラッキング構成

より本格的なフルトラッキングを行いたい場合は、VIVEトラッカー(税込19,000円)が選択肢となります。取り付けたものの動きをトラッキングできるデバイスで、これを腰や足先などに取り付けることで、身体の動きをアバターへ反映できます。

VIVEシリーズなどと同様に、動作には外部センサーが必要となります。このため準備が大変ですが、より精度の高いトラッキングを実現できるのが特徴です。

基本は腰の1点装着か、腰+両足の3点装着です。さらに両肘+両膝+胸部の5点に追加装着した場合、11点トラッキングまで拡張可能です。やや過剰ですが、より高精細な動きをアバターへ反映できます。

現状では、「VALVE INDEX」のフルセット(税込138,380円)+「VIVEトラッカー」(税込19,000円)×3 +ゲーミングPC(ハイエンド推奨)が、最高クラスのフルトラッキング構成のひとつです。非常に大きな出費となり、外部センサーの設置も必要ですが、トラッキング精度は最高レベルです。

ただし、「VIVEトラッカー」1つあたりの連続稼働時間は7.5時間(メーカー公称)で、「HaritoraX」や「Uni-motion」よりも短めです。「VIVEトラッカー」自体も、「mocopi」などと比較すればやや大きいため、人によってはわずらわしさをおぼえるかもしれません。

7. まずは「VRChatでなにをするか」を決めてから

上記で紹介した構成はあくまで一例です。このほかにもVRデバイスはいくつかあり、さらに今後も期待のデバイスがいくつか登場予定のため、最適な構成は半年後には一変している可能性もあります。

ただし、デバイスの選択肢が増えたとしても、「VRChatでなにをするか」という軸を持っていれば、自ずと新しいデバイスが必要かどうか判断できるはずです。一人で遊ぶか、数人の友人と遊ぶか、大規模なイベントに参加するか、フルトラッキングを活用して自己表現したいか……まずは自分の中の軸を見定めてみて、「VRChat」で遊ぶ環境を整えましょう!

VRChat公式サイトはこちら。
https://hello.vrchat.com/

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